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「ボクは教師になります。」

作者: 雪吹 佳音
掲載日:2025/11/01

ある日の6時間目、アンケートが配布された。

ボク(赤石 誠)は、ある質問でペンが止まってしまった。


「あなたは将来どんなことをしてみたいですか。」


してみたいこと。

その質問は、ボクにとって一番難しい質問で分かりにくい質問だった。

結局、ボクはその質問だけ答えることができなかった。

幸い担任の先生が明日の朝までならと、しぶしぶではあったが許可をもらった。

友達の金倉宋、松下海斗に少し協力してもらおうと思った。

二人はボクが将来の夢が決まっていないことを相談した。

すると二人は口をそろえて言った。


「簡単じゃん。自分がいいかもと思ったらやればいいじゃないか。」

「でも、そのやりたいことがないんだ。」


ボクは少し悲しかった。

二人の答えは少し適当に感じたからだ。 

結局、そのあとも話は続いたが、簡単なことなのに分からないお前がおかしい

というような口調でしか言わず、ボクの話は聞いてくれなかった。


「ごめんね、ありがとう。参考にしてみるね。」


とそれだけ二人に伝えて家に帰った。

カラスと木々の葉がこすれる音と少し遠くから聞こえる運動部の声がした。

赤く焼けた秋の高い空を見た。

気づけば、日が暮れると少し肌寒くなっていた。

冷たい風が静かにボクの髪を揺らす。


「帰宅部しか、この帰り道の風景は毎日見ることができないな。」


そんなことをボソッと呟いて、家に帰った。



家に着くとすでに空の色は橙色と藍色のグラデーションができていた。


「ただいま。少し遅くなった。」


部屋の奥からタッタと走る音がした。


「お兄ちゃん!おかえり!!」

「うん。ただいま、天音。」


妹の赤石天音は小学3年生の妹で中2のボクからすると歳がだいぶ離れた可愛い妹だった。


「お兄ちゃん、なんかあった?」

「え?」

「なんか悩んでるの?」


ボクは歳は違えど、天音にも相談してみた。


「うーん。そっか。」


天音は真剣な表情で言った。


「天音は何に将来なりたいの?」

「私はね、歯医者さんになるの!」

「天音はどうして、歯医者さんになりたいの?」


そう天音に聞くと、天音は少し機嫌の良い顔をして答えた。


「歯医者さんね、私きらいなの。」

「だって、たくさんの機会があるし近くで子供の泣き叫ぶ声が聞こえて怖いでしょう?」

「でも、私の歯医者さんはちがうの!」

「どんな小さい子でも、最初からバイバイって帰るまで笑える歯医者さんになるの。」


天音は自信に満ちた顔でそういった。

ボクはその考えに感心してしまった。

ボクよりもずっと、年下だけれど自分の夢を明確に決めている。

ボクの妹ができて、ボクができないわけがない。

妹を見習わなくては。

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