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旅行中

……「えぇ。この町にある5つの店はどれも売り上げは順調で、もうこの町の住民の大半がお客さんです。多くの企業とも取引していますし、おかげで領主様の覚えも良くて最近港の使用権をいただきました」


「良かった。ありがとう。今後は港の整備とかも積極的に申し出てね」


 中規模の町だから簡単だったね。領主も代々の貴族の家系で投資を必要としていて助かった。

 カーディフィーはクネズ公国内だけど私の領地から最も近い港の1つ。


 他の大商人が競争しかけてくるほど大きく重要な港じゃないし、途中までマイカ子爵の町から川を使えるのが決め手だった。

 なんで港を使いたいのかって? 船って意外と早いんだよね。


 ボーッと河原から見ていると遅く感じるけど、実は船って結構速い。というか馬車が遅すぎるんだよ。途中に町とか無いと、馬のご飯だけで馬車の一角を使っちゃうしさ。

 鉄道は速いし便利だけど、工事に時間がかかっちゃう。


「どう? 船が急にキラキラしてきたでしょ?」

「えぇマスター。おかげで何故そこまでこの小さな町にこだわるのか理解できました。そういえばウェクス王国領にも港がありましたよね。あっちはどうなんです?」


「あっちは漁港みたいなのしか無くて、流石に困るかなって感じ。大きいのがあるけど、マシア王国と近くてね……万が一の時に真っ先に目標にされるだろうから。クネズ公国とは仲が悪くないし争う理由もない。西側はここをメインにして大丈夫だと思う」


 まぁ威勢のいい事を言ったものの不安はあるよ。でもメリットがあるうちは相手も裏切らないでしょ。

 根拠……はまぁ私の商人としての嗅覚って事で。


「あ、お待ちくださいマスター。現在旅行中とお聞きしました。良ければこれをどうぞ」


 差し出された冊子を見てみると“クネズ南部観光名所”の文字。最高♪ 仕事できるモンスターがいて私は幸せだよ。


「ありがとう! お礼に何かあったら言ってね〜」

「では人を増やすために予算を増やしてください」


 おっとよく見たら黒エルフの目にクマが出来てる。これを見逃すとは反省だね。


「分かった。キングに伝えとくよ」




「あ! みんなここにいた」

「逆にアオバどこ行ってたの?」


 待たせすぎて、みんなが店まで来ちゃった。まぁ持っている屋台の串からして楽しんではいたみたいだけど。


「ごめんって。こんなに時間かかるとは思わなくて。それより見て! 観光地教えてもらったから行こ!」

「いいね。ちょっと待ってて。回復魔法かけてあげる……これで少しは歩きやすくなったでしょ」

「ありがとうシアン」


 うーんゴールド他の子には普通の対応なんだけどな。今までは私が何か言うと大体1番に反応してくれたのに。

 もう少し様子を見よう。


 まず最初の行き先は〜山が1番近い! いや夜景が綺麗らしい。後にしよ。じゃあ市場かな。活気があるし。


「少し市場は遠くないか? こっちのハイキング用の林のが近いぞ」


 ちょうどゴールドから質問。君なら賛成すると思ったのに。食べ物好きでしょ?


「だってもうお昼ご飯の時間じゃん。ハイキングなんかしてたら夜ご飯の時間になるよ?」

「あぁそうだよな。えーっと市場は、こっちか」


 歩く事10分。海の匂いだ。風が気持ちいいね。ウミドリの声も聞こえる。

 にしてもそれをかき消す客引きの声。


「とれたてだよー! カーディフィーまで来てこのエビを食べない手はない!」

「うちの店はこの町……いや、この国で1番美味しいよ!」


 いいねー港町って感じで。ゼロフロアのサードイルを思い出す。あそこは別大陸に移った冒険者精神あふれる子達がいるから活気がすごいんだよね。


 私たちは近くのレストランに入って色々注文してみた。どれも美味しいけど最後はやっぱりこれ! 


「ウェルシュケーキをお持ちしました」


 砂糖がたっぷりまぶされた丸いケーキの山がテーブルに置かれる。

 中には干しブドウが入っている。


「クネズ公国に来てこれを食べない手はないね!」

「……アオバも商会員に教えてもらっただけでしょ」


 食べてみると少しビスケットに似た食感。素朴な味を楽しみつつ、ここで紅茶を一杯。それもミルクと砂糖をたっぷり入れた甘いミルクティーと一緒に食べるのが普通って聞いた。うん、合う!

 うーん幸せ。絶対また来ようっと。


♦︎♢♦︎♢♦︎♢ ♦︎♢♦︎♢♦︎♢ ♦︎♢♦︎♢♦︎♢ ♦︎♢♦︎♢♦︎♢ ♦︎♢♦︎♢♦︎♢


「なぜか、なぜかゴールド様に強い怒りを感じる」

「どうしたんですか団長。何かあったんですか?」


「いや、なぜか俺たちが苦しんでいる間にとても楽しんでいる気がする」

「そりゃ旅行中なんだからそうでしょうよ……あっ団長、そっちにオーガが2体!」


「その後ろからはゴブリンジェネラル率いる20匹の群れが迫っています。おそらくメイジ。対魔法障壁発動」

「分かった。おいお前! 障壁を張っている間、彼を守れ」


 そこから1時間。敵は逃げていった。これで何匹目だ。

 しかも妙に統率のとれた連中で回復魔法で回復しながら逃げていくから、ほとんど倒せない。


「団長。もう引きましょう。こんな所で万が一死人が出たら大騒ぎになって降格は免れませんよ。ゴールド様にもご迷惑がかかります。今のところやけに魔物が強い気がしますが、異常というには足りません。何もなかったんですよ」


 そうだ。ギリギリ普通の魔物量。報告してもギリギリ見逃されそうな……大騒ぎにすれば……いや、何を考えている!


「またゴブリンです。数は15」


 待てよ? さっきから全員同じ方向から来ている気がする。もしかしてこっち側に、何かがあるのか?

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