恋
せめていつかこの想いを告げられたらと胸に秘めてから十数年が経とうとしていた。
そして中学も卒業し、彼は少し離れた共学の私立高に、
私は親のススメから女子校に進学した。
私は中学の頃から身長が高く、眼もやや吊り目で「可愛げがない」とよく男子から言われていた。
彼が可愛げのない女は嫌いかもと悩んだ時期もあったのだが、そこは割愛しよう。
なんにせよ、私は高校に入ってそれは女子にウケるものだと知ったのだった。
そして、女子校のそれは【ウケる】に留まらず、私が彼に抱く気持ちと同じものを見に受けることが多くなってきていた。
同性からの熱の籠もった眼差しに、最初こそ戸惑いはしたが、近頃では気に留めなくなってきた。
むしろ彼女らの真剣で熱っぽく初々しい反応は、私には好感がもてるものだった。
女の子は可愛い。
縮こまり竦む小さな肩。俯きがちにもわかる真っ赤な耳に、緊張で震え、握りしめた小さくて柔らかそうな手は庇護欲をそそる。
大体の場合私のほうが身長が高いので、小柄な彼女らは更に小動物を思わせた。
こんな女の子ならば私も彼に思いを告げる勇気も出せたのかもしれない。
いや、どんなナリであっても、こうして想い人に気持ちを伝える事がどれだけ勇敢な行為であるかは震えている彼女たちを見ればわかった。
それでも彼女らはこの小さな身体に勇気を詰めて戦いに挑むのだ。