62時限目 ドラゴン、違和感を覚える
夜
エルトが過労により入院したことをスオン、ヘレンに伝えると
「そんな…、エルト君が…」
ヘレンはショックのあまり気を失ってしまう
ジェミナーとフィルラーが付き添うことになった
スオンは
「過労と言っても、命に別状はない感じなのかな?」
「ええ、セドリックもそう言っていたわよ」
少し安心する様子を見せる
「ねえ、明日の放課後、一緒に病院に行ってもいい?」
「もちろん。ただ、目を覚ましているかどうかは分からないけどね…」
翌朝に目を覚ましたヘレンにも見舞に行くかと誘うと
「絶対行きます!」
力強く答えた
☆
ウィリムベール騎士学校で副会長のベニーが
「会長、エルトが入院したって本当ですか!?」
血相を変えてヘレンに問う
「ええ。姫様の受け売りになるけど、命に別状はないそうよ」
「そうですか…」
「エルト君の事が気になるのね…」
「そりゃもう!あいつには大きな借りがあるので、いつか返さないと気が済まないんですよね」
「それは大事なことだけど、今というべきではないと私は思う」
「分かってますよ。いつか必ずですから」
「今日の放課後、病院に行く予定なんだけど、ベニーはどうする?」
「俺も特にこれといった予定はないので、同行します」
「わかった」
☆
放課後
姫たちとベニー、合わせて9人が病院へ向かった
「これはまた、大所帯ですな」
セドリックも驚いていた
「エルトの様子はどう?」
「まだ、意識が戻ってません」
「そう…」
「いつか目を覚ますと、私は信じてます」
「私たちもよ」
そして、エルトのいる病室へ
呼吸をしている様子を見て、少しホッとする一行
「ちょっとごめんね?」
スオンは彼のシャツのボタンをはずしていく
「な、何をしているの!?」
「まさか、え…え…」
突然の行動に驚く姫たち
しかし
スオンは、そんなことは気にせずに彼の胸板に手を当てる
「動かなくなったわ…」
「おそらく、集中していますね…」
「ああ、あたしでもビリビリ感じるほどにな…」
30秒間、何かを確かめていた
「スオン、何か分かったの…?」
「前からずっと気になってたことがあってね…。どうして、エルトは人並外れた力を持っているのかって」
「それは、私たちもずっと疑問に思ってたことよ」
「今更ですね」
「そうだよね…。でも今は、彼の中の隠れた力が目覚めそうと言えばいいのかな…?」
「隠れた力って…、そういえば、賢者様は魔物化したときのルディアとの戦いの際、1割も力を出していないとか言っていたような…」
「お姫様が言っているのは、エルトが持つ本来の力の事だよね?私が言ってるのは、それとは別の力だよ」
「別の力…?」
「確かに、セドリック先生が言っていた通りの過労も原因にある。でも、エルトの中のもう一つの力が目覚める予兆として倒れた可能性があると私は推測するよ…」
「その力というのは…?」
「ごめんなさい…、さっきも言った通り、私は何の力なのかは断言できないよ…」
「そんな…」
気になるのに、何もわからないなんて
それなら、自分たちで確かめるしか
と思っていたが
「だけど!有力な方法はある」
「「「「「「「「それは?」」」」」」」」
「私のお母さんに来てもらうってこと」
スオンの母
つまり、ドラゴンの長に来てもらう
「どういうこと?話がつかめないんだけど…」
「お母さんは500年以上生きてて、これまでに数え切れないほどの修羅場を乗り越えてきたって自慢げに話してたんだ」
「つまり、経験豊富なお母さまに丸投げってことかしら?」
「悪く言えばそうなるかな…。でも、何も知らないよりは絶対にいいと思うよ」
それは、この場にいる誰もが思っていることだ
「というわけで、今からお母さんを誘ってきます!事情を話せば、すぐに駆け付けてくれるはずだから!」
善は急げとでも言うように、スオンはドラゴンの姿になって里へ戻っていった
「すごい行動力ですわね…」
「せやな…。というか、この事両親に報告した方がええんやろか?」
「黙っておくわけにもいかねえだろうし、話はしておくべきだろうな…」
3姫はすぐさま、各国の長に事の顛末を手紙で出した
「私たちも呼びましょうか」
「誰をですか、お姉さま?」
「いるでしょう?もう一人、経験豊富な方が」
「…ああ」
どうも、茂美坂 時治です
随時更新します




