出会い
結果から言うとあの後無事に出口を見つけることが出来た。出口に近づくにつれ人が多くなっていったからだ。それに狼に出会わなかったことも大きいだろう。
俺はフラフラと出口に向かった。
何故か皆俺を避けるように迷宮の中に向かっていたがそんなことはどうでもよかった。
日の光が視界を白く染め上げる。
手を翳し空を見上げて思う。
やっと出られた……
しばらくそのままでいると男が近づいてくるのが分かった。
「おい、兄ちゃんなにしてんだよ。」
男は背が高く細身だが筋肉はしっかりとついているように見える。
「ボロボロじゃねーか。それに刃も剥き出しだ。」
「え…ああ、ホントだ。忘れてた…」
男に指摘されて今の恰好を見直す。
所々ほつれた服はあの狼の血に染まって元の色が分からず、右手には刃が剥き出しの剣を持っている。
これでフラフラと歩いていたのだ。
すれ違う人達が避けるのは当然、俺も同じようにするだろう。
「おいおい、忘れてたって?大丈夫かよ。」
「大丈夫ですよ。」
ちょっと素っ気なく返事をしてしまったかもしれない。
そんな事より気になるものがあった。
「ところでアレ、何でしたっけ?」
視界に入るどの建物よりも大きく存在感がある。
「お前、ホントに大丈夫かよ。ギルド本部だよ、ギルド本部。普通忘れねーだろ」
たしかに……こんな印象的なもの普通は忘れないだろう。
「いや……こっちに来たばかりで…すぐ中に入ったので……名前なんてきいてなくて…」
厳しい…いくら何でもこの言い訳は……
「ハッハッハ!なるほど!こっち来て早速一儲けしようとしてソッコー負けたんだな!お前も!」
通じた!?
あっさりと信じられてしまうと少し心配になってしまう。
「お前もってことは貴方もですか?」
「うっ…お前よく聞いてんな…」
男はやってしまったと言わんばかりの表情になった。
「まあ、んなことどーだっていーじゃねーか!それよりーー」
「おーいレオン、なにしてんだー行っちまうぞー!」
男に声が掛かった。
「今行くからちょっと待てー!」
そう答えてから振り向き、
「これからダンジョンに潜るんだ。俺はレオン・テオドール、見かけたら声かけてくれな!」
そう言って仲間のところに行ってしまった。
またすぐに会いそうだと思いつつ俺はギルド本部に足を向けた。