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ダンジョンバトル2 前編

 しばらく真面目に学院に通うつもりが、早くも舞い戻ってくる羽目になった。今更だけど私の領地を管理する人間を本気で探した方がよさそうだね。


 今のところは大丈夫だけど、領地も商会も黒エルフのみというわけにはいかないし。当たり前だけど人化しても人間界の知識はほとんど無いから教育に時間がかかるんだよね。


「すみません。なぜ人間は敵対していないモンスターをも積極的に狩るんでしょうか?」


 最初の情報部の職員たちは私が直々に教える必要があったけど、その時に飛んできた質問がこれ。おかげで人間世界の経済からルール、価値観などを簡単に教える羽目になった。


 それでも最低限大事な事を教えたら、人間界で自分で本なりなんなりで勉強してくれるからあまり時間はなんとかなった。

 ちなみに今は情報部の先輩たちが後輩たちに教えていて、簡単なテストをクリアする事で外の世界で働く事が出来るようになる。


 人間界に出た後は現地のモンスター商会で人間を雇って教えてもらったりしている。ばかにならないコストはかかっているものの、おかげで今の情報部職員280人のうち8割が冒険者、兵士、下級役員、商人として活動しているから何かあったら使えるだろうね。


 まぁそれは時間のある時にとりかかるとして。

 今回戻ってきたのは別の事のため。まずはダンジョンの強化。そしてダンジョンバトル。終わって時間があったら他の事を考えよっと。


「エリー、ダンジョンをうんと強くしよ! 10層以上にしよ!」

「ポイントはあまり余ってないのに?」


「……7層くらいまでにしとこうかな。というかポイント無いの? 私同じ世代で2位なんでしょ?」

「だいたいポイント入ったら鉄道建設、ゼロフロア拡張、モンスター召喚に消えるじゃないですか」


 悲しい。そんな計画性が無い人みたいに言わなくても。

 ……無いのかな?

 仕方ない。7層でも今の2倍だしやってみよう。




 はい! こちらに出来上がった物を用意しております。

 5層は森林。モンスターも動物系が多くて食べ物に出来るし、ついに私のダンジョンも泊まり込みで来る冒険者が増えるかも。


 6層は洞窟型の一般的なダンジョン。安いんだよね。このタイプの階層。おかげでモンスターにポイントを使える。


 7層は草原エリア。上にも同じのあったし攻略余裕、って冒険者は思うでしょ?

 ところがところが天井はうんと高くしてあって飛行系のモンスターをたくさん配置した。1番驚異なのはハーピーかな。


「ボス部屋は作らないんですね。少し高いとはいえ確実に冒険者を足止め出来るのでは?」


「今回はダンジョンバトル目的の強化だし、そうなると数で押されて意味ないかなって」


 もし冒険者がゼロフロアまで来たら、その時は袋叩きにすればいいだけ。立ち入り禁止にしているから処刑したって発表すれば誰も疑問もはさまない。


 というわけで強化は終わり。ポイントも復興用を除いてほとんど尽きたし貯金もない。

 負けるわけにはいかない戦いが始まる……!




 3日後にはイエナから通信要請が来た。


「さぁ時間よ! 準備はいい? 最近は雑魚の相手ばかりだったんだから楽しませなさいよ」


 どうやらイエナはダンジョンバトルを繰り返しているらしい。聞くとこれで10回目だとか。

 これこそ裏切り者じゃないのかな。ダンジョン文化は分からない。


「もちろん出来ているよ。悪いけど負けるつもりは無いから」


 準備として1週間分の商品は先に運び出しておいた。後は森でコロニーを作っているモンスター達が管理してくれるだろう。

 ブラックリ村にも既にダンジョンの異常を報告して閉鎖している。


「今回は2人きりだから余計な邪魔が入り込まなくて良いわね。それじゃあ始めよ!」


 イエナはそう言うなり通信を切った。わざわざ切るって事はおそらく本人も前線に来るつもりなんだろうね。

 マスター画面からは直後にイエナ側のモンスターが大勢入ってきたのが見えた。




 まずいね……こんなにもイエナが強かったなんて。あれから4時間で1〜3層は陥ちた。そこは良いよ。罠も役に立ったし。

 相手の弱いモンスターはあらかた葬ったけど、その他、そして1番の問題はイエナ本人だ。謎の鎧を着ていてほとんどの攻撃が通らない。どうやって倒そう……死んでもダンジョンバトルなら復活するから手加減はいらない。


 4層はゼロフロアの次に広い階層になっている。シリウスは前回のように、ここで防衛を図っている。

 障害になる建物も多いからね。送ったモンスターは2000匹。ほとんどはオーガや黒エルフで、ハーピーや怪鳥といった空飛ぶモンスターも7層から送っておいた。そして地龍を20体!


