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貴族

もう4月半ば。でも外の世界はなぜか少し寒い……くしゅん。外の世界に行く時はまだ冬着の方がいいかな。

 

 まさか今年は冷夏になるの? もしそうなったら、この寒波っていつまで続くんだろう。この影響で隣の国で内戦が起こったらしいし怖いなぁ。


 そんな事を考えてると町についた。店は開店祝いのおしくらまんじゅう状態は落ち着いたけど、固定客みたいのも付いてくれて毎日お金が湧き出てくる夢の国になっているよ。


 「おっアオバ、ここにいたのか。ちょっと面倒な事になった」

 「えっどうしましたか? まさか食品の産地偽装がバレたとかじゃ無いですよね?」


 「バレたってそもそも俺は悪い事はしてないぞ! だけど一応秘書を雇っておくか……」

 「その手法が通じるのは政治家だけですよ」

 「ってそんな事はどうでもいい。ちょうど政治をしてるお貴族様の話なんだ」


 貴族が? なんで私達に関わってくるんだろう……。

 

 「少し前にアオバを尾行していた奴らはうちが雇ってる私兵なんだが……彼らはあの日、この町の領主にお願いされて貸し出されていたんだ。多分君が大商人で取引先のリッチファミリー相手なら文句を言いずらいと思ったのか」


 あちゃ~。これは確かに面倒。あれから懲りずに4回もやってきて最後の方はオーガに黒エルフまで動員する事になったんだけど、流石にそんな人材を用意できるなんておかしいと思ったんだよ……。

 

 ジョージさんに聞いても2回目以降は、他の兄弟には出来るはずが無いって戸惑ってたし。


 悪い事は続くもの。領主の紋章を付けた兵士が私の方に向かって歩いてくる。顔が険しいし、どうも私をモデルにスカウトしに来たわけじゃ無さそう。見る目ないなぁ。

 襲っても無駄と判断して私に直接攻撃にでも出る気かも。

 


 「あなたがアオバ・ブラウンさんですね?」

 「……はい。何か御用ですか?」


 ブラウンは私の苗字。最近名字を呼ばれる事が少なかったから、うっかり反応が遅れちゃった。

 

 「領主様がお呼びです。今から館に来て戴く事は出来ますか?」

 「分かりました。少しだけ準備をするので待ってください」


 質問に見えるけど、この感じは選択肢がはいかイエスしか無い。今すぐに呼び出しとか乱暴だなぁ。この雰囲気だとお屋敷に入ったら何をされるか分からない。だから”準備”は大事だよね。

 

 私は馬車を見に行くふりをして店の倉庫に入る。マスター画面を開いてポイントを見ると……うん、十分だね。エリーに黙って大量のポイントを使ったら怒られるかもだけど、今日くらいは許して貰えるでしょ。


 「さぁおいで。ドラゴン召喚!」


 ……特に声を出す意味は無いんだけどやってみたいじゃん。私は今あるポイントとお金のほとんど、数十万近くのポイントを使ってレッサードラゴンを召喚した。

 見た目は赤いウロコに黄色い目。ザ・ドラゴンって見た目で、しっかり羽も生えている。

 

 さらにオプションで人語と人化スキルだって覚えてもらった。これで怪しまれにくいし、何かあっても私を乗せて飛んで逃げれるはず。

 もちろんダンジョンのレベルが上がって新たに増やせる幹部モンスターに設定。


 「ごめん。説明は後でするから、すぐに人化して人間のふりをして欲しいな」

 「エサのふりをするのは気が進まないけど……マスターの命令なら」


 ちょっと。私もその”エサ”なんだけど。オプションでマナーも付けてやれば良かった。そんなん無いと思うけど。まったくもう。


 いつ私の様子を見に人が来るか分からないから、すぐに収納すると外に出る。さ、いつでも連れて行ってくださいよ兵士さん。ドラゴンの中ではレッサーが1番弱いとはいえ、この町だと今の私は無敵ですよ?


 


 しばらく馬車に乗るとお屋敷の庭に着いた。さっすが貴族。庭には魚が泳いでる池に大きな花壇、専属の庭師さんまでいる。


 「それではブラウン様。どうぞこちらへ」


 そう言うと兵士さんが子供の私のために、わざわざ手を伸ばしてくる。

 あれれ? おかしいな。乗ってきた馬車も結構豪華だったし、兵士さんも普通に優しい。もしかして私、とんでもない勘違いでもしてた?


 メイドさんの案内について行くと屋敷の奥の扉についた。よし、開けるぞ。

 

 入ったらすぐにひざまずく。これが封建社会で生き残り知恵よ。チラッと目だけで見ると真ん中の豪華な椅子に少し太……ふくよかな人が1人。こっちが貴族様の方かな?


 その右の方にエレガントな服を着た白髪のおじいさんが立っている。こっちは多分執事さんだね。

 

 「やっと来たか。遅いぞ下民が!」


 おっ執事の方から貴族っぽい発言がいただけた。そもそも遅くなったとしたら、あなた達が用意した馬車か兵士が原因でしょ。


 「やめんか! せっかく来ていただいたお客人に失礼だろう?」

 「……! 申し訳ございませんでしたブラウン様」

 「いえ、大丈夫です。遅くなってしまい、こちらこそ申し訳ございません」


 なんかやけに執事の聞き分けがいいな。このやり取りの後から貴族様の方は顔に、成功したぞって書いてそうなほど笑顔だし。

 ……もしかして優しい自分を演出する茶番? とりあえず貴族様はトランプしない方が良いと思うよ。


 「今回は突然の呼び出しで済まなかったな。いやなに、今日は感謝を伝えるために呼んだんだ。

 この状況下で足りない食料を持ってきてくれた事で、多くの住民が飢えずに済んだ。この町の治安が他に比べて良いのは君のおかげだ。何か褒美をやりたいのだが何がいいかね?」


 えっそんないきなり言われても。私が少し悩んでいると、また今度兵士を店に送ると言って帰してくれた。ちゃんとした挨拶はまた今度ですか。


 力じゃ勝てないから飴で釣る作戦に変えたのかな。まぁ貴族相手に戦うつもりも無いから、ここは大人しく釣られるけど。


 行くまではビクビクしてたけど、これはむしろチャンスかも。相手も私に犯行がバレてるのは知ってるだろうし、今回のはお詫びも兼ねてるのかな?

 じゃあ遠慮なくお願いしちゃお……首が飛ばないレベルでね。

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