96時限目 最強タッグvs炎魔 その3
下級悪魔たちがエルトに襲い掛かる
「スオン!」
「オッケー!」
合図とともに、真正面へと突っ込んでいく
デュアル・ランスではなく、鎖鎌を取り出し
「よっと」
スオンの背中を蹴り、悪魔たちに取り囲まれる
「何してるの!?」
当然、スオンは目の前の状況にパニックになりかけている
少年は、足の踏み場もない空中で、目にもとまらぬ速さで鎌を振り回す
悪魔たちは切り刻まれるわ、首に鎖が絡まりエルトが引っ張った反動で首の骨が折れるわで次々と殺されていく
「す、すごい…」
何度も共に戦ってきたが、改めてエルトの恐るべき能力を目の当たりにして、もはや何も言えない状況だ
「オレイちゃん…、あんな芸当できる…?」
「いや、さすがの妾でも無理じゃ…」
「おのれ、ファイザーめ…。まだ我を苦しめるというのか…?だが、同じような奇跡が二度起きると思うな」
今度は炎魔自ら、攻撃を始めた
「むぅん!」
唸らせると同時に、体がもう一体現れ、さらにもう一体…
気付けば40体ほどの数になっていた
「はっはっは!これが、上級悪魔が為せる技よ!ファイザー、ここで塵となって地獄へ堕ちるがいい!!」
一斉にエルトに襲い掛かる
「動きが遅いよ…」
炎魔よりも速く、無属性魔法 鎌鼬を発動し、両足を斬りおとす
「…ぎ、ギィイイイヤアアアアアアアアア!!!!!!!!!」
い、いつの間に…我の足を斬ったんだ…!?
あり得ぬ!
我の知るファイザーは、ここまで強くはなかったぞ!
だが、まだ手と翼がある
勝てる見込みが…
そう思考を巡らせてていたとき
エルトは間髪入れずに両手と翼も斬りおとしたのだ
「…あ、…あ、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」
断末魔と共に落ちていき、体が地面にたたきつけられる
「…ぁ…っ…」
地面に落ちた衝撃で、骨や内臓が傷つき、動けない状態になっていた
くっ…
体を再生できない…、これは大誤算だ…
悪魔は体の一部を切られても、再生することは可能である
しかし、それには自身にある魔力を媒介とする必要がある
さらに、眷属の下級悪魔たちを多く召喚したため、魔力の大量消費は避けられない
つまり、今の炎魔の魔力はゼロに等しく、抵抗する力も残っていない
エルトたちが静かに近寄ってくる
「…わ、我の…負け…だ…。ファイザー…、汝の力…思い知らされた…」
「一つ教えてくれ。どうしてあんたは、僕の家系を知っている?」
すると、信じられない言葉を口にしたのだ
「我を…悪魔や魔族を召喚獣の世界の最深部に閉じ込めたのは…、オルト=ファイザーだから…、今でもはっきりと覚えている…」
オルト=ファイザー
つまり、エルトの父親だ
「父さんが…?あんたたちを…?」
ニルさんの召喚獣を助けた際に遭遇した魔族も…?
炎魔は喋った反動で、血を吐き、何も言わぬまま命を落とした
「父さんが…1000年も前から生きていた…?」
「どういうことじゃ…?」
「訳が分からないんだけど…」
新たな謎が生まれた
どうも、 茂美坂 時治です
随時更新します




