情報部
ダンジョンの調査が数日後に来るらしいから準備しとかなきゃね。私は全3階層って報告したから新たに2階層分追加して……2階層目はスケルトンとかゴーストのアンデッド系にしようかな。
そして3階層目は少し環境にも気を配ろう。階の3分の1は草原エリアにしてウルフとかを配置っと。ハイオークも少し置いとこうか。
それぞれの階はそんなに広くなくていいかな。
最後に3階層にもボス部屋を設置。ゼロフロアの存在だけは守らないと。ボスは……巨大スケルトンとかにしようかなぁ。
とりあえずこんなもので良いかな。ポイントはまだあるし、何か困ったらまたイエナちゃんに教えてもらお♪
これでうちのダンジョンにも冒険者が来るかな。楽しみだね。
さてさて学校に行く前にやっとかなきゃいけないのは人化スキル持ちのモンスターを増やす事。
私1人じゃ仕事が回らんくなってくるからね。
「ねぇエリー、戦う事が出来る方が便利だし吸血鬼は……」
「今のポイント量、借金の額を考えてみてください」
一撃でやられた私は大人しく黒エルフを召喚する事にした。数は20人ほど。いつか仲間を増やしてあげるからね……。
人化以外にも、それぞれ色んなスキルを付けてっと……後は自力で訓練を頑張ってもらおうかな。でも知力だけは全員強化しよう。ここは削れない。
「うっ1人で6万ポイント……全員合わせたらダンジョン全体の売り上げの1週間分じゃん」
「まぁこれは必要経費です。しばらくは節約生活を過ごしましょう」
うっ……昼のおやつは抜きにしよ……。
画面を押すと120万ポイントが減って20人の黒エルフがゼロフロアに召喚された。
「君たちの仕事は人に化けて色んな町に行き、市民が欲しがるもの、文化、領主の動向を探ってダンジョンの経営を助けることです。期待に見合った働きを期待しますよ」
「承知しました、その……今日はご機嫌麗しくないようですが?」
「うん? 気のせいですよ」
今後も力を入れる事だし情報部として独立させようかな。さっそく本村に連絡して家を1軒用意してもらった。ここの管理はエリーにお願いしよっと。
1人あたり90万コインほどと連絡用の使い魔を持たせて派遣した。これは一般市民の月収の4倍以上。全然少ないけど最初はこれで頑張ってもらおう。
使い魔は戦闘力皆無な代わりに早く飛ぶ鳥みたいなモンスターだ。ピィピィ鳴いて可愛いから私もペットに飼おうかなぁ。
行き先はブラックリ村に2人、店がある町に3人、近くの町に2人ずつ、首都のロンドニウムに5人だ。この国の情報は全部ロンドニウムに集まるからね。学院生活で何か困ったら助けてもらお。
それから1か月後。あれからは特に何事も無く、ブラックリ村の開発以外は大きな出費も無かったから貯金を貯める平和な日々だった。
いざという時の備えが無いのは怖いし、投資はしばらくお休みにして学院生活を楽しもうかな。
ウルフから降りて王都の門に向かって歩いていく。貴族用の門も大行列だ。私みたいな入学生が多いのかな?
「身分証とご用件をお伺いします」
「どうぞ。今日はウェクス王立学院の入学式に参加しに来ました」
「アオバ準男爵様ですね。入学生用の馬車が1時間おきに来ますので、もしご利用になるならそこの広場でお待ちください」
「ありがとうございます」
へぇ、専用の馬車なんてあるんだ。正直今日はもう歩きたくなかったから助かったよ。
……まだ時間があるから少し街を探検したくなってきたな~。そう思った私は街はずれにある黄色いドアの小さな家に入った。
「お待ちしておりました。マスター」
「ありがと。マスターって呼んだら変に怪しまれちゃうしアオバでいいよ」
ここはロンドニウムに送り込んだうちの1人の家だ。彼女は算術が得意だったから、普段はとある商会で事務員として働きながら人脈作りに頑張ってくれてる。
ここなら人目につかないからアカネも呼び出せる。さすがに虚空から人が出てくる所は人様に見せられないもん。こんな早くに情報部が役立つなんて……本来の目的から外れているかもだけど。
「今私達がいる所は首都の南側です。ロンドニウムは大きすぎるので全部周るのはまた今度にしましょう」
「分かった。最初はやっぱり……美味しいご飯が食べられる所に行きたいかな!」
「ふふ、アオバ様ならそう言うと思っていくつか調べておきました。ちょうど近くに屋台があるので、まずはそこから行きましょう」
この子、出来る!
私は屋台で肉と野菜を焼いたパン生地で巻いたような料理をゲットした。両手でしっかり握ると肉汁がレタスに絡みついて、もうたまらない。
「いただきまーす!」
肉は結構スパイスが効いていて、逆に味が薄いパンと相性がいい。そこにレタスのシャキシャキ感が食感をたのしませてくれる。う~ん幸せ……はっ、もう無い。
やばい、食いしん坊かと思われたかな? 横を見るとアカネも最後の1口って所だった。良かった。後は彼女がドラゴンだという事を忘れるだけだね。
「それでは次は魚料理にしましょう。海に面してるこの街は海鮮料理も豊富なんですよ」
ふむ、魚の干物から交易を始めたこの私に海鮮で挑むとは……私は魚の味にうるさいんだよ~?
「いつものお願い」
「はいよ!」
エルフちゃんの、いつかはしたい注文法第1位で運ばれてきたのは魚とポテトのフライ。だめだ、匂いだけで負けそう。
いや、自称フィッシュ博士の私は認めないよ。
どうせこの料理も……美味しい~! 白身魚のホロッホロの身に、付属のソースのほんのりとした酸味がピッタリ合う。ポテトの方も外はカリカリ、中はモチモチで何個でも食べられそう。
店の名前をしっかりメモしてエルフにバイバイを言った私は門近くの広場までもどってきた。アカネはいったん収納に戻ってもらった。
あっ馬車が発車するところだ!
「待ってください! 乗りま~す!」
危なかった……満腹の私はそこで寝てしまった。




