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「ここから出たいんだよ、どうすればいいか教えてくれ。どうすれば、船の場所に行けるんだ?」
「ここから、三階の……」
息も絶え絶えの言葉を吟味する様に聞く。
「も、もういいだろ、正直に言ったんだから命は助けてくれよ、な?」
「ああ」
その言葉に返事をすると自分達のいた、部屋に向かって男を投げる。
悲鳴が聞こえたがどうやら死んではいないようだ。
「ここが地下一階って言ってたから取り敢えず上がるか」
先程の男が使っていた剣を拾って、手渡される。
「一応、持っといた方がいいだろ」
「あ、ああ。大した腕ではないが使える」
「そいつは助かるな」
目の前の男一人で十分な気がしないでもないが、しっかりと柄を握りしめ男の後ろをついていく。
一階に上がった瞬間に二人の兵士が物陰から切りかかってくる。
それを驚きもせずに避け、兵士の腕を掴む。
その瞬間、何かが折れる音がしたかと思うと兵士二人が片方の手を押さえ呻きだす。
「おとなしくしろ!!」
向こう側から槍を構え走ってくる兵士達に足元で呻いてる男を投げつける。
投げつけられたのが自分の味方だと感じ武器を下ろし当たらないようにした時は既に男は兵士達の側にまで近寄っていた。
「あ」
一人目の兵士の最後の言葉はそれだった。
男の拳が振られたかと思うとありえない方向に首が回って倒れる。
それを皮切りに男の暴力が始まった。