神隠しの砂漠で! 撃ちたがり中二病患者!
「どうかしましたか?」
「どうかしましたかじゃないよ!? 燃やされたらさすがに死ぬよね俺!?」
「くっ! 早くしてくれムサシ! 我が右手に燃ゆる炎が、凶刃となる前に!」
「お前もお前でなにその台詞!? あ、わかった、魔法使うと中二病が発症するのか!」
どうでもいい発見をしてしまったと、悔やみつつも、エルアの右手を見た。
そこには、どんどん大きくなる炎。
いやいや、流石にあんなの喰らったら死ぬよ!
「ムサシ。ここでおさらいです、ムサシは、集中力の続く限り、いくらでも防御魔法を重ねがけ出来るのですよね?」
「お、おう」
「今現在、エルアも、右手に持った炎と、私たちの周りで燃える炎の二つを使っています。つまり、ムサシの魔法の特性は、魔導石式ではなく、術者式に近いということです」
「なるほど」
「早くしてくれ! もう、撃っていいのか!? 私は、この炎を撃っていいのか!?」
どんだけ撃ちたいんだよ……。
「もう少し我慢してください。ムサシ、えい!」
エバが俺に手をかざすと、黄色の光が全身に纏わりついた。
というか、『えい!』ってなんだ。
いままでそんなこと、言ってなかっただろう。
「防御魔法か?」
「そうです。つぎに、自分で防御魔法をかけてください」
「了解」
「ふぅぅー。ぶふぅぅぅー。まだか、まだなのか? 私の中の暗闇が、今にも光を飲み込みそうだ……。これが……ラグナロク……」
「お前の魔法ってなんなの!? 禁術かなんか!?」
エルアの様子が心配だが、とりあえずエバの言う通り、自分に防御魔法をかけた。
黄色の光が重なり、金に近い輝きを放っている。
「もう、いいですよ。今、ムサシが自分にかけた魔法は、私のものと全く同じですね?」
「ああ、そりゃそうだろ。だって、エバの魔法を覚えて使ってるんだから」
「本来このようなことはありえないのです。魔法とは、術者のイメージから作られる現象。いくら他人の使った魔法を再現しようとしても、どこかしらで、自分の特徴が出てしまうものです。例えば、物理攻撃に特化してしまったり、火や水に対して体勢が上がったりなどですね。しかし、私の分析によると、ムサシの魔法は完全に私の魔法と一致しています」
「どういうことだ?」
「撃ちたい撃ちたい撃ちたい撃ちたいいいい!」
「うるっせーな! もう少し待ってろよ!」
ふとエルアを見ると、オレンジ色だった炎は黒く変色していた。彼女自身、充血した虚ろな瞳をぶるぶると震わせ、理性が飛びかけているようにも見える。
あまりの禍々しさに、一歩引いてしまったが、とりあえず見なかったことにした。
「この特徴は、魔導石と同じものです。魔導石は、術者の魔法をそっくりそのままコピーできるものですから、ムサシは、自信が魔法を受けることで、その魔法そのものを記憶しているということです」
「ん、んん? つまり、俺は、術者式と魔導石式の二つの特徴を持っているってことか?」
「そういうことになりますね。それに、習得方法も魔導石によく似ています。エルア、ムサシに撃ってください」
「え、ちょっと待って心の準備が!」
「我、灰燼ニ帰ス。灰トナリ、悔イ改メルガ良イ」
「何を悔いるの!? 何を改めるのおおおおお!? うおおおおおおおおお!」
全身を真っ黒な炎に包まれたエルアから、炎が放たれた。
粘つくような漆黒の炎は、俺の体に張り付き、ごうごうと燃え続ける。
こ、こわ! 熱くないけど、めちゃくちゃ怖いんだけどこれ!
「ふぅ、スッキリしたぞ」
「ちょ、早く消して! 早く早く!」
「慌てるな、とりゃ!」
エルアが手を振ると、黒い炎は、すっと消えた。
先ほどまで炎が張り付いていた個所からは、ぶすぶすと、黒い煙が上がっていいる。
……なんだこの炎は。生身だったら相当苦しい死に方をしそうなんだが……。
ううむ……。
冷静に過去の投稿を見るとたくさん修正したい箇所が……。
いつなおそうかな……。




