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ダンジョン踏破?

「な、なんですか今の魔法の威力は。並みの人間に出せる力じゃ無いですよ」

 「あれ? 言ってませんでしたっけ? 私、こう見えても昔はAランク冒険者だったんですよ」


 えぇ~! Aランクなんてそんなにいない。町一番の冒険者になれるくらいには少ない。

 

 「いや~。こういう田舎でのんびり余生を過ごすのも悪くないと思って、それを条件にギルドで働いてるんですよ。お金はもう十分ありますし、ブラックリ村の皆さんは元気一杯で飽きません」


 そう言って職員さんは笑った。建物を何個か吹き飛ばした後だと少し怖くなってきた。この人がダンジョンを攻略しようなんて考えなくて本当に良かったよ……。


 さらに数発魔法を打ち込むと長い大通りが廃墟の中に完成しちゃった。明日になれば勝手に直るとはいえ少し複雑……ていうか修繕用のポイント結構かかっちゃうなぁ。


 私の苦労も知らずにパーティーメンバーたちは上機嫌で歩き始めた。結局なんの練習にもならなかったなぁ。モンスターを集めてなくて良かった。


 「こんなに魔力を使ったので上質な魔力ポーションがどんどん減っちゃいます。また上司に怒られちゃうな~」


 そう言って笑いながら歩いてるこの人は間違いなく大物だよ……仲良くしとこ。

 後はボス部屋を覗いて奥にコアがある事を確認したら外に戻る事になった。


 「それではダンジョン探索依頼ありがとうございました。こちらが報酬です」

 「こちらこそありがとうございました」


 全員でギルドから報酬を貰ってその場で解散。ギルドもたくさんの冒険者が来るって予測してたし、ブラックリ村の経済にも役立ってくれそうだね。


 


 学園に帰ってしばらくはみんな帰省の話で盛り上がっていた。もちろんオレンジちゃんもシアンちゃんも帰ってたみたい。


 「やっぱり地元はのんびりしてて良いですね」

 「へ〜私はずっと王都暮らしだから羨ましいわ」

 「私からしてみたら王都暮らしも楽しそうで憧れちゃうな〜」


 この学校の生徒は全国からやってくるから話が新鮮で面白い。外国からも大貴族の子供が来てるらしいから、国のことを聞いてみたいけど……難しいかなぁ。


 「よぉアオバ。なんだか久しぶりに感じるな」

 「ゴールドじゃん。確かにね〜休みは何してたの?」


 今やゴールドは我がもの顔でこのクラスに入ってくるようになってきた。まぁ誰も文句を言えないし……というか女の子達は大喜びみたいだけどね。

 私の友達2人も馴染んできたみたいで楽しそうに会話してる。


 「そりゃ鍛えてたよ。やっぱり馬車って早いし快適でいいな。西の方までたった2時間」


 馬車が……早い? いやいや歩くのに比べたら早いかもしれないけど……それにすごくお尻痛くなるじゃん。ゴールドは何に乗ってるの?

 戸惑ってるとオレンジちゃんが答えを教えてくれた。


 「そりゃあんたが王室所有の特別な馬車に乗ってるからよ。私たちみたいな下級貴族だと馬車に乗るよりも歩く方が良いレベルよ……ねぇ、今度1回くらい乗せてくれない?」


 やっぱりそうだよね〜。私はモンスターがいて良かった……あれ? これもしかして儲け時じゃない?

