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工業地区

 村が無理なら私が職場を用意する。その方がゼロフロアと競合にならないで済むし。

 今アルバイト状態の移民は220人。あといやいや冒険者になっている人が30人ほどいる。


 この人達がここにいるのは私が村人以外は初年度税金無料にしているからで、上げれば居なくなると思う。でもそんなもったいない事はしたくない。


 とりあえず今の村に必要なのは職人達。鍛治でも家具でもなんでもいいからさ。結局ゼロフロアのモンスター達じゃ、ものすごい品質の物を作る事は出来なかった。


 やっぱりそれを作る事が出来る可能性があるのは人間達らしい。悔しい。

 まずは前の仕事やスキル、実際の試験で試して、その間に仕事場を私が建ててあげる。効率化のために大きいのをみんなで使ってもらう事になるけどね。


 大金を叩いて土魔法を使える魔法使いを集めたら工場は15日ほどで建ったし、道具はゼロフロアから持ってきた。

 場所は村の中心地から少し離れた場所にしてある。単純にうるさいからね。あと港にも近いのはポイントが高い。


 移民の中で何かの製造業に携わっていた人は160人。6割以上もいる。工場をタダであげるわけにもいかないし、彼らはモンスター運輸で雇うという形になった。

 私は不思議に思って村長のガルドさんに聞いてみた。


「職人さん多くない? 他の村だと農民とかばかりなのに」

「農民は貧しい人が多いから遠くまで逃げられませんよ。それに職人は弟子の人数が限られるから、今まであまり村で雇われなかったんですよ」


「でもブラックリ村は元農民の人が多いよね?」

「私たちは彼らのように、そう遠くから逃げて来たわけじゃありませんから」


 なるほど。それなら移民達がずっとアルバイトの可能性もあったのか。危なかった。

 でもこのままだと元の村人から不満が出そうだから、私の工場で働くなら、今の鍛冶屋は私が良い値で買い取る事にした。


 ほとんどの職人は大金と安定した生活も手に入ると言って満足したし、


 最終的には全部で200人ほどが工場で働いてくれる事になった。今まではこの人達が自分で鉱石を買いに行っていたらしいけど、時間がもったいないから運搬人とかも雇ったし、鉱石や木材はある程度の品質をゼロフロアで見繕って渡す。


 綿や糸などは用意でき無いけど、シアンの領地では作っているらしいからそこから運んでくる。そっちだと買い手がいない分、多少安く買えるからね。足りない分は高値で買うしか無い。


 そうやって持ってきた物を安値で村の職人も使って良いと言ったら、工場では雇わなかった優秀な職人も近くに拠点を移す人が多かった。ガルドさんの弟も引っ越しているのを見かけた。




 2週間後にもう一度様子を見るために村に戻ってきた。


「おぉアオバ様! ちょうど良いところにおいでになられた。これをご覧ください。アングル王国西部から来たやつが造ったんですが、なかなかの品質でしょう?」


「本当だ。この剣なら……B級でも使ってくれると思うよ。30万コインを超えるんじゃ無いかな」


 今のところ、工場では冒険者用の武器防具とかを作ってもらっている。

 モンスター用にはスキルなどの関係もあって、まだまだ剣や槍の方が銃より倒しやすいから現役なんだよね。銃なんか人数揃えないとまともに当たらないし。


「じゃあ売ってくるからこの箱に入れて。後で運搬役が馬車に詰めこんでくれる。売れたら決まった割合の報酬を職人に渡すよ」


 移民の中には炉の温度を上げる方法を知っている人もいた。明らかに鉄の品質が上がったから、今度やり方を教えてもらおう。

 ゼロフロアでも真似できるかもしれない。


「そうだ。我々から贈り物を用意しました。仕事をくれたお礼です」


 それは時計だった。そういえば時計職人もいたね。珍しいからビックリしちゃった。

 王族とか高級貴族の間で腕時計が流行っているらしい。学校でもアンバー公爵令嬢が付けていて羨ましがられてたな。


「そんな物を……いいの?」

「はい。少しばかり時間はかかりますが」

「ありがとう。家宝にするよ。そうだ、それを使った大時計を作るってのはどう? 村中のみんなが時間を分かるようにしよう」


「良い案でございます。では鍛治師には鐘を造るように伝えておきます」

「分かった。こっちも小さいけど建物を建てておくよ」


 結局お金はかかるけど気分はいいね。領民の気持ちに応えるためには多少のお金は惜しまないよ。

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