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アカネ

「私の見ていない間に随分とポイントを使い込んでくれましたね?」


 帰ると鬼の形相をしたエリーがわざわざダンジョンの外まで出てきて待ち構えていた。やばい。今こそ新しい幹部モンスターを使うべきか。


 「ドラゴン! 私を守って!」

 「えぇ……そんな事言われても……」


 もちろんコアであるエリーを攻撃はしてくれなかった。ぐぬぬ……エリーめ。立場を使った卑怯な真似を……。


 「さっそくモンスターを困らせてどうするんですか。にしても一時はポイントが2桁になって本当に焦ったんですよ? 分かってますか?」

 「ちょっと調子に乗りすぎました……すみません……」

 「マスターは少し目を離すとこれなんですから。マスターが使い込めない非常時用のお金を隠しておいて良かったです」


 「えっそんな事してたの?」

 「何か不満でも?」

 「いいえ……なんでもありません」

 

 さすがにやりすぎたか。冷静になった今は自分でも少し後悔してるもん。でもドラゴンは憧れちゃうよねぇ。


 「まぁやってしまった事は仕方がありません。ところでそのドラゴンには名前を付けないのですか? せっかく幹部にしたんですから、レッサードラゴンじゃかわいそうです」


 「そうだね。ねぇドラゴン。前はマスター画面を向いてて見てなかったから、1回人化してみてくれない?」

 「うん。分かった」


 一瞬光り輝くと、そこには裸の女の子が……。


 「ストーップ! 今すぐ人化を解除して! エリーはこの子を……村役場の会議室にでも連れてって。中にいる子は全員追い出していいから!」


 はぁはぁ。前に倉庫で召喚した時は誰も入ってこなくて良かった。危うく兵士に牢屋に連れていかれる所だった。これから人化を覚えさせた時は気を付けよう。


 とりあえず町に持っていく予定だった服を着せて改めてじっくり見てみる。さっきの事もあって、こういうと変態みたいで嫌だなぁ……。


 髪は短めの金髪で、幼い顔をしている。背は私よりも低い。子供かな? これは10歳くらいと見た。妹が出来たみたいで嬉しいな。


 「ねぇねぇ。君って何歳?」

 「私は100歳だよ!」


 ……うそやん。それ妹どころか、もはや先祖じゃん。


 「ドラゴンならこれでも子供ですよ。それでもレッサーなのでドラゴンの中では寿命が短い方ですが」


 確かに山で財宝を守ってるドラゴンとか伝説になるレベルでずっといるな~って思ってたけど、まさかここまでなんて。

 って話が逸れた。


 「へぇ~君赤い目をしてるじゃん。じゃあアカネはどう?」

 「私、アカネ!」


 適当すぎたかな……って思ったけど本人が喜んでるしいっか。可愛い名前だし。


 「珍しい名前ですね。アオバもそうですが、この辺じゃ聞きません」

 「私のお母さんの故郷の方の名前だよ。いつか行ってみたいなぁ……」


 まぁそれは置いといて。まずはこの子の実力が気になる所。外は……体が大きくてバレそうだから、ゼロフロアの端の方に行こっか。

 1度ドラゴンに戻ってもらって……あ、服破れた。もったいない。


 「グォォォォン!」


 これはすごい……翼を広げると10メートルはあるんじゃないかな。良かった。本村からまぁまぁ離れといて。

 突然のドラゴンの出現にビックリしたゴブリン達が集まってきて大騒ぎだ。


 「ちょうどいいね。アカネの速さをみんなに見せてやって!」


 背中に乗って飛んでもらうと本村もゴブリン達の歓声もあっという間に遠ざかっていく。

 川を航行してる船だって追い越して、しばらくすると鉱山の方の村が見えてき……たと思ったら、これもすぐに通り過ぎた。


 最終的にダンジョンの端まで一瞬だった。まぁこれは全速力だからスタミナの問題で長時間の飛行はもっと遅くなるらしいけど、それでもすごい。

 乗ってる時は落ちるかもって思って少し怖くもあったけど。


 「マスター。そろそろ放してください……」

 

 あっ力を入れすぎて、落ちそうだからと抱きしめていたエリーを潰しそうになってた。ごめんごめん。

 

 さぁここからが本番だよ。

 私は少しだけポイントを払って、小さな森林エリアを作った。長さはおよそ5メートル。アカネはこれを口から吐いた炎で焼き尽くした。


 「すっごぉ」


 思わず言葉を失う。でも私とエリーが立ち尽くしていると、人化して褒めてほしそうにするギャップはたまらない。なんて可愛いのこの子は。よしよし、お姉ちゃんが褒めてあげるね~♪


 「どう? エリーから見てアカネの実力は」

 「想像以上です。これなら多額のポイントも納得ですね。それだけの価値があります」


 「でしょ! つまり私の判断はやっぱり正しかったって事だよ!」

 「勝手にポイントを使ったのは別問題ですからね?」

 「うぐっ、すみません……」


 なんにせよ、この子を召喚して正解だった。これからは私もダンジョンも安心だね。

 すぐに破けちゃう服は困るけど……それはあてがあるし大丈夫かな。これでのんびり一安心♪


 「ところで貴族へのお願いは考えたのですか?」


 あ……忘れてた。

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