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貴族、汚すぎる

ブラックリ村の近くには難民キャンプが置かれ、近くの駐屯地から派遣されてきた兵士達と村人が協力して治安の維持に努めていた。

 ガルドさんによるとここのキャンプにいる人数は村人の3倍。他の村にも行ってもらってるらしいけど今も増え続けている。


 さすがに村だけじゃどうしようも無いから国からの援助はあるけど……きついなぁ。私が村の管理を任された事はもう聞いていたらしくてガルドさんと今後の事を話し合おうと言われた。さんせー!


 「でもその前にキャンプをこの目で見に行きたいですね。それに兵士さんのトップにも挨拶しておかないと」

 「おっと確かにそうだ。ちょっと急かしすぎました。おや? 兵士側も用があるらしくて、こっちに来てますよ」


 ほんとだ。ガルドさんが指さした方を見ると1人の兵士が走ってきている。なんだろ?


 「お待ちしておりました。あなたがアオバ準男爵でしょうか?」

 「え……あぁはいはい。そうです私です」


 いまだに慣れないなぁ爵位呼び。一瞬誰の事かと思っちゃった。


 「お若いのにすごいですね。ところで我らが部隊長がお呼びなのですが時間は一緒に来ていただく事は可能でしょうか?」

 「もちろん。ちょうど私からも伺おうと思っていた所なんですよ」


 そのまま兵士に付いていってキャンプに入った。うーん形的には村の延長みたいになってるなぁ。普通はもう少し離れて住みそうなものだけど。なんなら一部はテントじゃなくて簡単な家に住んでる。


 「こちらが臨時の対策本部になっています。どうぞ中へ。私は外で見張っておきますので」

 「了解。ありがと」


 ノックをして入るとヒゲをたっぷりたくわえた強面のおじ様がいらっしゃった。うわぁ視線で殺されそう……ちょっと怖いよぉ。

 と、私を見つけた部隊長の顔がニカッと笑顔になる。


 「お~待っていたぞ。急に呼びつけてすまないね。私はオリバー大尉だ。本当はこっちから向かいたかったんだけど、渡す物があったからな」


 たまたま買ったお菓子にレアなハート型が入っていたくらいの上機嫌さで手を差し出してきて、握手するとブンブン振り回す。あ、良い人だこの人。捨てられた子猫とか拾うタイプの人だ。


 「いえいえ。これからお世話になるでしょうから、私から出向くのが当たり前ですよ。よろしくお願いしますね。ところで渡す物って?」

 「王政府から届いたこの手紙だ。あとマイカ子爵からもお手紙が。どっちも重要書類と書かれているので、お早めに読んだ方がいいと思うぞ」


 えぇ!? なんだろ。政府から手紙が来るような用事ってあったっけ?

 開けてみると、おめでとうございます! って書かれた大きな文字が目に入る。内容は……。


 <おめでとうございます! 今までのあなたの貢献を考慮した結果、マイカ子爵から要請されていた領土の譲渡を我々は承認する事にしました。

 つきましてはブラックリ村と他2つの村とその周辺はマイカ子爵からアオバ準男爵の領土となります。なお準男爵は1世代限りの爵位なので、アオバ準男爵の死後は所有権は王政府に移るという点をご注意ください。ウェクス王国政府>


 ??? 心あたりが無いんだけど。私は一時的に仕事を依頼されてるだけでしょ?

 うーん……とりあえず答えが書いてありそうなマイカ子爵からの手紙も読もうかな。


<準男爵になるための手続きはもう終わったし、今度うちの城で君の紹介パーティーを開くから来てね! あと政府から来た手紙は間違いじゃないよ。まぁ優しい僕からのプレゼントと思ってくれ。それじゃ。>


 領土を譲渡はプレゼントとかいうレベルじゃないでしょ! というか、だんだんマイカ子爵がフランクになってきた気がする。なんか嫌な予感がするなぁ。もう逃げられない相手だから気を遣う必要が無いとかそんな感じ。


 「そういえば……なんか兵士多くないですか? いえ、全然嫌とかじゃないんですけども。ここにいるのにもお金がかかるわけですし不思議だなぁって」

 「おや? マイカ子爵あたりから聞いてないのか? ちょうど本部なら秘密も守りやすいから説明するよ。ついてこい」


 えぇ、ただの倉庫に秘密を守る力なんてあるの? まぁ私は小心者なんで大人しく付いていきますけども。

 奥の端っこの方に行くとオリバーさんが、地面についてる見た事ない扉を開ける。上に土が被せられてて分かんなかった。


 「こっちに地下室があるんだよ。急造で天井が低いから気を付けるんだぞ」


 オリバーさんを追いかけてはしごを降りる。今日ズボンで良かったぁ……。

 通路は言われた通りそんなに広くは無いけど、奥に大きな部屋があった。その壁には1枚の地図が貼られている。


 「この地図も秘密だから気を付けるんだぞ。犯罪になるぞ」

 「さ、さすがにしませんよ~」


 取り出したメモ帳はポケットにしまっとこ……。この地図の範囲まぁまぁ広いね。うちのウェクス王国の東側とその向こうにある2つの国が入ってる。

 それぞれの町や村の位置、道、地形、兵舎とか要塞まで書いてる。すご~この地図。良い物見れたな。


 「隣の国の内戦を見た北の国が、攻めていったのは知ってるよな?」

 「えぇそれくらいは」


 ほんと卑怯だよね~。まぁ国を背負ってるんだから仕方ないけどさ。


 「内戦をしてた国は意外にも一致団結して対抗しだしたんだが……問題は弱かったことだ。もともと狙ってたんだろう北の国は武器や兵士が余ってる」

 

 「つまり……新しい力の振り下ろし先を狙ってると」

 「聞いてた通り君は察しが良いな。隣での戦争はもうすぐ終わる。そしてこの村は国境に近い。これで君に領地が譲られた理由が分かるな?」


 マイカ子爵ー!!! 私は商人なんだよぉ……。これじゃブラックリ村での商売なんてやってる場合じゃ無くなるじゃん。

 でもダンジョンだって近くにあるし、軍隊に見つかったら厄介だよねぇ。あーもう分かったよ。頑張るかぁ~。


 領地持ちなんてなかなかなれる物じゃないし、このチャンスを絶対にモノにしてからが1流の商人ってやつだもんね!

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