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5時限目 姫たち、戸惑う


姫たちは国王 オリバートと王妃 クリスティン=エル=バルムスと朝食を取っていた


が、ただ食べるだけで会話は一言もない

それに、国王と王妃は姫たちの食べるスピードがいつもよりも早いのに気付く


姫たちは、もしかしたらエルトが起きているかもしれないとソワソワしているからだ


「「「「「ごちそうさまでした」」」」」


ほぼ同じタイミングで食べ終わり

5人はエルトの部屋に向かった


「ふふ、あの子たちのソワソワしている姿初めて見ますね、あなた」

「そうだな、それだけ彼の事が気になるんだな」


王妃にもエルトの事を国王が伝えていた


目を覚ましたら、二人の娘を助けてくれたことのお礼がしたい


二人は同じ思いだった


しかし、娘たちがエルトに対するいじめをしていたのを知るのは少し先




エルトのいる部屋まで来た5人


エディールがノックをするが反応がない


まだ目を覚ましていない…?


ドアをゆっくりと開け

彼のベッドまで近づく


やはりまだ目を覚ましていなかった


が、違和感にはすぐに気づいた


「ハァ…ハァ…ハァ…」


エルトの呼吸が少し荒い

それに、顔も赤い


「ちょっと失礼するで」

フィルラーは彼の額に手を当てる


「熱っ!?ちょ、高熱出しとるやないか!?」


その言葉で姫たちは動揺した


「ど、どうして!?昨日はそんなことなかったのに…」

「と、とにかくあたしは医者を呼んでくる」

「私はお父様とお母様にもこの事を伝えます」


3人は一目散に部屋を出る


残った二人は


「ど、どないしたらええんや?」

「フィルラー、落ち着きましょう。今は、私たちにできることをするんです」

「そうは言ってもやな、ウチ何もできへんで?」

「できるじゃないですか」


アデリーヌはベッドの横のスタンドに置かれていたタオルを持ち


「エルト、失礼します」


桃髪の姫はベッドをめくり上げ

彼の服のボタンを一つずつ外していく


「ちょ、何してんねや!?」


栗髪の姫は動揺を隠せなかった


「何をボケっと立っているんですか!?体の汗を拭くのを手伝ってくださいまし!」

「あ、ああ。そういう事かいな…。てっきり、いかがわしい事でもするんかと思うたわ」

「あのですね、こんな時にそんなツッコミ入れてくださいみたいな発言をするんでしたら、部屋を出てくださいます?」


アデリーヌの目は本気だった


「すまん、ウチが悪かった…」


最初は戸惑ったが、アデリーヌの本気の目を見てフィルラーも同じようにエルトの体を拭く


数分後

医者と国王が部屋に入る


医者は適切な薬を投与


そして

「これで何とか食い止められるはずですが、彼の体からは汗が多く出ていますね。私自身も経験したことなんですが、汗を大量にかいたことで痙攣をおこしたりするといった脱水症状が出ました。水をこまめに飲むことで脱水症状を抑えることも分かりました。ですので、エルト君にもコップで水を飲ませてあげてください」


アデリーヌたちはタオルで汗を拭いていて、こんなにも汗をかくものなのと疑問に思っていたが医者の言葉で納得した


医者は数日分の薬を置いて部屋を出た


ラディールはすぐに水の用意をする

コップに水を入れエルトに飲ませる



「ゴホッ…ゴホッ…」


咳で入らない


もう一度、今度はゆっくりと入れるが


「ゴホッ…ゴホッ…」


同じだった


「こ、このままだと死んじゃうんじゃ…」


ラディールは泣きそうになっていた


「大丈夫、私に考えがある」


姉のエディールが妹のコップを取ってそのまま水を口に入れる


エルトの口に近づき


そして

「ん…ん…」


唇が重なった状態で含んでいた水を彼の口へを移す


全ての水を移し終え、彼女の顔は赤く染まる


姫たちは、呆然としていた


「ど、どうしたの?」


水色の髪の姫は何事かと不思議でたまらなかった


「お、お前…勇気あるな」

「お姉さま…すごい」

「ウチでもあんなのすぐには出来へんな…」

「さすがランキングトップだけの事はあるな…」

「それは関係ないんじゃ…」


称賛しているのかどうなのかが分からない


ただ

「こうでもしないと、水を飲ませることは出来ないと思って」

と自分の考えをそのまま伝える


コップ以外のもので代用できるものはあるのか


彼女たちは考えたが口移ししか出てこなかった


「あの、一つ提案してもよろしくて?」


アデリーヌが手を挙げる


「皆さん、この後のこのまま5人ずっとでこの部屋にいるんでしょうか?」

「それ、提案じゃないよな」

「す、すみません。私が申したいのは、交代制でエルトの看病をするのはどうかという事ですわ」

「交代制で…?」

「どういうことや?」


姫たちはアデリーヌの提案に少しついていけていない


「つまりですね、5人でこの部屋にいると、次に誰が彼の水を飲ませるかなどでもめ事になるんじゃないかと不安でして…、えっと…その…」

「要するに、一定時間の交代で不平等なく看病できると言いたいのか?」

「そう、それですわ。ジェミナ―、よくわかりましたわね」

「なんとなくだ」

「そう言う事でどうでしょうか?」


アデリーヌの提案に

「いい…いいわ…。いいわね、それ」

「私も賛成です」

「ウチも反対せんで」

「あたしも乗った」


反対の言葉がなく、アデリーヌの提案は可決


そして、1時間ごとに交代する

夜中は身体強化魔法で眠くならないようにする

なども決めてエルトの看病が始まった

どうも、茂美坂 時治です

随時更新します

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