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たいそうな名前を付けた計画だけど内容はゼロフロアと似た感じ。店を何個か建てて、村役場の増設、倉庫を増やしたりなど。でも違う事も多い。


 まずは家。こっちのは一軒家だけじゃなくて集合住宅も作ろうって思ってる。そして法律で外から来た人が6割、元からいた村人が4割住むように決める。


 狙いはもちろん仲良くしてもらう事。集合住宅なら共同施設とかお隣さんとして、毎日何度も会う事になるはず。外と中で争ってるのは相手の事を良く知らないから。


 人は知らない者を怖がる。だからお互いに同じ人間なんだって思ってもらおうって作戦だ。同じ人間って当たり前じゃない? って思いがちだけど、これが案外多いんだから困っちゃうよ。

 

 家賃を安くする事でみんながしっかりした家に住めるようにって狙いだってもちろんある。村人たちには衣食住は困ってほしくないもん。

 私だって家賃で無理に儲けなくても、その浮いたお金で物を買ってくれれば十分に儲かるしね。


 「そしてブラックリ村に新しく大きな学校を作ります! それに義務教育を導入します。6歳~10歳の子供は平日の昼まで全員学校に通ってもらいます!」


 「しかしアオバ様、それでは私達の仕事の手伝い手が……」

 「アオバ様の事は尊敬していますが……これだけは考え直していただけ無いでしょうか?」


 こっちは反発が多い。家の大事な働き手の子供を4年間も、平日だけとはいえ奪われちゃたまらない。


 「みなさん、この計算が出来る人はいますか?」


 私は2桁の掛け算など簡単な計算が書いてある紙を広げて見せる。村人からはチラホラ手があがったけど……それだけ。


 「じゃあこの文章を読める人」


 私は別の紙を取りだした。こっちには小さな子供が話すような文章が書いてある。でもこっちだって村人のほとんどが読む事も書く事も出来なかった。


 「試すような真似をしてすみません。もちろん今の問題が分からなくても生きていく事は出来ます。

 でもギルドで代筆を頼んでお金を払ったりするのはもったいないと思いませんか?

 何かを買ったときにぼったくられた事はありませんか? 学校に4年間通えばこういう事を防げるようになります。それに将来は良い職に就けるかもしれません」


 みんなにも心当たりはあるんだろうな。さっきまで不満気だった顔が少し緩んでる。実際に簡単な読み書き計算が出来るだけで、ある程度大きな街なら絶対に仕事に困らないくらいには役に立つ。


 私だって賢い領民が欲しい。みんながお金持ちになれば私への税収だって増える。それに領地が発展すれば王家からも評価されて爵位も上がっちゃうかも♪


 「代わりに昼ごはんは学校で出します。もちろん無料です」


 これがトドメになったのか反対を言う人はいなくなった。分かるよ、私の実家だってお金が少なくなると昼ごはんとか抜かれたもん。庶民の財布には結構痛いよね。


 「そして計画を達成するために500人の人を雇います。これで皆さん当面のお仕事には困りません。さぁみんなでブラックリ村……いや、ブラックリ町を作り上げましょう!」


 分かりやすい飴に今度は拍手喝采が巻き起こった。えへへ、照れちゃうなぁ。


 「アオバ様万歳!」

 「俺、もう一生この町で暮らします!」


 新しく移住して来た人も、元から住んでた村人も。みんな一緒に手をたたいて、笑って、抱き合っている。

 

 私はダンジョンマスター。本来は敵同士で殺しあうような存在。でも領民たちが私を信じてくれる限り……私がみんなに幸せを見せてあげる!


 


 2週間も経つ頃にはちゃんとした家がだいぶ増えてきた。今も人が入ってきていて、いつまで経っても足りないけどね。良いニュースなんだか悪いんだか。アハハ……。


 「こんにちはアオバ様」

 「こんにちは」


 村人たちと挨拶を交わしながら村役場に向かう。学校はまだ完成してないから、子供たちはここの空き部屋を使って教えてるんだよね。

 チラッと授業を窓から覗くとみんなちゃんと勉強してる。偉いなぁ。


 「あっアオバだ~! 一緒に授業受けよーぜ!」


 げっ子供たちに見つかった。みんなこっち見てて授業が止まっちゃってる。先生も困っちゃってるし仕方ない。一緒に授業受けようかな。


 先生は移民してきた人で、前の町で15年くらい先生をしてた優しそうなおじぃちゃん。しかも幼い頃は家が裕福でちゃんと教育を受けたんだって!

 

 でも家庭教師をしていた子供に濡れぎぬを着させられてクビにされちゃったらしい。こんな優秀な人を追い出すなんて、そこの領主もバカな事するなぁ。


 私という大スポンサーが混じって先生は緊張してたけど授業は普通に面白かった。先生の小話とか結構好きだな~。


 しばらくするとお昼ご飯の時間になった。子供たちに一緒に食べようって誘われたけど、みんなが食べる分を私が食べるわけにはいかないよね。


 バイバイしてもう一度、今度は見つからないように窓から中を覗く。比較的食料に余裕があるうちの領地でも、みんながみんな満腹まで食べれるわけじゃない。


 というより、どちらかと言うと満足に食べらない子の方が多いと思う。だから山盛りの給食を見て子供たちは目を輝かせた。あれだけあったご飯が子供たちによってあっという間になくなっちゃった。


 お腹いっぱいになれば人間ってなんだか笑顔になるもの。子供たちも楽しそうだった。

 ……この景色が見れて良かった。


 グ~と私のお腹もお昼ご飯を要求しはじめた。もぅ~今私けっこう良いこと考えてる所だったじゃん! この欲張りお腹め。いや自分だけども。

 

 さ、今日は何を食べようかな~♪

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