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8時限目 オレイアス、城に行く

話は二日前に遡る


オレイアスは自宅でエルトの帰りを待っていたが

夕方になっても戻ってくる気配がない


「遅いの。どこか寄り道でもしてるのか?」


夕食の準備を済ませ、あとは帰ってくるのをただ待つだけ


だが、翌日になってもその次の日になっても彼は帰ってこない


いつもなら、行ったその日の夕方までには絶対に帰ってくるエルトだが

二日も帰ってこないのは明らかにおかしい


オレイアスは精霊たちに

「すまぬが、エルトを探してきてもらえぬか?」

「はい、マスター」

「任せてください」


精霊たちは転移魔法で王都にいるはずのエルトを捜索


路地裏や市場などエルトがいそうな場所などを中心に探すが

彼の姿は見つからない


市場の手前の曲がり角


精霊たちは不自然な形で止まっている馬車を見つける


その道筋に血痕が走っている


精霊は血痕に触れ

「これ、エルトの血だ…」

「うそ、でしょ…?」

「間違いないよ…、だって…」


精霊の一人が馬車の方向に指をさす


馬車の横には見慣れた籠


「あれって、エルトが担いでた…」


精霊たちはその籠のふたを開け

中身は、みんなで育てた野菜だとすぐに分かった


「やっぱり、エルトはここで事故に遭ったんだ…」

「じゃあ、エルトは…どこ?」


精霊たちは再び捜索


バルムス王国の城の入口付近でもまた血らしきものを見つける


その血にも触れて

「これもエルトの血だよ」


精霊たちはエルトは城にいると確信した


自宅に戻りオレイアスに報告した


「何じゃと!?間違いないな?」

オレイアスは驚いた表情を見せる


「はい!」

「妾はすぐに出かける。お主たちに任せても良いか?」

「バッチリです」

「急いで!」


精霊たちに留守を任せ

オレイアスはすぐに転移魔法で王都に出向き

城の入口まで来た


「すまぬが、ここにエルト=ファイザーがいると聞いたのじゃが…」

「失礼ですが、あなたは?」

門番に怪しまれた

「妾はエルトの保護者じゃ」

「そうでしたか。姫様たちに確認してまいりますのでお待ちください」


数分語


「お待たせしました。ご案内します」


護衛たちに案内され、オレイアスはエルトと二日ぶりの再会を果たした




そして、今


エディールは珍しく、目の前にいる女性の名前で驚いていた


「クレイヴって名前で思い出したぜ。代々賢者の一族として魔王や魔族を滅ぼしたり、天災で苦しむ人たちを助けたりしたって」

ジェミナーもその話に食いついた

「そして、その末裔(まつえい)であるオレイアス様は、50年前に突如発生した魔物大発生(スタンピード)を一人で食い止めた。まさに、伝説の賢者様よ」

「スタンピードか、懐かしいの」


しかし、ほかの三姫は


「あの、オレイアス様って?」

「誰やの?」

「お姉さま、私知らないのですが…」


その質問に対し二人は

「「はぁぁあああー!!?」」

驚嘆の声を出す


「おいおい、学園でも授業に取り上げられるほどの有名人だぜ。知らないとあっちゃ、学園の恥だぜ」

「全くだわ。あなたたち、本当に授業聞いてたの?」

「だって、魔法以外は興味ないし」

「同感やな」

「私も…失礼な話ですが…」


3人は、魔法の事しか頭にないようだ


「こら、賢者様の前で何てこと言うの?」

エディールは怒るが


「よいよい。もう、昔の話じゃ。それに、妾の事を覚えてくれているだけでもありがたい」

「はぁ…」


賢者の言葉で怒りは収まった


「ところで、お主ら。リベリア魔道学園に通っているんじゃったの?」


いきなり本題に入られた

姫たちはギクッとする


「は、はい。それが、何か…?」

「うむ、学園でのエルトの暮らしはどんなじゃった?」


賢者は知らなかった


「えっと…」

「どういえばいいのか…」

「その…」

「…」

「私の口からは…」


5人とも、黙って汗をかき始めた


「何じゃ、気まずい事でもあったのか?エルト、お主はどうなんじゃ?」

「…」


少年も黙ったままだった


「どうしたんじゃ?皆して固まってしもうて」


五人はこのままではいけないと覚悟はできているが、賢者からどんな制裁が下されるか考えるだけでも恐ろしい


伝説では、オレイアスは若かりし頃、自分が大切にしてきたものや動物に害が加わると、その行いをしてきた者に、徹底的にやり返し、心が完全に壊れるまで追い詰めたのだという


エディールとジェミナーは他の三人に比べて汗の量が尋常じゃない


それは誰が見ても、まずいことをした証だと分かる


「まさか、お主ら。エルトに酷いことをしたのではあるまいな?」


ストレートに質問された


もう言い逃れは出来なかった


言い逃れできたとしても、逆にオレイアスから恐ろしい罰が下されるのではないか

五人は生きた心地がしないほど怯えていた


姫たちはすぐに土下座をした


「「「「「申し訳ありませんでした!!!」」」」」


この後、賢者は何を言うのだろうか?

二度とエルトと関わるなとか言われてもおかしくない


しかし


「詳しい話を聞かせてもらえぬか?」

姫たちにとっては、予想外の言葉だった

「…はい」

「エルトもじゃ」

「分かった…」


別室にて

姫たちは学園でエルトにしてきたこと、エルトが馬車を止めた事全てを話した


「なるほどの。お主らは、学園でエルトを罵倒していたのか」

「本当にすみません」

「まあ、今回はエルトに謝罪したこと、反省していることを考慮して大目に見よう」

「ありがとうございます」

「ただし、同じ過ちを繰り返したら、ただでは済まさんぞ」

「それはしません!」

「その言葉忘れるでないぞ」

賢者は念を押すように顔を姫たちに近づける

「絶対に忘れません!」


姫たちの制裁は無しに終わった


だが、これで終わりではなかった

「それよりも、エルト。お主、まだ隠していることがあるのではないか?」

どうも、茂美坂 時治です

随時更新します

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