95時限目 最強タッグvs炎魔 その2
「やっぱり、一筋縄ではいかないか…」
「エルト、気を抜く出ないぞ」
「分かってるよ」
炎魔が両手を広げて炎の球を練る
だが、それを横一列に無数にだ
「ククク、汝らにはこれは止められまい」
人間が魔法を使うにしても使える範囲が限られている
「さて、死合おうか」
低い声と共に、炎の球が発射される
「しまった!」
いくつかの球は打ち消すことはできたが、他の球は周囲の町へ向かい
着弾した轟音と共に炎の海と化してしまう
「まだ終わりではないぞ」
次の攻撃を仕掛ける炎魔
今度は全方位に向けての球を無数に
「どうした、さっきまでの余裕はどこへ行ったのだ?」
ニヤニヤと勝ち誇るような顔をする
「さあ、今度こそ人間たちに地獄を見せようぞ」
どうすればいい?
「…ト、エルト」
「この声は、母さん?」
どこからか、リンゼの声が聞こえてくる
「エルト、あの程度の炎、あなたの力で消せるわよ。心で、消したいと念じるの。そうすれば、魔法が応えてくれるわ」
「念じる…」
その言葉通りに、念じてみる
不思議なことに、炎魔の練り出していた炎が全部消えたのだ
「な、何だと!?あの数では、打ち消すことなど出来ぬはず!」
「エルト、今何をしたのじゃ?」
「信じてもらえないだろうけど、さっき母さんがあの程度の炎は消せるから、念じなさいってアドバイスをくれたんだ」
「我の炎を…、あ、あの程度の…炎…だと?」
炎魔のプライドが許さなかったのだろう
その言葉で怒りが沸いたのだ
「ならば、極限まで練り上げた最強の炎を見せてやろう!!」
とてつもない量の炎を練り上げ、巨大な球となっていく
「これなら、自慢の魔法でも打ち消せまい」
大丈夫だ、母さんの言葉を信じるんだ
もう一度強く念じ、その球も跡形もなく消えていった
「バカな!?最強の炎までも打ち消せるというのか!?汝は…、何者なのだ!?」
2度も同じ魔法で打ち消されて戸惑っている
「エルト。エルト=ファイザーだよ」
「ファイザー…?」
その名前を聞いて炎魔が黙り込む
次の瞬間、顔つきが変わる
「あの忌まわしきファイザー家の末裔か!?よくも我をあの世界に閉じ込めてくれたな!我が積年の恨み、今こそ晴らしてくれようぞ!」
魔法のようなものを発動しているが、炎ではなく悪魔を召喚していた
「眷属ども、あの銀髪の男を殺せ!」
悪魔たちがエルトに襲い掛かった
どうも、茂美坂 時治です
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