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カーディフィー

 一瞬でマイカ子爵の町にまでたどり着いた。マイカ子爵は忙しいという事で代わりの人に挨拶をしてから隣の貴族の領地にまで向かう。

 今度は船を使えるから、だいぶ楽だし速いね。


 流石に川で船酔いになる人もいなくて、公国に行った事がある護衛の人から現地の事を聞いたりして過ごした。


 まだまだ道は長い。怪鳥もう安くて良いから、あちこちに売ってどこでも降りられるようにしたいね。

 ヴェール伯爵が許せばだけど。


「ねぇゴールド、学校もうすぐだっけ?」

「え? あ、あぁ。まだしばらくは休みなはずだぞ」


 なんかゴールドの様子がおかしい気がする。寝不足?

 旅行の間に解決できるといいなぁ。




「おい、お前ら。バレないうちに早く馬車に乗り込め」


 まったく我らが栄光ある騎士団が、こんな夜逃げみたいなマネをしていると知れたら一生の恥だ。

 そこまでは言わないにしても個人的に恥ずかしい。


「団長。後はあなただけです」

「分かった」


 呼ばれたので馬車に乗り込む。今ごろは酒に強い団員が、私達を警戒させないためにブラウン領の兵士達と飲み会をしている頃だろう。


 にしても私達がいなくなった事に気づかず、兵士ほとんどが飲み会に参加とは不安になる。彼らはいざという時は味方になるのだからな。


「まぁ彼らも兵士になってそう時間は経っていませんし、仕方ないでしょう。それよりブラウン準男爵にはバレていないんですよね」


「バレていたら何かしらの事をするだろう。もうブラックリ村からはある程度離れたし、ここまで来る事が出来たという事は大丈夫だ」


 夜での任務とはいえ流石は私の部下達だ。5人いるうち誰も眠そうなヤツがいない。


「団長、一応今回の任務の目的と予定を確認させてください」

「そうだな。最後のブリーフィングにちょうど良い。これが最後だからよく聞けよ!」


 俺たちの目的地はブラックリ村まで流れている川の流域調査だ。ゴールド様の安全を確保するのが俺の役割の1つ。


 あの子が10歳になった頃から付き従っている。そんな中であの子が仲良くなったのがアオバ・ブラウンという名の女の子だ。


 小さなダンジョンだからと、自分の力で冒険してみたいというゴールド様を1人で行かせたのが良くなかった。

 そこでドラゴン……は流石に嘘だと思うが、何かしら危険な目にあった所を助けられたというのが、友達になったきっかけらしい。


 ゴールド様は無敵とは言わないが、よほどの無茶をしない限り危険におちいる事は無い。それで興味を引かれたらしいが、こちらからしたら怪しい事この上ない。


 それで調べてみたら、この女の子は元は一般的な庶民の出だったにも関わらず、あっという間に貴族の仲間入りを果たしたという経歴を持っているらしいでは無いか。


「団長、それでなんで本人への取り調べで無くて何も無さそうな川の調査なんですか?」


「うむ。確かにそれは皆が気になっているだろうな。少し長いから集中しておけよ」


 この女の子がここまで早い出世を果たしたのは寒波で地方が困窮している中、多くの物資を供給して地方の安定化に貢献した事が理由らしい。


 しかしこれらの物資はどこから出てきた?

 確かに川の向こう側の地域でいくつもの商人が取引しているとは言っている。

 ただし細かく調査した訳ではないが、到底あれらの商人でこれほどの量を支えられるとは思えない。


 特に全土で物が不足している時に仕入れられるのは、おかしいだろう。

 もちろん商人達も全ての取引先やその詳細を明かしてはくれないし、量に差があるのは分かる。


 しかし、ここにきてブラックリ村周辺にあるダンジョンに隣接した森に関する情報が何も入ってこない事に気づいた。

 なぜか領主直々に立ち入り禁止エリアに指定したらしい。


「あそこには何かある。ほぼ全ての物資がこの川と森を通って来ているのだ。それを突き止めゴールド様の周辺に外道の者がいるとなれば排除する。国のためにもなる」


 しかしゴールド様は証拠もない疑惑で、友人を疑ってると思われたくないため我々には秘密での調査を命じた。よって尋問や公権力を使った調査はできない。


「以上だ。分かったか?」

「了解しました!」


「良い返事だ。森は遠い上に途中で何ヶ所か調査するから先は長い。そう気を張る必要は無いぞ。ここまで来て何も無い可能性もあるにはあるしな」

「ははっ。せっかくゴールド様に出来た数少ない対等な友人です。私としてもそれが一番良いんですがね」


 眠る俺たちに、馬車の操縦をしている団員だけがあくびで抗議をしてきた。交代時に少し早くかわってやるから頑張れ。




「おはよー!」


「元気ねアオバ……」

「私は昨日着いたばかりで全然寝た気がしないよ。もう1回寝ない?」


 2日もかけて到着したばかりだからシアンとオレンジは流石に眠そうだね。


「おはよう」

「おやすみ」


 すごく冷たい返事が男子部屋からも返ってきたから二度寝決定。私もいつもだったら、このままベッドに行くところ……だけど今日はなんか調子が良いし外に出てみよう。


「ごめんくださーい。支店長いる?」


 今私たちが滞在しているのがクネズ公国南部の港町、カーディフィー。そして私は少し前に開設したモンスター商会のカーディフィールド支店に来た。


 ここには特別に赤字スレスレで良いから安く売るように伝えている。問題も起こしていないし、黒エルフも数人派遣して住民からの信頼度も結構高い。


「ごめんね。今支店長はお休みなの。親御さんを連れてまた来てね」


 受付のお姉さんにやんわり追い返されそうになった。ただの子供だから時間の無駄だと思われたみたい。

 私も肖像画とか描いてもらって全店舗に置くべきなのかな。


「私はアオバ・ブラウンです。数日前に届いたはずの手紙で本日は支店長の予定を空けておくように伝えたはずですが」

「え、あなた……様が?」


 私はブラウン家の紋章を見せた。


「も、申し訳ありません! すぐにお呼びします! 応接室でお待ちください」


 私がフカフカのソファに座ってジュースと一緒に待った。

 おっ、このソファすごく品質が良い。どこ産かと思えばアングル王国。シトラスに感謝だね。


「お待たせいたしましたマスター。本日はどのようなご用件ですか?」


 ここの支店長は黒エルフ。盗聴防止の魔法をかけてある部屋だから安心して会話が出来る。


「調子はどう? もうあの件は実現出来そう?」

それよりブラウン準男爵にはバレていないんですよね。


ここのブラウン準男爵の部分をゴールド様から変更しました。ミスであり話に影響はありません。

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