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爵位をゲット!

準男爵。それは1代限りとはいえ貴族の称号。正直すっごく欲しい。私もお嬢様になれちゃったり!?

 でもなんでそんな好条件を出してくれるんだろう。怖くてデザートの味もしない。あっこのアイスクリーム甘い!


 「うん? 足りないかい? それじゃあうちの領地のブラックリ村の統治権だって付けてもいいんだよ?」


 え、もっと怖い。私が表情を隠しきれなかったのか、マイカ子爵は分かってくれた。


 「あぁ疑ってるのか。酷いなあ。そうだね。1つ条件がある。我が子爵家の寄り子になることだ。簡単だろう?」

 

 寄り子? 準男爵なんか付けてどうするっていうのか。ただ守らなきゃいけないお荷物が増えるだけじゃないの?


 「まだ疑ってるのかい? まぁそっちの方が期待通りだけどね。はいはい言われちゃ困る所だったよ。建前抜きで言っちゃうとね。君の商人としての成長スピードは誰よりも早い。稼ぐ力に期待してるんだよ」


 つまりお金目当てと……貴族様ってお金持ちなんじゃないの? いや、そうか。そういう事か。


 「もしかして相続税? これからは領地を持ってるだけじゃいけないって事ですか?」

 「その通りさ。やっぱり君を選んだのは正しかったみたいだ」


 相続税。この国が戦費の赤字を無くすために少し前に導入された、貴族から忌み嫌われてる税金。自分たちは庶民に税金かけるくせにね。理由は単純。お金持ちの貴族はすごい額になるから。

 

 たがが税金とバカにしちゃいけないよ。これでいくつもの小さくて金銭感覚の無かった家が没落していった……このレストランで雇ってるシェフもそんな家の1つで働いてた人を拾ったんだし。


 さらにここで邪魔になってくるのが貴族社会の働くのは悪っていう文化。働くのは庶民のする事で、高貴なる貴族がやる事じゃないと。なんて羨まし……け、けしからん。

 

 なまじ文化を作る高位の貴族が桁違いの税収で困ってない分、小さな家は大変なんだろうなぁ。お金を稼ぐとあの家は落ち目だと言われ、稼がないと落ち目どころか本当に落ちる。でも落ち目だと思われても貴族として終わりだ。


 そこで私みたいな平民を貴族にして嘲笑を押し付けて、寄り子として勢力下に置くことで自分の影響力を保つつもりかな? なんでそういう方向になると貴族って急に賢くなるんだろ。

 

 多分このまま時間が経てば高位貴族も困り始めてビジネスに手を出すはず。つまりこれは今だけのチャンス。

 なら返事は決まってる。富、名声、権力!


 「その話、喜んでお受けさせていただきます」

 「君ならそう言ってくれると思っていたよ。さぁようこそ貴族の世界へ」


 そう言って私たちは握手をした。横に立っていた執事さんがスッと契約書を差し出してきたから、少し読んでサインする。これで契約成立。

 ふと私は気になっていた事を尋ねる事にした。


 「なんで私のようなまだまだ小さな商人を選んだんですか?」

 「名だたる大商人にはとっくに王家が爵位をバラまいてしまったからねぇ。私みたいな木っ端子爵に用意できる爵位なんてそうそう無いし……だから君が他の大商人を越えるほど成長してくれたら嬉しいね」


 プ、プレッシャーが強すぎる……。


 爵位を譲るには一瞬養子扱いにして、爵位を譲れば独立という方法で10日ほどで手続きは終わるって。そのためにもう1回屋敷に来てくれよって言いながらマイカ子爵は帰っていった。なんてガバガバな貴族制度。


 「お疲れ様です。ブラウン準男爵様」

 「もう。茶化さないでください」


 さっそくジョージさんがふざけ始める。この人は変わらないなぁ。この事はガルドさん、イエナちゃん、エリー達にも報告しなくちゃ。みんな変わらないでいてくれるかなぁ……少なくともエリーは安心だね。


 さっそくマスター画面を使ってまずはエリーに報告する。


 「マスターが貴族入りなんてこの国の未来が心配になってきますね」


 うん。やっぱり変わらない。やっぱりエリーにだけは変わってほしいかも。

 

 そんな事より貴族入りの準備。私が貴族でいる限りブラックリ村を領地として認めてくれたから、そっちもどうにかしないといけない。移民問題に約束した物の供給で大忙しだ。

 そのためにはダンジョン側も手を入れないといけないし……うーん頭が痛くなってきた。えーいやけ食いだ!