 あっ地龍っていうのは飛べないドラゴンみたいなやつね。とにかく肌が硬くて、そこらの攻撃じゃ通じない。


 イエナのモンスター達が4層に入り込んでくる。向こうは増援も送り込んで来て、弱いモンスターが3000匹ほど増えている。前に見たゴーレムも混じっているね。

 数は圧倒的でも、増援はゴブリンばかり。空を飛べるやつはいないし、負ける事は無いと思う。


 それに私だって守るだけじゃない。上層の生き残りとアカネを向こうのダンジョンに送り込んだ。人間の姿で隠れてくれればバレないものだね。

 イエナが強いといえどダンジョンが出来て一年未満。送り込んで来た以上の生き残りなんていないと思う。こっちが先にダンジョンコアを見つければ良い話だよ。




 結果は……なんともいえないものになった。イエナ本人とゴブリン2000匹がゼロフロアまで向かった。

 4層では負けてはいないものの、敵が襲いかかって足止めしている。無理にイエナ達の方に向かうとすごい被害が出ると思う。


 5〜7層は時間稼ぎにしかならないと思う。なぜか無敵になっているイエナがいるし、モンスターの大半は4層の戦いに連れて行った。

 ただ稼いだ時間で出来る事はある。ゼロフロアのエリーに準備を進めるように伝えよう。


「アカネ。そっちはどうなっているの?」


 私は向こうのダンジョンの様子を聞いてみた。結局はそこまで行かないと勝てないんだから。


「順調です! 10層を攻略しましたよー。どうも防衛にほとんどモンスターを用意していないみたいですね」


 それなら勝てるか。良かった安心。


「イエナはそれで急いでいたのかな。だったら私の勝ちだね」

「多分そうでしょ……最下層みたいな所に辿り着きました。行き止まりです!」


「オッケー。じゃあコアを破壊しておいて。お疲れ様」


 終わった。意外とあっけなかったね。イエナに通信を繋いでみよう。ふふふ、どんな顔するかな。


「イエナ。背景からして……6層にいるのかな。残念だけど私達が先に最下層に着いたよ。これで私の勝ちだね」


「あら、最下層まで大変だったでしょ。そんな所へ何しにいったの? もしかして……これかしら?」


 そう言うとイエナは甲冑を脱いで中から丸い玉を覗かせた。ダンジョンコアだ。


「正直アオバがこの甲冑を破る事は出来ないと思うわ。それじゃあ」


 そう言うと通信を切られた。つまり、その、勝てなくない?

 落ち着こう。あの甲冑はどこから来たんだろう? ポイントで交換? 確かに無敵の甲冑はあるけどポイント量は桁違い。どう頑張っても交換は出来ないはずだ。


 外にいる情報部の子たちに、どこであんな甲冑を手に入れたのか調べるように連絡した。あの甲冑は多分冒険者から奪ったもの。というかそれしか入手先なんて無いはず。それならどこかに情報があるはずだけど……すぐに見つかるかは分からないなぁ。


 ゼロフロアに入られるのも、もうどうしようもない。まぁ人間に見つからなかっただけ良しとしよっか。どのみち効率が悪くて、私みたいに最初に大金が用意出来るわけじゃない普通のダンジョンは真似しないと思う。

 絶対にそこで食い止める。




 予想通りイエナはゼロフロアに入ってきた。それまでにはゴブリンを200ほど減らす事しか出来なかった。

 イエナは階段を降りてすぐのファーストルへ向かっている。でも避難と準備は間に合ったよ。私はファーストルに残しているモンスターに命令を出した。


「撃て!」


 建物の中や影に隠したゴブリン達が一斉に発砲した。これならゴブリンでも相手を何体も倒せる。本当にシトラスとアングル王国には感謝しなきゃ。

 イエナがゴブリン達を倒そうとするけど、こっちの数は5千。イエナは建物を真っ二つにしても追いかけるけど、そう全滅させられるもんじゃない。あの甲冑ほんとになんなの。


 イエナが指示を出したのか、4層のモンスターの4割ほどがゼロフロアに向かったとシリウスから連絡が入った。

 もう一度イエナの様子を見てみると誰かに話しかけている? そのすぐ後にアカネから敵にもレッサードラゴン2体と、地龍、水棲モンスターが現れたと連絡がきた。アカネはレッサードラゴンと戦っている間に他のは下に向かっていったみたい。


 そんなポイントあるわけない。元々イエナのダンジョンは想像よりもモンスターが多かったのに、これ以上召喚なんてありえない。もしかして。いや今はいいや。

 これで……私の勝ちは無くなった。

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