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イースト・アングル王国

 ……って意気込んだは良いけど頭痛くなってきた。酒場で頼んだケーキをパクついてるとガルドさんが隣に来た。


「いやはや、困りましたね〜」

「ガルドさんも教えて貰ったんですね」


「えぇ。これは村をたたむ事も考えないといけませんね……」

「な、なんでですか! せっかくここまで来たのに」

 

「いまだにここは小さな村ですから国も守ってくれないですよ。占領されたら何をされるか分からないですからね」


 ほんとマイカ子爵なんて所で逃げたんだ。まぁ子爵も下級貴族。守る力なんて無いよねぇ。


 ブラックリ村を消すわけにはいかない。そんなの私は絶対に嫌だ。これからだって時なのに。

 私には力がある……ダンジョンが。今こそモンスターの力を借りる時なのかなぁ。


「そうだ。難民の方はどんな感じですか? ずいぶん馴染んでいるように見えるんですが」

「彼らは元々反政府側だそうです。だからこの村に移住したいと言っていますし、領主様が良ければ許可するつもりです」


「そんな領主様だなんてよそよそしい呼び方止めてくださいよ〜。もちろん私も賛成です」


 よしよしこっちは結構上手くいってる。こっちでも反貴族とかしないように要注意だけど……税収は……ぐふふ。




 とはいえそんな未来も平和があってこそ。とりあえず時間稼ぎだけでもしなきゃ。


「このたびは謁見の許可をいただき誠にありがとうございます」


 私は負けそうになってる方の隣国、イースト・アングル王国の伯爵に会いにきていた。

 うちよりも小国とはいえ伯爵様。世襲すら出来ない貴族と平民の間みたいな私と会ってくれたのには理由がある。


 それは山と積んだ武器や食料の数々。ゼロフロアでは狩りやら万が一の時のために手が空いてるゴブリンスミス達が日夜武器を作り続けている。最近だと森に住んでもらってるコロニーの子達用に置いてたのが役に立ったね。


 え? 代金? マイカ子爵が半分くらいを”善意”で寄付してくれたよ。


 「いやいや気にする事はない。お世辞にも戦局が良くない我が国も、これだけの支援があれば更に多くの兵を動員できるだろう。

 そなたの貢献はしっかり上にも伝えておく事を約束しよう」

 

 「お役に立てて光栄です。私としても今回のような相手の弱みに付け込んでの侵略は許せません。今後も必要な物をおっしゃっていただければ即座に満載にした船を向かわせますので、なんなりとお申し付けください」

 

 伯爵も暇じゃないらしくて用事が終わるとすぐに解散にはなったけど、恩も売れたし一石二鳥だね。支援の分は相手の借金に出来るし国相手なら安心して返済を待てる。まぁ滅ばれたら大損だけど。そのためにも助けなくちゃ。


 


 「で、ここが最前線かぁ~」


 私はそのまま今侵略を受けそうになっている町まで来た。住民は半分くらいが避難してて、残った人も建物に引きこもっちゃって雰囲気はまるで廃墟。歩いてるのは険しい表情をした兵士くらいだよ。


「おいお前。入町許可証を見せろ」


 こんな状況で子ども1人で出歩く私をいぶかしんだのか兵士がこっちに来た。悪い事してなくても緊張するなぁ。


「はいどうぞ。私は怪しい者じゃ無いですよ」

 

「そう言われると余計に怪しく見えるんだが……。なっ領主様のサイン付き!? 失礼しました! 護衛が必要ならいつでもお申し付けください」

「ありがとうございます。私こう見えても自衛くらいは出来るので大丈夫ですよ♪」


 さっきの伯爵に書いてもらったんだけど、あの人ここの領主だったんだ。これは便利な物もらっちゃったな〜。自力で探すつもりだった情報は貰えそう。


 「その代わりに敵の居場所を教えてもらえませんか?」

 「敵は普段から移動していますから……確かな事は分かりませんよ」


 「いえいえ敵が物資を集めてる場所を知りたいんです。さすがに馬車に全部載せて引き連れまわしてるわけじゃ無いんでしょう?」

 「あぁそれくらいなら良いですとも。おそらく敵はここにある占領した村に集まっています。さらに北の方に行くと畑が広がる小さな町があります。そこが本拠地でしょう」


 兵士さんはそう説明しながら、村と町の詳細な地図までくれた。おぉすごい! っと、そうか元々はこの国の領土だもんね……なんだか複雑な気分。この向こうにある私の領土もダンジョンも守るためにもうひと頑張り! エイエイオー!


 


 数日後。敵がついに動き出した。こっち側も援軍が来ているようだけど間に合うかどうか。敵の到着は明日の昼頃って聞いたから、今の敵の本拠地はだいぶ守りが弱くなってるはず。狙うなら今しかない。


 私は夜の間にこっそり町を抜け出した。子供の頃に同じように村を抜け出して怒られた事を思い出すなぁ。あれは怖かったけど今は違う。そう、頼れる子がついてる。


 「さ、出ておいでアカネ」

 「なに~? せっかく気持ちよく寝てたのに」


 「そんな事言わずにさ~。終わったら美味しいごちそうを用意しとくからさ」

 「本当か? 約束だぞ? ドラゴンの私の胃袋を舐めないでよ?」

 「……うん、約束する……」


 うっ失敗だったか……またエリーに怒られちゃうよぉ。

 任務は簡単。村と町の倉庫を焼き払う事。ドキドキする。なんだかんだ私が人間を攻撃するのは初めてだ。


 エリーの嘘つき。何がダンジョンマスターになれば罪悪感が無くなるだ。

 ……でもやるしかない。冒険者をやってたとしても、やる時は来るんだから。


 「じゃあ頼んだよアカネ。ドラゴンの力を見せてやって」

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