表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

53/66

ダンジョン探索

「アオバ、ダンジョン探索の話は聞いただろ? グループ組もうぜ」


 教室に戻ると案の定ゴールドがやってきた。周り、特に女子は面白くなさそうな顔をしてる人も多いけど、護衛としてポイントを注ぎに注いだウルフのおかげでテイマーとしては学年最強クラスになった私と組むのは変な事じゃ無く文句を言ってくる子はいなかった。


「君も一緒のグループに入らない? シアン」

「アオバもいるなら入る」


 シアンからしても勇者の卵のゴールドと同じグループというのは悪くない話。喜んで賛成してくれた。


「でも3人は流石に物足りないような。私がテイマー、ゴールドは色々使えるけど基本攻撃役、シアンが回復魔法と少しの水魔法じゃん? 私も多少剣を使えるとはいっても前衛が不安じゃない?」

「だろ!? そこでこいつの出番ってわけだ」


 ゴールドが隣にいた男子の肩を掴んで引き寄せる。そのせいでズレたメガネを元の位置に戻しつつ彼は自己紹介をしてくれた。


「まったく……ゴールドさすがに声が大きすぎるぞ。シアンって子が驚いているじゃないか。俺はシルバ。このアホ勇者のパーティーでタンク役をやっているから前衛は任せてくれていい」

「おぉ頼もしい! ゴールドとパーティーなんて苦労してそうですなー」


「君はアオバだったか。ゴールドから良く話を聞くよ。分かってくれて助かる」

「おいアオバ! それどういう意味だよ」

「そういう所だよ」


 何はともあれ4人そろえば十分。それから作戦会議とかしていたら、あっという間にその日が来た。

 授業開始の合図と共にダンジョンに入る。高レベルダンジョンはまだ早いという事で小さめのダンジョンにそれぞれ数グループずつで派遣されたから人は少ない。


 5層にも入ると相手も手強くなってきた。にしても深いなぁ。ダンジョンが出来た時期を聞くに私と同期のはずだけど、こんなに階層があるって事は格上? それとも私がゼロフロアにポイントかけすぎてるだけ?

 そう考えながら歩いていると後ろから大きな地響きが聞こえてきた。


「なぁ、5層でそんな大きなモンスターがいるって情報を誰か聞いたかい?」


 シルバの問いかけに全員が首を振る。恐る恐る後ろを振り向くと巨大なゴーレムがせまってきた。4体もいる。


「前も安全では無いようね……」


 前からも5体。それぞれから大きな魔力を感じる。明らかに学生が相手にするレベルじゃない。


「くそっ聖剣化!」


 ゴールドが使っている魔剣が光り始める。勇者が使える技の1つなのかな。ゴールドが勢いよく斬りかかった。

 巨大ゴーレムは腕で受け止めようとした。


「させない! ウルフ、腕に噛み付いて動かさないで」

「右腕は俺が! ザ・ウォール!」


 私とシルバに固定された巨大ゴーレムの体にゴールドの剣が深々と突き刺さった。コアがあると思われる胸部に大きなヒビが入る。

 あれ? 相手はあまり大きく無いのかな。この調子ならしばらくすれば倒せるんじゃ無い?


