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24時限目 少年、城に泊まる

夕刻

エルトは、何故かエディールの部屋に招かれていた


「えっと…、僕、なんでエディール様の部屋にいるんでしょうか…?」


エルトにとっては、幼いころにアレティアの部屋でお泊りしたこともあり、女子の部屋に入るのは約10年ぶりだ


ちなみに、スオンは城の外で待機していた


「うう…、私もエルトの所に行きたい…。でも、秘策があるから大丈夫」



「なんでって、エルトとお話がしたいに決まってるでしょ?」

「お話って…、何を話すんです?」

「エルト、言ったじゃないですか!明日、命日だから村に立ち寄るって」

「そうよ!なんでそれを早く言ってくれないのよ!?ああ、今日の行動は無駄に終わったのね!」


エルトは

「いや、お二人には関係のないことですし…」

というと、二人は怒り


「あなたね!関係ないってことはないでしょ!?」

「そうですよ!デソル村の調査はもともとお父様が言い出したことなんですから、関係ないって言葉は使わないでください!」

「すみません…」


「でも、デソル村ってほとんど資料が残ってないというのが不思議なのよね」

「私もエルトにはそのことは伝えました。で、その村のシンボルが大きな栗の木だと言っていますが、その木の周辺には魔物が棲んでいるらしいと」


エディールはエルトをにらんだ


「な、何でしょう…?」


「エルト?何故、私ではなく、ラディールに報告するのかしら?」

「いやいや、別行動されていたんでしょ?仕方のないことじゃないですか!」

「だとしても、私に言わないのは反則よ!今日はここで泊まりなさい!」

「なんでそうなるんですか!?」

「私に報告しなかった罰よ!!」


理不尽にもほどがある


エルトはこのままじゃまずいと部屋を出ようとしたとき

ドアが勢いよく開き、エルトの顔面を直撃


「フギャッ!?」


エルトは鼻血を出しながら気を失った


入ってきたのはオリバートだ


「エルト!?」

「お父様!?部屋に入る前にノックをしてくださいと何度も言ってるじゃないですか!!」

「す、すまん…。エルトに聞きたいことがあったのだが、それどころではないな…」

「…あなた?」


後ろからクリスティンの低い声が


「マナーをきちんと守るのが王族としての最低限の事だとあなたから教わったことなのに、そのあなたが守っていないのはどういうことでございましょう?」

「い、いや、…急いでたから」

「言い訳は結構です。さ、行きましょ」

とオリバートの耳を引っ張りながら、その場を去った

「イテテテテ!!耳引っ張るなよ!!」

「問答無用です!!エディール、ラディール。エルト君の事はよろしくね」


ポカンとする二人


「お母さまってあんな方でしたっけ?」

「さあ、どうかしら?お母さまの怒った顔はあまり見ないから、何とも言えないわね…」


ラディールはエルトの鼻血を魔法で止血

エディールはベッドに運んで、そのまま寝かせた




それからしばらく時間が経った


「すみません、何だか時間を無駄にしてしまって…」

事情を聞いたエルトは、二人に謝った


「いいんですよ、あなたの寝顔が見れた貴重な経験をさせていただきましたから」

「フフッ…」


二人の顔は何だかにやけていた


変なことされたのかな?


「もう日も暮れましたし、エルトも泊まりますか?」

「…は?僕が?」

「なんで疑問形ですか?」

「いやいや、まだ暮れて間もないので大丈夫です」


エルトは帰る準備をするが


「本当に…帰るの…?」

「私たちといるのが嫌なんですか?」


二人の瞳は潤んでいた



エルトも戸惑っていた


城に泊まるなんて、滅多にできないことなのに、なんで自分は断ってるんだろう?


いや、帰るとしても、スオンになんでと聞かれてさらに面倒だ


「わかりました…、お言葉に甘えて…」


二人はガバッとエルトに近寄り

「本当に!?ありがとう!」

「よかった~」

「…あの、なんで涙を流してるんです?」


二人もようやく気付いた


エルトはここにいてくれるという安心が涙を流すことにつながった


「それじゃ、マスターに連絡しないと」


エルトは胸ポケットから棒状の道具を取り出した


「何です、それは?」

二人は興味深そうに覗く


「くぼみに魔石をはめ込んで、対象の人と話せる魔道具です。前の事件で連絡が取れなかったことを教訓にとマスターが作ってくれたんです」

「すごいわね、賢者様は」

「オレイアス様もなんだかんだ言って、エルトに甘えているんじゃないですか?」

「それは、まあ、薄々気づいてはいましたけど…」

と苦笑い


エルトは逆の胸ポケットから魔石を取り、くぼみにはめ込む


すると、魔石が淡い光を放ち


『おお、その反応は、エルトじゃな?』

「お、つながった」

「すごい!」

「こんなの初めてです」


初めての行動に3人は興奮していた


『ん?その声は、エディールとラディールじゃな。ということはお主、今は城におるのか?』

「うん、ちょっとトラブルに巻き込まれて…」

『はは、お主は何かとトラブルに遭う確率が高いの』


話は変わり

「ねえ、マスター。スオンってドラゴン覚えてる?」

『もちろんじゃ。スオンがどうかしたか?』

「今日、王都で久しぶりに会ったんだ!」

『何と!元気にしておるか?』

「そりゃもう!今は城の外で寝てるかな?僕の相棒になったんだ」

『そうか、頼もしいの!じゃが、お主明日の事分かっておるのか?』

「うん、分かってる…」

『ならよい。今日は城で泊まるんじゃな?』

「そういうことになったよ…、ごめんね」

『謝ることはない。いつでも帰ってきてよいのじゃ。エディール、ラディール。エルトの事頼んだぞ』

「はい!」

「お任せください!」

二人ははきはきしていた

『二人の声も聞けて何よりじゃ。では、またな』


魔石の光は消え、エルトは道具をポケットにしまった


「エルト、明日はどうやって村へ行くの?」


そう、オリバートとエディールがデソル村へ調査に向かった際、途中で川を渡るための橋が壊れていたため引き返したのを思い出す


「スオンに乗って行こうと思ってます」

「そう、いい相棒ね」

「エディール様は調査に行かれるんですか?」

「いえ、私は明日学園に顔を出さないと…。さすがに休みすぎたと、学園側としても困るでしょうし」

「私も学園に行く予定ですので、エルトだけでも村に行ってきてください」

「わかりました。他のお三方にもよろしくお伝えください」

「了解よ」


その後、3人は国王たちと食事を共にした


その際に、オリバートはエルトに謝った


オリバートが聞きたいことはエディールが言っていたことと同じだったので同じ答えを返した


そして、エルトは広い空き部屋に案内される


「うわ…、マスターの家とは比べ物にならないほど広いな…」


あまりの広さに圧倒されていた


「でも、今日はいい出会いがあったな…。明日もちゃんと起きれるように寝なきゃ」


エルトはふかふかのベッドに横たわり


「父さん、母さん、明日村へ行きます」

と一言添えて、眠りについた

どうも、茂美坂 時治です

随時更新します

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