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絞め殺した鼠を薄暗い牢獄を照らしてくれている窓の縁に置き、ベットの下から細いナイフのようなものを取り出す。
何をしているかと思っているとネズミを手に取り捌き始めた。
「な、何をしているんだ?」
「見りゃ分かるだろ捌いてんだよ、昨日一匹余分に捕まえたから、お前にもやるから安心しろ」
「ま、まさか食べるのか?!」
捌いてるのがネズミでなければ惚れ惚れする程鮮やかな手つきで解体していく手を止めて、おかしな顔をする。
「食わなきゃ、こうする必要はないだろ。ペットにする訳でもあるめぇし」
そう言ってネズミの中身を塊にして窓の縁に置く。
窓の縁で他の箇所と色が違う場所があったが、それはこれをしているからか……
「それによ、言いたかねぇがここの飯なんかよ、とてもじゃないが食えたもんじゃないぞ。あんなの喰ってたら隣の奴みたいに死んじまうぞ」
「う、うむ」
その言葉を聞いて一瞬餓死をしたほうがましなのでは、と思うが考え直す。
向こうは親切にも大事な食料を分けてくれると言っているのにそれを無下にするのも人道に関わる。
それは恥ずべきことだし、よくはない。
「そうだな、ありがたく一匹頂こう」
そう言った刹那、牢獄に悲鳴が上がる。
何事かと思うと男の手には海鳥が一匹捕まっていた。