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1周年記念祭

最近はうちの軍がしっかりと活躍しているようで、周りの魔物がだいぶ減ってきて商人からは好評だね。盗賊の拠点もたまに潰している。

 

 おかげで他の道を使っていた商人が少しずつ私の領地を通ってくれるようになった。数は少ないけど北部の村から小さな船を使って交易しにくる人もいるからブラックリ以外の村も少しは潤うと思う。


 そしたら苦情を言ってきたのが冒険者達。あちらが立てばこちらが立たずとはまさにこの事。午前中にギルドのブラックリ支部長が来たのを思い出す。


「アオバ様。今日は時間を作ってくれてありがとうございます」

「私は冒険者達を大事に思っているからね。私だって現役だし」


「ダンジョンの情報をたまに持ってきてくれるのは助かりますよ。それにしてもアオバ様の軍はお強いですなぁ。この辺の魔物を一掃してしまった」

 

「一掃は言い過ぎだよ」

「またまたご謙遜を。私もこの村を気に入っていますので出来れば引っ越したくないものです。それでは私はこの辺で」


 それだけ言うと支部長は帰って行った。

 わざわざそんな褒め言葉に言うために来たとも思えない。言われた事を考えるに多分、冒険者達の仕事が減っちゃったんだろうね。


 支部長が引っ越す……という事は支部が小さくされるか最悪無くなっちゃうのかな。


「みんなはどう思う?」


 私はゼロフロア会議でみんなに聞いてみる事にした。冒険者はダンジョンのポイントに直結する。ちゃんとモンスター達の考えも聞くべきだと思ったからね。


「ゴブリンとしては冒険者に増えて欲しいです。私達が掘る鉱石がブラックリ村に売れるのは工場のお陰ですからね。その客は領内を通る冒険者が多いです」


 鉱山を運営するゴブリン達がそう言った。でも他のゴブリンは微妙な表情だけど。


「黒エルフとしては減っても問題ありません。そもそも農業牧畜分野に多くゴブリンを振り分けるという風に前回の会議で決まっているでは無いですか」

「まぁゴブリンの中でも減っても良いというやつもいますね」


 うーんモンスター達は冒険者はいらないって感じか。


「待ってください。今後はゼロフロアでも輸入しなければいけない物があります。輸送の関係で無限に物を売れるわけでは無いし、公益が伸び悩んだ時用に冒険者からのポイントは逃せません」


 キングがそう反論をしてきた。キングが言うならとゴブリンは納得したけど黒エルフはまだ賛成じゃないみたい。


「とはいっても冒険者をダンジョンに連れてくると船を使ってもポイントとしては赤字です。保険にならない」


 それを聞いて今度はシリウスが発言を始めた。


「ギルドがダンジョン目当てにお金を使ってるという事は冒険者達が増えると予想しているからじゃないか? 一度に大勢をダンジョンに連れて来れるなら悪く無い。私としても人間相手に本気で戦える機会は練習として助かる」


 シリウスはポイントだけじゃ無くて軍事的に賛成みたい。実際ポイントとして特になるかは微妙だけど、人が増えたらギルドや商人が馬車の運行をするケースも少なくない。


「ちなみにダンジョン近くで活動してもらうのは?」

「それはダメ」


 まだゼロフロアに繋がる森の監視が完璧じゃない状況でそれは出来ないから私が却下した。


「とりあえず意見がもう無ければ評決をとるよ」


 すると賛成の方が反対を上回った。反対は黒エルフの半分とゴブリンの一部だけ。

 そうと決まれば話は早い。私がブラックリ村からダンジョンまでの船をしばらく無料で運航すると発表すると、お金が無いけど訓練したい新米冒険者が周りの地域から集まってきた。


 出来たばかりの弱いダンジョンは外と違って急に強いモンスターと遭遇する事も迷う事も少ないから、新米冒険者にとってはお金までかからない最高の訓練場と思ってくれたみたい。


 新米冒険者を一人前になるまで支えるのはギルドの望みでもあるから、その発表のすぐ後には支部長から私の商会に馬車用の車体の注文が入ってきた。

 私だって新人冒険者の気持ちはよく分かるから意外な結果になって大満足かな。




「ねぇエリー? 今日がなんの日か分かる?」

「あぁマスター、こんな重要な日まで忘れてしまう頭になられたとはおいたわしい」

「1周年記念日って言うのにそんな長い文章にする必要がある?」


 今日は朝からゼロフロア中がお祭り騒ぎ。私は朝から昼まで各地の町や村を周って、みんなに手を振るお仕事。これが出来るのになんで学校の発表は緊張するんだろ。あれ治らないんだよね。


 最後に来たのはファーストル。3階建ての建物が建ち並ぶ大通りを見下ろしながら屋台で買ったパイを食べる。

 2つ目買おうかと思ったけど、私が買った後は大行列が出来てすぐに売り切れちゃっていた。


「今ファーストルに何人いるんだっけ?」


 町役場でゆっくりしていたら隣にキングが来たから聞いてみる。


「やっと大台にのって30153体です」

「最初期が信じられないね。キングすらいなかった頃だよ」

「ダンジョンの映像でだけなら見た事があります」


 家数軒とその庭くらいの広さで魚を取って売っていた頃。ちょうど良い距離にブラックリ村があったのは本当に幸運だよね。

 今のゼロフロアは公爵領2つ分くらいの広さがある。地平線が見渡せるくらいだよ。まぁまぁの割合が海だけどね。


 部屋が突然明るくなって爆発音が聞こえる。照らされた部屋の色は赤に青にと次々と変わってゆく。


「やはり夏といえばこれだね」

「そうなんですか? マスターがやりたいと言うからやりましたが……なんにせよ綺麗な物です」


 見惚れているとエリーが串焼きとかプリンを持って帰ってきた。


「エリーそれ食べられるの?」

「えぇ頑張れば」


 そう言いながらも串焼きを1つ差し出してきた。なんだ食べられないんじゃん、と思ったらまだ2本も持っている。ちょうど3本か。

 うんとってもジューシー。


 今日も交易はやめられない。港からは今日も商品を満載した船が出ては戻ってくる。

 あの船からはどんな景色が見えるのかな。


 そんな事を考えているうちに私とエリーは包まれ始めた。全ダンジョン関係者の集まりだね。でも口にソースが付いてるマヌケな状態じゃ無い時にして欲しかったかも。

 第102番ダンジョンを待たせているわけだし。

誤字報告ありがとうございます!

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