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足下の呻く兵士や二度と喋ることはないだろう兵士達の懐をさばくり始める。
お金になりそうなものを片っ端から先ほど拾った布袋に詰め込んでいく。
「ここらへんいくらになるんだろうな、身なり悪くないから結構いいと思うが」
「な、なぁ、余り長居をするのもまずいと思うんだ。舟を探した方がよくないか?」
兵士達の凄惨さで流石に同情心が湧き、そんなことが口にでる。
間違いなくこの小島を警備する兵士は全員男の手によって動けない体にされているだろう。
仮に長居をしたとしてもこれ以上に増援がくることはまずないだろうとは思う。
「だな」
それでも、私の言葉に異論はないらしく一人の兵士を抱え舟の場所まで案内をさせる。
案内された通り一番奥の階段を降りると外の湖と繋がっているのであろう場所に小舟が二艇見える。
「ここだ」
兵士を抱えながら、小舟に足を進める。
「小さいな、もう少し大きいと思っていたが。これではザッハなら一口だな」
「言ってたでかい魚か」
「ああ、これで逃げるのは流石に無理だ。他の手を考えた方がいい」
「他の手って言ってもよ、他にないだろ。船を作れるならともかく。これで行くぞ」
「みすみす食べられにいく様なものだぞ」
「二艇もあるしな、一つを囮にすればある程度時間は稼げるだろ、ついでにありったけの武器を運ぶぞ」
そう言って男は先ほどの兵士達の所に戻っていく。
しばらくしてありったけの武器や兵士を担ぎながら姿を見せた。
「これをもう一つの舟に乗せるぞ」