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トライ・ランド   作者: 三澤 健
始まりの特異点 ナト編
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エリア1 第二話 三人の友情

この世界に来た時にエルは緑色の髪、ミラは黄色の髪、ナトは黒髪と赤髪が混じった髪になっていた。そして飲み会の次の日、ナト、エル、ミラは三人で武器屋に来ていた。武器屋が近くにあると昨夜メイ先輩が教えてくれた為、早速見に来たと言う訳である。

武器屋には沢山の種類の武器があるわけでは無かった。刀に盾、鎌に斧など一般的にゲームで使われている武器しか無かった。



「メイ先輩とツルギ先輩が持ってたっぽい奴は無いな〜」

「あぁ。すごかったよな〜あの時の剣」


ナトはツルギとメイが使っていた武器を想像していたのだが、武器屋にはそんな武器は無かった。

そして、色々な武器を見ながら昨日の話を思い出していた。




「アイテムっつっても四種類あるんだよ。全く戦闘力はないけど結構便利なC級。ゴリゴリの戦闘用で一番ドロップもしやすいB級。そして10個しか無い超貴重なA級武器。あとはまぁ私は実物を見た事はねぇけどS級なんてアイテムもあるらしいぜ〜?ヒックッ」

メイ先輩はかなり酔っている中で武器の存在を教えてくれた。初心者は武器とB級を使って戦うのが一番安定すると言う事。そして、メイとツルギが使っていた武器はそれぞれA級武器であることを。


「あとな〜ボスのことで言い忘れてたけどよ〜このエリア1にはな〜他のモンスターよりデカいモンスター。私たちはエネミーって呼んでるんだけどよ〜エネミーが持ってるメダルを10枚集めないといけないんだっよな〜それを10枚集めることができたらこのエリア1のボスに挑めるんだぜ〜エネミーは他のモンスターより結構強いから、もし遭遇したら気をつけろよな〜」




話は武器屋に戻る。ナトとエルは剣を。ミラは忍者のクナイのような投げる武器を使う事にする。早速町の北側、湖のある方へと出発した。もしこれがゲームだったら、回復薬や攻撃力アップのポーションなどを買ったりするはずなんだがトライ・ランドにはそう言うものは一切ないらしい。夜眠ることで体力は回復するらしいがそれ以外に回復手段はないと言う。ゲームだったらクソゲーと言われてもおかしくない。

早速モンスターのようなものを見つけた。見た目は熊に似て居るタイプや狼に似ているタイプなど色々いた。

三人はひとまず武器を使いモンスターを倒していった。モンスターは剣で2回ほど攻撃したらすぐに消滅するぐらい弱かった。ゲームのチュートリアルを体験しているかのようだった。


「そいえばさ。結構モンスター倒してるけどさ。メダル全然出ないね。」

ミラが二人に話しかけた。メダルとはC級、B級のアイテムメダルの事。普通のモンスターからもたまにドロップするとメイ先輩に教えて貰ったのだが全くドロップする気配がなかった。

「俺達が思ってたよりレアな存在って事なんじゃないの?」

「俺も一つ気になってたんだけどさ、この世界ってこんなゲームっぽいアイテムもモンスターもいるのにレベルっぽいのが全くないよね?」

この三人はガチと言えるほどではないがかなりゲームとプレイしていた。ゲーマーなら誰でも知っているMMORPG。アイテムといいモンスターといいMMORPG要素が盛りだくさんのこの世界にはプレイヤーレベルというものが存在しなかった。代わりに、同じ武器を使えば使うほど武器に表示されるレベルが上がっていくようだ。

「これってさ。途中で気が変わって武器を変えたいってなったら、また一からレベル上げしなくちゃいけないってことじゃない?」

「無駄にしたくなきゃ、他の武器に浮気するなって事なんじゃない〜?」

三人はその後も探索を続けた。

北側から東側へ移動すると、昨日見た女性二人組を見つけた。確かミカとユズと名乗っていた二人だ。ユズは剣を、ミカはナイフを使ってモンスターと戦って居るようでこっちには気づいていないようだった。

「なぁ?あの剣使ってる女の子。大丈夫なのかな?ゾンビシアターの時もすごい震えてたし昨日の飲み会の時も不安そうな顔だったし、あんなにすぐにモンスターと実戦しちゃってさ」

「まぁトラウマになる可能性はあるかもね。ていうかミラだってゾンビ見て超怯えてたじゃん!」


『それはナトも同じだろ!!!』


結局そのまま話しかける事はなく、三人は南側の山エリアへ移動した。

昨日メイ先輩に「南側はめんどくさいモンスターが多いから、あんま行かないほうがいいぞ〜?」と言われてはいたのだが三人の武器のレベルはレベル3まで上がっており、三人は段々とモンスターに慣れてきていた。次第に三人は高校時代のことを話し始めるようになっていた。高校を卒業してから一回も会っていなかった三人はまるで同窓会のようなノリで話をしていた。メールで何回かやり取りをしてはいたのだが、文字でやりとりするのと実際に話すのでは楽しさが全く違ったのだ。

「あんときは本当に嬉しかったよな〜そのまま授業無くなって帰れる事になってさ〜」

「まぁ元々休校になった時期が長かったから、3学期はほぼ休みだったけどね〜」

「あとさ〜球技大会でさ〜」

気がつくとモンスターを倒すことなど忘れ、山エリアの石に座って昔話をしていた。

本当に楽しかったのだ。高校時代に戻ったかのように。2時間以上、お昼を食べる事も忘れてしまいずっと昔話を続けていた。それはまるで三人の仲の良さ、絆を見せ付けるかのようだった。

だからこそ三人は気づかなかった。気づくことができなかった。


モンスターよりも恐ろしい存在に。


目をつけられている事に。










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