初戦闘?
(…あっ、お邪魔してますぅー)
穴の中に入ってきたのはうさぎだった。
相手もこちらに気づいた様だがまったく動かなくなってしまった。
動揺してるのかな?
とりあえず鑑定
[ウサギ]
ですよねー。
どうしたらいいんだろ?
見た目的にたぶん勝てそう?でもこの子を殺したところで経験値的なものは手に入るのか?いやその前に私に殺せるのかな?今まで普通に過ごしてきたただの女子高生にウサギ殺せんの?見るからに魔物って感じのやつなら殺せるかもしれないけどなんか可愛いしウサギ…無理かもしれない。
そんなことを考えているとウサギはかなりのスピードで逃げてしまった。脱兎のごとく…ウサギだけに。
もしかしたら住処を奪ってしまったのかなぁ?とまた弱肉強食の世界っぽいから仕方ないと思いながらその日は寝てしまった。身体中痛かったけど眠れて良かった。
眠りから覚めて私は諦めた。
やはり夢ではなさそうである。
諦めると同時に覚悟も少しできた。
この世界で頑張って生きていくと。
そうなるとやはりレベル上げである。
幸い眠る前に受けていたダメージはかなり回復しているっぽい。前の世界では考えられないスピードだ。
未だにレベル制なのか分からないがやってみる価値はある。しかしゴブリンにも瞬殺されかけた私になにが倒せるのだろうか?あいつだ。スライムである。ゴブリンがいる世界ならスライムもいるはずだ。スライムなら頑張れば倒せるかもしれない。
穴から出て早速スライムを探す。
ゴブリンやほかの魔物にバレないようにこっそりと周囲を警戒しながら探すこと1時間ようやくスライムらしきものを見つけた。茂みに隠れながらしっかりと観察する。半透明の水色でのろのろと動いている。
鑑定!
[スライム]
やはりか。名前しかわからないけどきっと熟練度が上がればいろいろわかるはずだし毎回使っていこう。
見つけたはいいが倒し方までは考えていなかった。たぶんかしこさなるステータスがあったらきっとFとかなんだろう。うるせーやい。
まあノロノロと動いているしこちらには気づいて無さそうなので考える時間は十分にある。
やはり牙か爪なのだろうか?でも口になにか分からないものが入るのはやはり気持ち悪い。私だって女の子だいやいまはメス?
そうなると牙の選択肢は消えて爪なのだがかなり頼りないこの爪でスライムを殺せるのかな?まあ取り敢えずやってみよう。
そう思い茂みが出ようとすると別の茂みからゴブリンが出てきた。初日から私にトラウマを植え付けたゴブリンである。
あぁ私の経験値がぁ
取り敢えず鑑定
[ゴブリン]
結果から言えばあのゴブリンに感謝です。
スライムはゴブリンより強かった。
ゴブリンの顔に飛びついたと思ったらもうゴブリンはお終い。
窒息するのを待つだけでした。しかもあの体は酸性らしいです。ドロドロです。
スライムこえー。頑張れば倒せるとか考えてすいません。まじこえー。
スライムも倒せない私にどーやってレベルアップしろと!?超ハードモードじゃん!
次に考えた作戦は漁夫の利である。
つまり弱っている奴を探して倒す!
卑怯?そんなこと言ってられないんです!
さらに獲物を探すこと1時間。
目の前にまたスライムを発見する。
そーっと観察を続けること30分ゴブリンがきた。
スライムは顔に飛びつくが今度のゴブリンは一味ちがう。さっとスライムを避けて持っていた棍棒でブン殴る。それを数度繰り返したあとついにゴブリンは捕まってしまった。顔に張り付いたスライムを自分の顔ごと棍棒で殴っている。ついにスライムがやられたのかゴブリンの顔から剥がれて落ちてしまった。
自分の顔ごと殴っていたゴブリンは酸で皮膚が爛れボロボロの死にかけである。
チャンスだ!たぶん一発もらうと死んでしまうかもしれないけど狸寝入りもあるしどうにかなるでしょ!
飛び出て首に爪で一撃。
私にだってできるはずだ!
茂みから飛び出し、驚くゴブリンの首に爪で一撃!
着地と同時にゴブリンの喉元から鮮血が飛び出す。空気の抜けるような声で鳴いたあとゴブリンは後ろ向きに倒れていった。
[レベルが上がりました。各種ステータスがアップします。熟練度にボーナスが入ります。熟練度が一定に達しました。鑑定レベル2を習得しました。]
や、やった。初獲物!初レベルアップ!そして鑑定のレベルが上がった。
では早速…鑑定!
[スモールラクーン]
HP10/10 MP10/10
おおー!
HPとMPが見えるようになった!
MPかぁ。魔法とか使えんのかな?
よーし、このままもっと狩るぞー
日が傾くまで獲物を探したがその日は漁夫の利を狙える獲物は見つからなかった。
最初の一匹は相当運が良かったんだろう。
そして鑑定をして私はショックを受けた。
[スライム]
HP50/50 MP20/20
[ゴブリン]
HP80/80 MP15/15
私はどんだけ弱いねん!
知ってたけど!
そして日が沈む前な住処の穴に帰る。
穴の中にはウサギがいた。
(あっ…お邪魔しまーす。)
[ウサギ]
HP4/4 MP0/0
今日のウサギは逃げなかった。いや、逃げられなかった。私が入り口にいるからだ。
あと少し安心した。私は最弱ではなかった。
うーんどうしよう。倒しとく?今日は森にあったきのみしか食べてない。正直肉が食いたい。たぬきは雑食だから食べれると思うし。
でもこの可愛いウサギを殺すのは少しなぁー。
昨日は無理かもしれないと考えていたがそんなこと言ってられない状況なのと食欲、一匹とはいえゴブリンを殺したことによってもはや殺すことに抵抗は無くなっていた。
一歩近づく。
ビクッ!
(めっちゃ怯えてんじゃん。まあ今回は見逃してやろう。可愛いし…でもちょっとだけ触りたい)
ウサギまであと一歩のところでウサギは私を回り込んで脱兎のごとく逃げてしまった…ウサギだけに…