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不満

 今回もしっかり食料を大量に売ってきて私はたくさんのお金を貰えた。

 私が全部の村の村長さんに次は豚肉も卸せますって伝えて、今回も言われた分しっかり干物を売ったら向こうも安心したのか次は寒波以前の量で良いって。


 正直うちのダンジョンもどんどん食べ物が少なくなってきてたから、なんとか耐えたって安心感もある。ただ国の西側で家畜の伝染病が流行ったって話も聞いたし不安だなぁ。


 ダンジョンに戻るとゴブリン達の元気が少しずつ減ってきている事に気づいた。少し村の雰囲気がどんよりしている。

 もちろん元気よく働いてる子もたくさんいるけどね。


 「エリー。どうしたんだろ? 何か分かる?」

 「いいえ。ダンジョンでこのような事はほとんど発生しません。キングに聞いてみるほか無いでしょう」


 村役場にいなかったから探しに行くと養豚場の所にいた。豚を受け入れたばかりで大忙しだ。初めての家畜だから黒エルフも呼んできて教えてもらいながら頑張っているらしい。


 「キング。後で少し時間ある? 今忙しそうだし暇な時間でいいからさ」

 「いえ、マスターの用事とあれば今すぐに行きます。こちらは他の者に任せても大丈夫なので」


 とりあえず川の横の人……いやゴブリン達があまりいない場所で聞く事にした。他の子が聞きたい話でも無いと思うしね。


 「キング。最近村のゴブリンが疲れてる……ううん。正直な言い方をすると少し仕事のやる気が無くなってきているような気がするんだけど何か知ってる?」


 「確かに村にはそういうゴブリンが増えてきました。理由は分かりませんが、たまに頑張りすぎて疲れた……という声を聞いた事があります」

 「頑張りすぎた? あなた達ダンジョンのモンスターは全力を尽くすのが当然でしょう? それを嫌がるとはどういう事ですか?」


 なんだかんだで仕事熱心なエリーが少し怒ったような声で問い詰める。確かに最近は仕事が多かったからね。バトルの後すぐに大量の食料を用意する必要があったからね。


 私はあまりモンスター達の事を考えてあげられて無かったのかも……。冬に入ってお客さんからの注文は増える一方で、モンスター達の食べ物が不足していたし。あとウルフとも遊んであげる時間をあまり取ってないし。


 「マスター。恐れながら申し上げますと仕事が増えて、モンスター達の生活に必要な物を作る事が出来ていません。予定されていた学校の建設も延期されています。

 当然ダンジョンのためなのは分かりますし、全員マスターを敬っています……が、少々愚痴を言う者もおります。せめて頑張った分が報われたい。これじゃ頑張っても頑張らなくても同じだと……」


 私が悩んでいるうちに、キングがとっても申し訳なさそうにそう言ってきた。今度はエリーがはっきりと強い口調でキングを怒る。


 「お前らは自分達の待遇の良さを理解しているのか? ほとんどのダンジョンではモンスターなど最低限の生活環境で放置され、冒険者相手に死ぬまで戦わされるのだぞ? その点我がダンジョンでは平和で比較的豊かな生活が……」

 「ごめんエリー。1度抑えて」

 「申し訳ございませんマスター」


 エリーの言葉で耳が痛い。実際私も少なからずそう思っていた。他のダンジョンは死なないギリギリの生活。その点この村では食べ物に困る事は無いし、家も全員分が用意されてる。

 少なくとも死にはしない。


 でもそれは別のダンジョンの話。キングはダンジョンマスターの私にこんなお願いを言うのはとっても怖いはずだ。でも村のみんなが苦しんでるのは見てられなかったんだと思う。


 これからもモンスター達に苦労をしてもらわないとダンジョンは守れない……けど、私はもう少しモンスター達の事を考えてあげたい。

 

 「キング、教えてくれてありがとう。分かった。どうするか考えてみるから、少しだけ我慢してほしい。待ってくれるかな?」


 キングは目を見開いて私を見る。もうちょっと私を信用してよコラ。


 「ありがとうございます!」


 まぁ喜んでくれたならいっか。

 

 キングと別れてエリーとマスタールームに戻る。


 「しかし何故あんな不満を抱き始めたんでしょうか? 他のダンジョンであのような事例を聞いたことが無いのですが……基本的にモンスターはマスターの決定に絶対服従で不満を持つ事も無いはずです。創造主様によって不満が浮かばないように創られているので」


 「うーん、分からないけど多分長生きしたからとか? 他のダンジョンでは死んじゃう魔物が、時間が経つにつれて創造主様の効果が薄れてきたのかも」


 ってそんな事はどうでもいいんだよ。ちょっとだけ気になるけどさ。


 「マスター。モンスターの話を聞いていてはキリがありません。マスターの命令には逆らえないのですから気にしなければいいのです」


 「でも少しくらいは何か返してあげたいじゃん? それに命令された以外の事はやらないで、いやいや働くんじゃ効率も悪いんじゃない?」


 「それはそうですが我がダンジョンにこれ以上ポイントを使う余裕も無ければ、交易からの収入を減らす事も出来ません。モンスター達のためにポイントを多く使って成長する事が出来なければ、何かあった時にダンジョン自体を守れませんよ。

 当然……モンスターを含めてです」

 

 エリーの言う事も正しい。建物を建てたり、食べ物を出したりするポイントは結構高いんだよね~。


 うちのダンジョンも今は順調だけど前のバトルでもギリギリだったし、次は誰が勝負を仕掛けてくるか分からない。

 それに今後ずっと冒険者や兵士が来ないとも限らないし……さっきキングはもっと報われたいって言たんだよね。

 

 別に仕事が不満じゃないんだ。頑張った分だけの見返りが欲しいのかも。もともとゴブリンは自分中心の個体が多いって冒険者ギルドに置いてた本でも読んだことがある。


 1つだけ思いついた事がある。この案でやってみるか。

 あとエリーにも伝えて……あとお礼を言っておかないと。


 「さっきエリーがキングに怒ってた時に止めてごめんね。ダンジョンの事を考えてくれてたのに、結局エリーがすごい悪者みたいになっちゃった」

 「気にしないでください。今回のマスターの案は悪くは無いと思いますよ」


 それだけ言うとエリーはダンジョンの1階部分を確認しに部屋を出ていった。

 ふふ、素直じゃないやつめ。

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