88時限目 ドラゴン、殲滅する
作戦実行前
エルトはスオンを学園に呼び出す
「魔物大発生!?それ、本当!?」
「嘘だったら、ここに呼ばないだろ?北の方角から魔物たちが押し寄せてる。中には、空を飛ぶ魔物もいる。僕たちは、地上で魔物の駆除をするけど」
「私は空からってことだね」
「そういうことだ。できるか?」
「エルト、私を見くびってもらっては困るというものだよ?里で厳しいトレーニングを積んでるから、そう簡単には死なないよ。相棒のためにも、殲滅してくる!」
「頼んだぞ」
☆
「あれかな?」
前方100mに2、30ほどの魔物を発見
大きさからみて、鳩やカラス程度
仕留めやすい
「それじゃ、挨拶として」
スオンは翼を薙ぎ払うように振る
すると、魔物たちは上下左右にスライスされる
これは、鎌鼬という現象を応用した技
スオンは、修行の成果として、大きさ50m以上もある巨大な岩を一振りで真っ二つにしていたのだ
☆
幸先のいいスタートと言えるが、本番はここからだ
「うへぇ、あんなにいっぱいいるのか…」
今度は数え切れないほどの群れがこちらに向かってきている
待っている猶予などない
「仕方ない、アレをやりますか」
スオンは翼からキラキラと光る何かを出し、雲の上へと上昇していく
魔物たちもそれに釣られるように、上昇を始めた
スオンが出しているのは、フェロモン
通常は繁殖を迎えるために出すのだが、これが魔物にも効き目があることが、修行の際ディルルから聞いていたのだ
ドラゴンと空を飛ぶ魔物ではスピードが雲泥の差
スオンはすでに、上空5000mまで来ていた
魔物たちはというと、まだ豆粒程度
「ここで一気に畳みかける」
翼を折りたたみ、急降下した
スピードは徐々に上がっていき、音速の手前のスピードにまで達した
魔物たちへ近づいたとき、翼を広げてそのまま降下
彼らは、スオンのとてつもないスピードに追い付けずバラバラに切り裂かれていった
「ふぅ、こんなもんかな…」
空の魔物は殲滅できた
「は…、ハックション!!」
エルトからの任務完了と同時にくしゃみが出た
「うう…、やっぱり高い空はキツイな…」
上空5000mは、気圧が低く気温も氷点下50度以下にもなる
いくら修行で鍛えた体とはいえ、体が応えたのだ
どうも、茂美坂 時治です
随時更新します