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忘れられた地

 情報部にも協力してもらって調べてみると、村や町には思った以上に色んな祭りがあった。変わった物だとチーズを転がして競う祭りや、パイで船を作って池を渡る祭りまである。

 私は町を2つのグループに分けてボールを取り合うゲームが1番楽しそうで好きだね。参加してみたい。


「しかしマスター。なぜ祭りを調べているんですか?」


 協力してくれている黒エルフが聞いてきた。


「んー? だってお祭りっていっぱいの物を使うじゃん。そのお祭りを色んな所に広げていけば……」

「各村や町で多くの物が必要になりますね。そうか、それを私達が売ればさらに売上が上がりますね。マスターは広まるまでにどれくらいかかると思いますか?」


「今は誰もが不安がっているもん。どこも楽しみを必要としているから飛びついてくれるんじゃ無いかな。お祭り用の物は安く売るとかするつもりだし」


 隣国での戦争からたくさんの逃亡兵が盗賊化しているし、魔物だって今年も元気いっぱい。地方の領主の収入が減ってきていて、魔物から守る兵士も不足してきているとも聞いている。

 せめてこのお祭りで、お客さんが少しでも楽しんでくれればとも思って始めた……って事は内緒にしておこう。職権濫用になっちゃう。


「そういう事でしたか。しかしこの紙に書かれた特別価格表を見るに儲けは少なそうですが、上手くいけばいずれは他の地域からの見物客も来ると思われます。もし良ければ部下に観光業について調査させますが」

「それいいね。名案。時間がかかっても良いから頼んだよ。モンスター運輸との相性は良さそう。最初に広める祭の分は既に用意してあるから、キングに港まで持ってくるように伝えておいて」


「承知しました……おや? 用意されている分は少し多めじゃ無いですか? 全ての町村で祭が行われても余りそうですが」

「ああそれはゼロフロアの分だよ。君達だって楽しまなくちゃ。誕生1周年をさ」




 ダンジョンだけが豊かになれば良いわけじゃない。ついに減税期間1年が終わる。つまり税金という形で直接コインを入れてくれる私の領地にも発展してもらいたい所。


 ブラックリ村は色んな物が整ってきたし、人口が増えるまで少し待たないといけなさそう。それにやる事もどんどん大規模になってきてお金がかかりすぎちゃう。


 私はようやく残り2つの村にもっと力を入れる事にした。

 いや待って。分かるよ可哀想だろっていう気持ちは。でも私みたいな新興領主は全ての所にお金をかけても全部が中途半端に終わっちゃうだけなんだよ。


「それで俺は何をしたらいいんですか?」


 ガルドさんも時間があるから付いて来てもらった。他の2つの村とのやり取りは私よりガルドさんの方が多いから顔役にね。それにブラックリ村側の意見も聞きたいし。


「気を遣ってあげてくださいよ。もちろん昔に比べて両方の村ははるかに豊かになっていますが、それでもブラックリ村と比べていますので」


 私はまず1つ目の村に来た。ラッキーな事に2つの村は近いから行き来は難しくないね。他の地域から離れていても村が残っていたのはそれが理由なのかな。

 この村は大きい方。人口は300人目前で私の故郷がそぼまま少し大きくなったような感じ。つまりは普通の村。


「これはガルドさんと……領主様。本日はどうなさいましたか」


 その村の村長さんが嬉しさ半分といった表情で出迎えてくれた。門で話すわけにいかないと、村長宅に案内される間に今日来た目的について話す。


「この村の事を知りたくて来たんだ」

「領主様がこの村の事を知ろうとしてくださるとは思いもしませんでした。ありがたい事です」


 遠回しに興味無いと思ってたと言われている……と思う。貴族社会ではそんな言い方されると牢屋ってのもあるらしいけど、そんなんする気にはならない。

 失った信頼は今から取り戻す。


「うちの村も領主様のおかげで飢饉や身売りといった事は無くなりました。しかしブラックリ村の盛況ぶりを見て若者は村を出たがっていますね」


「なるほどーこの村の名産品とかってある?」

「名産……ですか。うちはずっと細々とやってきたので思いつきませんね」


 うーん、じゃあ何か作ってあげるしか無いのかな。全員がブラックリ村に行くのもギャンブルみたいで嫌なんだよね。何かあったら一発でダメになっちゃう。


「問題は3男以降の人達だよね?」

「はい。他にも親が家業を持っていない家の子供も外に出たがっていますね。しかしほとんどは農家の子供です。多産なのでどうしても余ってしまって……」


「じゃあ周りの土地を耕して欲しいな。必要な物は格安で売るし、土地は自由に使って大丈夫。肥料とか種もこっちで責任を持って供給する。

 それと、この村で出来た食料は品質が悪くなければ全部私に買わせて欲しい。他にも牧畜に興味ある人がいたら教えて」


 悪いけど農家の子供以外は労働力としてブラックリに行ってもらった方が助かるかな。

 実はゼロフロアの人口が増えすぎて食料は輸出どころかいつか輸入に転ずる予想ってのが先週のゼロフロア会議で出てきた。


 これら2つの村が食料と人を供給、ゼロフロアが鉱物とか木材、服や製材みたいな誰でも作れる物。ブラックリ村がそれらを使って工業品とか高級品。

 このサイクルを完成させたい。そしたらうちの物が他の領地に高く売れるようになる。


「ありがとうございます。領主様が買ってくださるなら安心して私どもも農業の方に集中できます。もしお時間がありましたら詳細を聞きたいのですが」

「もちろん大丈夫だよ。購入予定価格は……」


 ありがたい事に村には養鶏の技術を持った人もいるらしい。卵はすぐに出来るから、鶏を渡してそっちも作ってもらおうっと。

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