レッツオープン!
と、意気込んだは良いものの……。町のお店を作るときに支払いを遅らせたモンスター達への借金が私を襲い掛かってきていた。
「ねぇエリー……マスターの借金は帳消しって言ったらキング達怒るよね」
「さっそく権力の濫用ですか。さすがいつものあなたって感じです」
「ちょっとエリーの私への評価が気になるんだけど」
捕まえてやろうとジャンプしたら空に逃げられた。
「ずるい! エリーのアホ!」
「私達の仲なんですから今さら自己紹介なんてしなくて良いですよ」
私達の仲って言葉にちょっと喜んじゃう自分のチョロさが憎い。
遊んで現実逃避しても何も変わらないわけで……。ブラックリ村出店計画が延期になってる今私の望みは町の方のみ。
そして昨日ついにジョージさんがほぼ全ての準備が整ったと私に言ってきた。明日から開店だから、最後に6台もの馬車を使ってありったけの商品を持って私は出発した。
「さぁアオバ。品ぞろえはバッチリか?」
「もっちろん!」
膨大な額をかけたこの建物は町でも目立つ存在になっている。最後に一周して確認しとこ。
この建物は3階建て。まず大きなドアを開けるとメインのリッチファミリー食品店が。これは1階の6割を使っているだけあって、近くの物はなんでも揃ってるってレベルだよ。
当然目玉は豚などの肉、魚といったダンジョンの特産品。あと森林エリアの山菜も。
特にゴブリンメイジに氷系の魔法を覚えさせたから、新鮮な生魚を届けられるようになったのが嬉しいね。
ついでにブラックリ村のお酒もちょっと。1度お土産にジョージさんにプレゼントしたらすっごく気に入ってくれたんだよ。
その後に寝られちゃったのにはビックリしたけど……子供の前でそんな姿を見せるなよもぅ……。
2階に上がると左側が数十人分の席があるフードコートになっている。独立を考えてるシェフに声をかけて、安い賃料と引き換えに来てもらった。
儲からないけど、とりあえず客寄せとしてね。みんな美味しい外食ついでに、ついついお買い物って経験あるでしょ? ……私だけ?
逆の右側は黒エルフ達の苦労のたまもの、お洋服たちだ。町は収入が高い人が多いから、安い服なら普通の人たちも買ってくれるはず。もう同じ服を何年も直して使うなんて苦労はさせないよ!
最後に3階。ここは少し狭くなっちゃっているから、数軒の店があるだけだね。こっちも町から呼び込んだ物で3階はパン屋から宝石商まで自由な感じ。
この一大プロジェクトで私はキング達だけじゃなくて、銀行からも借金をする羽目になったけど見ない見ない。とりあえず数日様子を見てみたら、建物中にお客さんがぎゅうぎゅう詰めの大繁盛。
「どうですジョージさん。大金をかけた価値はありましたか?」
「あぁ。父にお願いして一族の金の6割を使ったかいがあったぜ。やっと夜に寝る事が出来るよ」
「……ジョージさんって意外とギャンブラー?」
「いいや。俺はやる時はやるってだけだよ。一族の全店舗が赤字の今、俺の店の黒字が埋め合わせてる状況だ。おかげで跡取りに選ばれそうだぜ」
ジョージさん長男なのに跡取りじゃ無かったのか。聞いたら親が引退するまでに1番成功した子供が跡を継ぐんだって。さすが商人一族。
「それでは私はまた仕入れに行ってきますね。この店がどんどん商品を売ってくれるおかげで品薄になりそうなので」
「あれだけ倉庫に貯めた分も開店セールで飛ぶように売れたからな。この調子でいけるかは君にかかってるんだから頼んだぞ」
ほんとはもう少し店を見ていたかったけど仕方ない。買った分、ジョージさんに借りた分、合計10台ほどになった大商隊で出発進行!
しかもキャラバンっていう大きな馬車だから昔と運べる量は大違い。交易を始めた時は小さな馬車1台だったから、未だに慣れないよ~。
護衛はゴブリンメイジとウルフに任せて長い間馬車に揺られるうちに、ダンジョン近くの森に着いた。この帰ってきた感がたまらない。
と思ったら誰かの声が聞こえる気がする。もうすぐ夜で周りは暗い。この時間に森の中で人に会うわけが無い。つまり……おばけ……いやいやいや聞き間違いだよね! うん、そうに違いない!
「マスター。こっちです」
「うぇぇぇぁぁ!?」
で、出たー!!!
え……? よく見ると馬車の屋根から黒エルフが頭だけ出して話しかけてきていた。トラウマになる所だったじゃん。もう2度とその登場の仕方はしないでほしい。
「で、どうしたの? 何かあった?」
「さきほどダンジョン外のゴブリンコロニーから連絡がありました。マスターを尾行している人がいました」
「とうとう来ちゃったか~。コロニー作っておいて良かった。今はどうしてるの?」
「ゴブリンジェネラルを筆頭にコロニー全員と、ダンジョンからホブゴブリンとメイジを送ってなんとか追い返しました」
そんなに応援が必要だなんて結構相手も強いね……。相手は検討つくけど一応聞いてみよっか。
「何か目印とか無かった?」
「逆に私たちが追いかけると、逃げ込んだ馬車にこんな紋章がありました」
黒エルフの説明を聞いたらやっぱり相手はリッチファミリーだった。そりゃあんな安さでの仕入れ先は気になるよね。ジョージさんはやる理由が無いから……他の兄弟かな? 競ってるらしいし。
さては逃げ帰る事になんかならないと馬車の証拠隠滅をめんどくさがったな? ふふーん、うちのモンスターを舐めるな。
「教えてくれてありがと。助かったよ」
「マスターのお役に立てたなら満足です」
ま、大きな問題があるわけじゃないし後はジョージさんの反応を見ないとかな。別に私も争いたいわけじゃないし。
とりあえず今は忘れてベッドにダイブ!
銀行からの借金……当初は誰もお金を貸してくれないけど、店を持った事でこいつは逃げられないなと貸してくれるようになった。使い道はほとんど馬車と馬を買うため。
どっかで馬車っておよそ1000万円ほどって見てびっくり。返せるかなこの借金……。




