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70時限目 姫たち、絶望する

「エルト…」

「嘘…だろ…?」


頭の中でこれまでのエルトとの行動を思い出す


あの屈託のない笑顔

体に似合わず、とてつもない力を発揮し戦う

そして何より、自分たちを助けようとしたその心の強さ


彼との楽しい学園生活とその後

これからもそんな日々がずっと続ければと心のどこかで願っていた


だが、それが()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


ベッドから少年の血がポタ…ポタ…と滴り落ちる


姫たちはどうにか堪えているが、ベニーはすぐに失神した


ルルはこれは夢だと、ゆっくりと歩み寄る


「ねえ…エルト…」

彼の手を握る


冷たい…


「嘘…だよね…?これは…、夢…なんだよね…?」

夢なら醒めてほしい…


だが、現実だ


「ねえ、目を…覚ましてくれないかな…?」

軽く彼の体をゆする

反応はない


「いい加減、目を覚まして…」

何度もゆする


「エルト、早く目を覚まして…!!」

その動きは次第に大きくなっていく


「起きてよ!!」

ルルも声を荒げていく


「エルトってば…!!」


危険を感じたのか、ラディールは彼女の行動を止める


「ルル、やめなさい!!」

彼女も…涙声になっていた


「ら、ラディール…様…。え、エルトが…エルトが…」

ルルの顔も涙と鼻水でグシャグシャだ


それでも、ラディールは構わずそっと抱きしめる


その瞬間


「うわああああああああああああああああああああああん!!!!」

ルルの大きな泣き声が


「こんなひどいことをするなんて!!こんな残酷な別れ方なんてしたくない!!絶対に嫌だよおおおぉおおおおお!!」

ラディールはさらに強く抱きしめる


自分だって辛い…

ルルと同じ気持ちだから…


姫たちは、大粒の涙をこぼす


「ひどすぎますわ…、イヤロンの仕業に違いないですわ…」

「ああ、あの野郎…絶対許せねえ…」


そこへ


「どうやら、間に合わなかったようですね」

ひょこっとイヤロンが顔を出す


姫たちはキッとにらみつける


「この人殺し!!」


ルルが彼の胸ぐらをつかむ


「何でエルトを殺すの!?エルトを返してよ!!」

「俺は殺したなんて一言も言ってないぞ?」


()()()()ような口ぶり


ルルはさらにキレる

「あなたがそうやって逃げようとしているからでしょ!?現実から逃げるな!!」


彼の頬を平手打ち


「このアマ!!」

イヤロンも逆上し、ルルの腹を殴る


「ぐはっ!?」

「俺の恋路を邪魔する奴は誰であろうと許さねえ!!」

「恋路…?誰の恋路よ?」

「俺がヘレンさんに恋してるってことだよ!」

「わ、私に…?」


ヘレンに対してため口を叩く


「俺は、ヘレンさんを絶対彼女にしようとあれこれ考えてたんだ。なのに、エルトが俺の恋路を邪魔しやがった。だから、俺が仲間に頼んで、殺してもらったんだよ」


あまりの理由に姫たちはブチギレ


「そんな()()()()()()()()()()()というの?」

「あなたの思い通りには進まないことも世の常ですよ!」

「ラディールの言う通りだぜ!てめえはやり過ぎだ!」


正論を言う姫たちだが

「うるさい!うるさい!姫だろうが何だろうが、俺の進む道に邪魔が入れば容赦なく排除する!!それが俺のやり方だ!」


ルルはぼそっと言う

「…排除?それは、単にあなたの自己満足のためでしょ?」

「お前、殺されたいんだな…。お前も俺に盾をつくってんなら、ここで殺してやる!」


イヤロンが剣を抜き、ルルの顔に近づける


「やめさない!!」


エディールの警告

彼女たちは魔法を発動する構えをとる


だが、うまく魔法が出ない

それもそのはず、彼女たちは感情が乱れて魔力が不安定な状態にある


それを見たイヤロンは大笑いする


「こいつは滑稽だ!無様に死んだ男のために必死になって俺を殺そうとするなんてな!」

さらに笑う


「だ、黙りなさい!」

「それより、姫様。こっちには人質()()もいるんだ」


()()

まさか…


「ご、ごめんなさい…。私、捕まっちゃった…」

彼の仲間たちにロープで縛られたスオンが現れた

彼らもまたウィリムベール騎士学校の生徒たちだ


「さあ、選択だ。俺をこの場から逃がすか、俺を捕まえるのと同時にこの女たちが死んでいく姿を見るか」

「なっ!?」

「なぁに、簡単だろ?俺を逃がしてくれれば、この女たちは生かしておいてやる」

「そっちを選べっていうの?」

「これ以上、死人は増やしたくないだろ?」


スオンはロープを解こうと体をくねらせる


だが、イヤロンの剣が目の前に突き出される

「おい、余計なことはするな」


これ以上の抵抗はできなかった


「10秒くれてやる。それまでによ~く考えることだ」


10秒!?

短すぎる


「10…9…8…」

カウントダウンが始まる


どうする?

彼は行動すべてを把握しているから余計な真似はできない



「なあんちゃって」

イヤロンがカウントダウンを途中でやめる


そして、ドスッと鈍い音がする


ルルが背中を剣で刺された


口から血が吹き出し、その場に倒れる


「な、何で…?何で殺すのよ!!?」

目の前の状況がうまく追いついていない

だが、言葉が先に出た


「やっぱり、あなたたちのその絶望とした顔がもっと見たかった」

完全に狂っている


「さて、見られてしまった以上、あなたたちも生かしておくわけにはいかない」


姫たちは、彼の仲間たちに囲まれる

彼に心酔している者たちばかりだ


「さあ、殺せ!」


まるで人形のような動き

()()()()()()()()()()()()


「やめて!」

姫たちも声で止めようとするが、振り下ろした剣がすでに彼女たちの目の前にあった

どうも、茂美坂 時治です

随時更新します

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