「聖剣化してもこれだけ? これは今の俺じゃ5分くらいしか保たないんだぞ」


 それじゃあ間に合わない。一体倒すのにこのままだと2分近くかかるはず。


「危ない!」


 剣を思い切り刺した反動で動きが止まったゴールドに別の巨大ゴーレムが殴りかかった。すんでのところで動いたけど避けきれず、シアンが回復魔法を唱えている。


 その後もジワジワと押されていった。4体目を倒したところでゴールドの剣が輝きを失って普通の剣に戻る。予想からすれば頑張った方だけど足りなかった。

 ウルフも疲労が溜まってきたのか動きが緩慢になってきている。ここまでずっと1匹で戦わせてきたからね……。こうなったら仕方ないか。


「スリープ」


 私は人を眠らせる魔法を3人に対してかけた。普段なら私の弱い魔法にやられる事は無いだろうけど、仲間を警戒していなかったみんなは崩れ落ちるように寝始めた。


「本当はバレたら困るからやりたく無かったんだけど。アカネ、出ておいで」

「グゥォォォォ!」


 アカネが魔力を込めた爪で引っ掻くと、ゴールドの聖剣化よりも深い傷が巨大ゴーレムに付いて一撃でコアが露出する。もう一撃で巨大ゴーレムは崩れ落ちた。

 あと4体。まさかアカネを呼び出す事になるなんて一体どこのマスターな……。


「良かったぁ。アオバが思ったより弱くなくて」


 聞き覚えのある声が聞こえた。イエナが物陰から姿を現す。同期で1位だったイエナならダンジョンの強さも納得だ。


「で、私のダンジョンに人間と襲いかかってくるなんてどういう事?」





 前に見た時とダンジョンの造りが違った事、人間世界での呼び方を知らなかったなど1時間に渡る言い訳の末イエナはやっと許してくれた。


「そういう事なら仕方ないわね。でもだからって何もなしは良くないわよね。私が欲しい物、わかる?」

「えーと……ポイントとか?」

「違うわよ。前に一緒に戦った時から言ってるじゃない。バトルよ。戦いよ」


「え〜……でも流石にもう断りきれないかぁ。分かったよ。私が勝ったらどうするの?」

「そうね、100万ポイントでどう? 勝っても負けても。私はアオバの事は気に入っているんだから友達のままでいさせてね」


 分かっているよ。安心して。私も友達は大切にするタイプなんだから。


「う、んん。なんで俺は生きているんだ?」 

「ゴールド。無事で良かった。他はまだ寝てるけど、みんな運悪くゴーレムが投げてきた岩に当たったんだよ。私だけじゃ脅威じゃないと思ったのかゴーレム達はどっかに帰っちゃった。失礼な話じゃない?」


 アカネに頼んで岩を適当な場所に投げておいてもらったから言い訳は立つはず。


「そうか……なぁ……お前は……なんで無事なんだ?」


 なんか話し方が変だな。もしかして睡眠魔法の影響? そうだとしたらどうしよう。学院に戻って医務室に行けば治るかな?


「私はその時たまたま転んじゃって。運よく当たらなかったんだよね」


 誤魔化すように苦笑いも付け加えておく。本当だとしたらダサい話だよね。

 しばらくすると残り2人も起きてきたから、2人にも同じ説明をして上の層に行く事にした。あんなんが出た以上近くの冒険者ギルドで一応補充してから行った方が良いからね。


 まぁ私からしたらもう安全だと分かっているけど、いつか使うだろうし怪しまれない程度に安いやつを適当に買っておこう。

 にしても王都の近くだけあって品揃えが良い。人口多くてポイント稼げる分ダンジョンも多いからとはいえ……悔しい。


 だから冒険者もうちの村を通り道にしていくんだよ。この点は人からのポイント稼ぎに直結するし、冒険者が領民に多いと何かに使えそう。いつかなんとかしよう。いつか。


 戻ってみると7層目でさっきのゴーレムより少し弱いレベルのモンスターが跳梁跋扈していたから、そこで退却する事にした。


「多分頑張れば10層突破も出来るかもしれないけど、今回は授業だし安全のためにこの辺にしておこう」


 そういうゴールドの言葉に全員が同意した。この中で一番ダンジョン攻略に手慣れているのはゴールドだしね。


 ちなみに聞いた所によるとゴールドはギリギリB 級冒険者に足りないレベルらしい。

 前に一度見た元A級の強さが異常だった話をすると、B級以上は幅が広く、特に格が違うS級の手前で足踏みするA級冒険者が多いらしい。

 本来の実力からするとD級冒険者の私からすれば全員異常な強さだけど、そこの中でも苦悩はあるんだね。


「といっても勇者認定されているゴールドならそのうちA級くらいまでは確定だろう。僕も頑張らなくちゃ」


 色々教えてくれたシルバはそう締めくくった。今の私のダンジョンは、イオナのダンジョンの5層相当までしかない。

 実際A冒険者の中で有名な人は有名なダンジョンの50層あたりまで行ったらしいし、私のダンジョンも強化した方が良いかな。


 波乱に満ちながらも、この試験は1位で通過して無事に終わった。

 こういう授業は今後もあるらしいけど、お小遣い稼ぎにもなるし悪くないね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