 その日私はレストランのアイスクリームを1番多く食べた人という記録を打ち立てた。うぐ……お、お腹がプニプニになっちゃう……。




 「さぁエリー。銀行からした借金でダンジョンを変えていくよ!」

 「人間からした借金で成長するダンジョンっていかがな物かと思いますが」

 「使える物はなんでも使う。そっちの方が悪って感じがしない?」

 「ものは言いようですね」


 借りたお金をポイントになけなしの貯金まで追加するとなんと15万ポイント。

 完全に自転車操業だけど、徴税官としての収入でこれくらいはどうにかなるはず。とにかく私には立ち止まってる暇なんて無いんだから!


 「……というわけで第2回目のダンジョン会議を開きまーす! ドンドンパフパフ♪」


 ダンジョン会議は前に村役場で開いたゼロフロアの事を決める会議の事。会議ってだけじゃ仕事感がして嫌だな~って思ってたらモンスター達が勝手にこう呼んでたのが見事採用された。

 最初に考えた子にご褒美としてポイントで生み出した遠い地域のケーキを出したら感動で泣かれたのにはびっくりしちゃった。


 「マスター。次からはもう少し早く教えてくれますか……?」

 「せっかく久しぶりに森に帰った所だったのに……」


 「ダンジョンマスターは気まぐれなんです。私のダンジョンなんだから必要だと思ったらやるの!」

 「次からは絶対に早く教えてくださいね?」

 「……すみませんでした」


 キングが視線だけで人を殺せそうな目でこっちを見てきたから反省。いや本当にごめん。


 「で、会議の目的は新しくゼロフロアを広げる事です。後は新しい召喚とか。何かお願いとかある?」

 

 「それでしたらまずは我々、黒エルフからよろしいでしょうか?

 最近は服をもっと安く大量に作る必要が出てきましたが、私達の繁殖は遅いため村の発展が遅れてきています。さらに建設中の学校が完成場合は子供が取られて働ける人数はもっと減ります。よって人口を今より2倍にしてほしいです」


 「2倍は欲張りすぎだろう。どれだけのポイントを使うと思っている」

 「マスターから任された仕事が出来ないようじゃ学校など作らなくていいんじゃないか?」


 黒エルフのリーダーがそう言うと、すぐにゴブリン達から反対の声があがる。2倍が良いかはおいといて、学校がいらないは言いすぎだよ。


 モンスター達には賢くなってもらわなきゃ困るし、子供たちまで働かせるのをずっと続けたくは無いもん。

 

 最近は黒エルフ達とゴブリン達の仲が悪くなってきたから、これもどうにかしないとな~。私としてはモンスター達の数が増えてほしいから出来るだけ召喚したい。

 

 そう思いながらチラッと私の机に置いてあったエルフ達の村の情報を見ると、1日の平均仕事時間が10時間。ちょっと待ったー!

 こんなになってるなら教えてよ! ていうか私がもっと様子をしっかり見なきゃだめだよね……。次からは気を付けなくちゃ。


 「私はここをブラックダンジョンにする気はありません! ここは3万ポイントを使って300人増やします!」

 「おぉ! これはありがたい。我々はマスターのためにもっと働かなくてはなりませんな」

 「だめー! みんなもっと休んで! 原則8時間以上も働くのは禁止です!」


 モンスター達に休む事の大事さを教えて、また反対するキング達ゴブリンを抑えてなんとか納得してもらった頃には2時間が経っていた。これはまたタフな会議になりそうだね……。


 「よし、それじゃ次の議題に入るね」


 そう言いながら、疲れた私はブラックリ村の酒場で買ったまま収納魔法に入れてたとっておきのプリンをパクつく。今日は頭をいっぱい使ってるからカロリーは実質0!


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