 私は誰もいない校舎の端っこの方に移動した後に、マスター画面を使ってエリーに頼み事をする事にした。


 「ねぇエリー。こんな感じの物を作って欲しいんだけど。うんうん、そんな感じ。ここはもう少し……」

 「分かりました。それでは勉強頑張ってくださいね」

 「……ありがと」


 う~ん口で伝えるのは難しいな~。部品だけ作ってもらって絵をモンスターに送ってもらおうっと。

 私は簡単な絵と使い道を説明した紙を、連絡用に連れてきた早く飛べるモンスターに持たせて飛ばす。


 「アオバは伝書モンスターいていいな~。テイマースキル便利だよね」

 「オレンジも良いスキル持ってるじゃん。テイマースキルって自分は弱いから大変だよ」

 「お互い大変ね。それよりシアンも授業終わったはずだしお昼ご飯に行こ」


 この学校は食堂まで立派……と思ったら意外とそうでもない。もちろん普通に比べたらすごいんだけど、周りの宮殿のような建物を見るとね。


 理由は上級貴族は大体学院の近くに小さめの別荘を持っていて、そこにお迎えの馬車で帰って自分で連れてきた料理人に作ってもらうから。

 ちなみにゴールドは何故かたくさんの女の子がお弁当を作ってくれるんだって。フシギダネ~。


 「すみませ~ん。この生ハムサラダとフィッシュ&チップスください。あとケーキもお願いします」

 「あいよ。いつもあんがとさん」


 食堂のおばちゃんが作る魚のフライは絶品なんだよ~♪ さっすがこの国を代表する食べ物なだけあるね。


 「アオバはその料理好きですね……私達の地域って結構内陸じゃなかったでしたっけ?」

 「うちの領地はちょっと魚が出回ってるんだよ」

 「羨ましいですね。うちも山の恵みはありますけども」


 聞いた事によるとシアンの領地は山に囲まれた村々を集めた感じらしいもんね。おかげで土地は広いのに税金はすごく少ないみたい。

 

 今も食堂で1番安いメニューを食べてる。それ3日目だよね?

 でも私達に何か分けてもらうとかは嫌みたい。強いなぁ。私も何かしてあげれたら良いんだけどね……。


 「なんで下級貴族が私の指定席を使っているのかしら?」


 後ろを振り返ると取り巻きを連れたディクライン伯爵令嬢が立っていた。ブラック・ディクライン同じクラスの子だ。

 彼女の家は悪い噂も多い……分かりやすい例で言うとブラックリ村のみんなが逃げてきた元の街を治めている。


 領民にどんどん逃げられてる隣で成功してる私が疎ましいのか、いつも私につっかっかって来る。それとも領主一家の浪費はひどいし税収が減ってるしで落ち目って言われてるからイライラしてるのかな。


 ……とはいえ辺りの小貴族のボスみたいになってるから、私とシアンちゃんは逆らいづらい。辺境だから伯爵でもすごい力持ってるんだよ。あの取り巻きしてる子達ね。あの子達も苦労してるなぁ。

 

 「この私が今日の朝から今日はここに座ろうと決めていたんですけど」


 それは指定席って言わないんじゃ……まぁ私が座ってたから指定席になったんだろうな。戦っても良い事は無いから大人しく席を譲る。

 

 でも私が言い返さなかった事もイラつかせたみたい。


 「勝手に私の指定席に座って謝罪とかないわけ?」

 「そうよそうよ!」

 「成り上がりの平民風情が!」


 嫌がらせのクライマックスパートに入ってきたのか取り巻きまで加勢してきた。め、めんどくさい……。

 と、そこでまさかの人物まで乱入してきた。


 「ねぇ、成り上がりって私の事かしら?」


 アンバー公爵家。この学校で勢力争いをしているブルジョワ勢力、つまりお金の力で貴族の仲間入りを果たした勢力のトップ。もちろん私達からしたら雲の上みたいな存在だ。


 さすがのブラックさんも震え上がる。気づいたら取り巻きはみんなどこかに逃げていた。危険察知能力だけは高いね……。


 「い、いえ決してそのような事は……。なぜあなた様のようなお方が、わざわざ食堂まで?」

 

 「私の家はあなた達えらーいお貴族様向けのレストランも運営してるでしょう? 自分の舌で人気メニューの味を確かめたかったんだけど……平民が入っていい場所じゃ無かったかしら?」

 「めっそうもありません。そ、それでは私はここで!」


 すっごく商人的な理由だった。公爵令嬢になっても儲ける努力をしてるなんて流石ブルジョワ勢力のボス。私も見習わなきゃ。

 

 「助けて戴いてありがとうございます」

 「助けたわけじゃ無いわ。それよりあなたも少しは言い返したらどうなの? 私達がますます平民上がりって舐められるじゃないの」

 「はい。申し訳ございません」


 向こうからしたら本当に虫けら同士の争いみたいなものだったのか、それだけ言うとすぐにどこかへ行っちゃった。

 まぁこの仕返しについては安心しててよ。次の連休には見せてあげるからさ。


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