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第3、5話
トマスの酒場を訪れたルナーことルーノだったが、何故かいつもと違う種類の視線を集めていることに気づき、小首を傾げた。
ルーノはここの常連で、同じ常連客はルナーの性別が男だということを知ってる者ばかり。だから初対面のような好奇の視線に晒されることはほとんどない。
あるとすれば、いつ暴れるのかという期待の眼差しだろうか。
「……どうかしたの?」
「……どうしたって、お前……その髪、どうした」
「髪? ……あ、そっか」
ルーノはハニー・ブロンドに染めた髪を摘まんだ。
「染めたの。似合わない?」
「似合うっつーか……全然印象が違う」
「あらそう?」
トマスの言葉に、ルーノは首を傾けた。
「たまには雰囲気変えて金色にしてみたんだけれど……どうかしら」
「どうっつーか……」
「……ルナーっつったら黒尽くしってイメージだからなぁ」
「金髪にするなら、もっと明るい服着たらどうだ?」
「金っつーのもいいぜ!」
「あら、ありがと」
常連客の言葉にルーノは微笑んだ。