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83時限目 少年、召喚術を使う

エルトは、召喚獣の世界(向こうの世界)での事を話す


「そうか、魔族は生き残っておったか。しかし、さすがはエルトじゃ。傷一つなく戻ってきたんじゃからの」

「はい」

「強すぎるにもほどがありますね…」


少年は顔がまだ安堵の顔じゃない

賢者は、察した


「お主、何か隠してるじゃろ?」

「…」

「無言は、認めると同じじゃぞ。魔族に何か言われたのか?」

「…」


最期の言葉がどうしても離れなかった

これは、自分で解決するしかない


その時

頬をギュッと抓られる


「い、いひゃい!!」

「これ!!何も言わぬとはどういう事じゃ?シャキッとせんか!」

「わ、わはっははら…(わ、分かったから…)」


エルトはその言葉を伝える


「ファイザー家の恐るべき力…か。聞いたことがないの。ディルルはどうじゃ?」

「う~ん、私もその一族の事は知らないわ…。むしろ、魔族が知ってて人間やドラゴンが知らないっておかしくない?」

「お主の言っていることも分かる。加えて言えば、何故ファイザー家の力が周知されていないのも謎じゃがの」

「それもそうね」


二人の秀才でも分からないことのようだ


本当に、自分は何者なんだろう?



翌日


ニルは実技の授業で召喚術を試してみる


周りの生徒も


「大丈夫かしら…?」

「もう、10回も()び出せていなかったよね」


不安の声が漏れる


最後のチャンスだという思いで魔力を注ぐ


魔法陣は光り続け、炎狼(フレイム・ウルフ)が姿を現した


「やった…、やった!!」


2か月以上も会っていなかった相棒に出会えたのだ

その感激は計り知れないだろう


彼もまた、主人と出会えて大喜び

ペロペロと顔を舐める


「ウォン!」


炎狼(フレイム・ウルフ)が彼女に何かを発する


「それ、本当…?」


彼の言葉の意味を悟ったニル



昼休み


廊下をけたたましく走る音


エルトのいる教室に入った直後、少年に抱き着く


「うわ、ニルさん!?」

エルトは突然の事に驚いていた


「ありがとう!!ありがとう、エルト君!!」

嬉し涙を流しながら礼を言うニル


その光景は、姫たちにも見られ


「ちょっと、ニル姉さん!?パンツが見えてるわよ!?」

「早く隠してください!!」


姉妹の言葉が聞こえておらず、ずっと少年を抱きしめていた



放課後


「エ~ルト君!!」


上機嫌でニルが再び教室へ


「どうしました?」

「ねえ、この後時間ある?」


この流れは…


断ったとしても、ニルさんは絶対にまた来るだろうな…


「ありますけど…」

「よし!!じゃあ、一緒に来て!」


グイグイとエルトを中庭へ連れていく



「で、どうかされましたか?」

「君は、召喚術を使ったことがないって言ってたよね?」


あれ?

告白じゃない…?


「言いましたけど、それが何か…?」

「もしよかったら、召喚術使ってみない?」

「あの、何が言いたいんですか…?」


目的が何かを知らない限りは先に進めない


「出会いの証にしたいんだ…」


顔を赤らめて続ける


「君はボクにとって恩人なんだ。その証として、召喚術で召喚獣同士のリンクさせたい」


リンク


すなわち、離れた場所でも同じ術が使える者同士の連絡手段として使いたい


これが、ニルならではの()()である


「お話は分かりました。僕も召喚術に興味がありましたから、やってみます」

「ありがとう!!」


もう一度、少年を抱きしめる



ニルが魔法陣を書く


「いい、エルト君?一度召喚した者は逃したら二度と現れないから注意してね」

「召喚獣は皆、大人しいんですか?」

「いや、個体によっては勝負を挑まれることもあるだろうけど、ほとんどは条件をクリアしたら契約できるみたいだから」

「なるほど」


そして、エルトは魔力を注いでいく


魔法陣が光り、そこに召喚獣が現れる


「あら、エルト。また会ったわね」

「君はあの時の黒猫か」

「え?エルト君、この猫と会ったの?」

「はい」


元凶を倒したことは知っていたが、この黒猫に会っていたことは知らない

むしろ、ニルは驚きを隠せなかった


「その猫、召喚獣の中でも最高クラスの一匹だよ!!」

「え…?」

「召喚獣のクラスはEからSSSの8段階クラスに分けられていて、SSSの召喚獣は数年に一度にしか現れないことで有名だよ。それに、この猫只者じゃない…」

「よくご存じね。私は、変幻猫(ミラクル・キャット)。その名の通り、どんなものにでも変化(へんげ)できるの。こんな風にね」


と猫は、エルトの姿に変身した


「どう?びっくりでしょ?」


声もエルト本人と区別がつかないほど似ている


さらに、魔法も行使できる


「すごいな、君がそんなレアな存在だったなんて」

「それで、どうする?私と契約する?」

「その前に確認したいんだけど、契約する際の条件はある?」

「そこのお嬢さんに聞いたのね。もちろんあるわ。ただし、簡単にはいかないけどね」


ニヤリと微笑む猫


超レアな召喚獣と出会えたのだ

これはぜひとも契約したい

どうも、茂美坂 時治です

随時更新します

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