【7話】自室の柚葉
さっきからドクドクと心臓の音が鳴りやまない。
えっ!?えっ!?なんなのさっきの。
ほんと何考えてんのおにーちゃん。
聞き間違えじゃなければ、さっきおにーちゃんはゆずのことを好きになってしまうかもと言っていた。
好きっていうのは家族としてってことだよね!?そうだよね!?
でもよく思い出してみると、柚葉が妹じゃなければとか言ってたような気がする。
うそうそ!何考えてんの、ゆずは妹なんだよ、そうなんだよ。
きょうだいで好きとか何言ってんのっ!
あーもうっ。
布団にうずくまり両足をジタバタする。
落ち着かない。
これは間違いだ、そう、何かの間違いだ。
そうにちがいない。
そーだよ、おにーちゃんがゆずのこと好きなんてあるわけない。
そう自分に言い聞かせる。
「そう、これは間違い、ゆずの勘違い。」
机に向かって宿題に手をつける。
だめだ、全然集中できない。
やっぱりさっきのことが頭から離れてくれない。
おにーちゃんが紛らわしいこと言うから。
「…ばか。」
こんなのゆずがおにーちゃんのこと気にしてるみたいじゃん。
もう!ばかばかばかばかっ!
そんなこんなでなんとか宿題を片付けた。
おにーちゃんのことなんてもうしらないっ、寝るっ!
そう意気込んで布団に潜り込む。
だいたいおにーちゃんが変なこと言うからいけないんだ。
ゆずはおにーちゃんのトイレのことを心配してるだけなのに。
別におにーちゃんに好かれたら嫌ってわけじゃないけど、
でもゆずとおにーちゃんはきょうだいなんだからそんなの…
ってあーもうっ!寝れないじゃんっ!
おにーちゃんのばか。
ゆずもなんでこんなにおにーちゃんのこと考えてるの!
だめだめ、落ち着け、ゆず。
チュンチュン、チュン、チュンチュン
…寝れなかった。