開幕
むかし、むかし、この世界には沢山のおはなしで溢れていました。
それは冒険のおはなし
それは友情のおはなし
それは恋のおはなし
人々はそれらを愛し、語り、伝えていきました。
ですがそれは終わりを告げました。
おはなしは突然人々に襲いかかってきたのです。
冒険は肌を裂き
友情は肉を喰い破り
恋は心臓をまる飲み込みにました
人々はおはなしを恐れ語ることをやめ、記された本は全て燃やされ、誰もお話を愛さなくなりました。
こうして世界からおはなしが消え、退屈な世界が完成しました。
めでたしめでたし
「はぁっはぁっはぁっ」
激しい息遣い、肺が限界を叫びながらも、この足を止めてしまったら全てが終わってしまうことをわかっていれば止めることはできない。
いつもなら重さなど感じることのないくらい愛しい我が子さえ、今では鉛の塊のように感じられた。
「ママ!怖いよ!」
「心配しないで、もうすぐ避難所に着くからっ」
腕の中でぎゅっと丸くなる我が子をなだめながら、母親はあと数十メートル先の避難所を目指して走り続ける。
ビルの崩れる轟音と、人々の叫び、喚く声を背に、今にも倒れてしまわんというような足取りと息遣いで、それでも腕の中のこの子だけは守ろうと必死に体を丸めながら走る。
だがそれも長く続くわけもない。
彼女らの体を大きく丸い影が覆う。それに気づき母親は足をぴたりと止め、震えながら顔を上げる。子供も母親の顔を追うように上を見る。
目の前に現れたのは後ろから迫っているものと同じ異形のもの
ところどころがひび割れ、割れた隙間から人間と鳥が混ざったような腕を生やし、泥で汚れたトップハットをてっぺんに乗せた巨大な卵型の怪物。背中ととれる部分からは卵の中で羽化しきれなかったような黄色い羽毛がバサバサと忙しなく動いている。
生理的に嫌悪を覚える巨大な塊を前にして、母親は膝から崩れ落ちる。子供は泣くことすら忘れ、恐怖でその小さな体をガタガタと振るわせる。怪物は表情はわからないものの、獲物を前に歓喜に体を震わせて、背中の羽をさらにバタつかせ親子の前に立っていた。
ああ、どうか、この子だけでも
母親は少しでも子供が助かる可能性にすがるように、子供に覆い被さり震える子供を抱きしめた。そして腕の中のこの子が少しでも安心できるように恐怖の中、それでも笑顔で
「大丈夫」
そう囁いた。
覚悟を決めてじっと堪えるもその時はいくら待っても訪れなかった。恐るおそると顔を上げた彼女の前には一人の少女が立っていた。
腰のあたりまであるたっぷりの髪に、青いエプロンドレス。肩から下げた大きな懐中時計に頭には黒い大きなリボンとまるでビスクドールのような出立の金髪碧眼の女の子。
「GURIM戦闘部隊所属アリシア、ただいま現場に到着しました。これより戦闘を開始します!」
初投稿です!
週1か2くらいで投稿できたらいいな〜と思ってます!
拙い部分もあるかと思いますが温かい目で見守ってください...
誤字、脱字、感想ありましたらどんどんお持ちしております




