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神隠しの砂漠で! 信仰と矜持!

「そうとも言える……かもな。なんせ相手は創造主なんだから」

「それだけではない! 地を統べる四匹の竜。それは、我らが信仰している、黒の蛇の使いだ。それに、そもそも黒の蛇そのものを倒そうなど、おこがましいにも程がある!」


 エルアは、眉間に皺を寄せて俺たちを睨みつけた。その視線には、少なからず怒気が含まれている。

 それに、我らが信仰しているって、どういうことだ? 


「竜人族は、黒蛇信仰が根強いですからね。エルアが怒るのも、仕方がないのかもしれません」

「黒蛇信仰?」

「そのとおり、人間の祖は白蛇。そして、竜の祖は黒蛇。竜の血を持つ竜人族は、黒蛇を信仰しているのじゃよ。まぁ、ワシから言わせればどちらも、作るだけ作って放置しているだけの無責任な存在でしかないがのぉ」


 メーロンは神様の話になると妙に不機嫌になるな。でも、言いたいことはわかった。

 つまり、エルアは、自分の信じている神様を侮辱されたと思ってるってことか? 


「私は、竜人族の一員。それも、族長の娘という立場だ。本来なら、自ら一族の信じる神に刃を向けるなど……できん」

「ううーん……」


 ってことは、エルアはグランディエナ退治では頼りにできないってことなのか?

 エルアの戦闘力はいやって程わかってる。だからこそ、残念でならない。


「だが……」

「え?」


 エルアが、瞳を閉じながら小さく呟いた。


「私は、ムサシとの決闘に負けた。それに、地下から脱出できたのはムサシのおかげだ。竜人族の掟は血よりも濃い。そして、受けた恩は必ず返す、というのが私の流儀だ。だから、私はお前たちと共に戦おうと思う」

「おおおお! いいのかエルア!?」

「ああ。そもそも私は、それほど熱心な信徒ではないのだ。人間と竜人。その二つの種族が仲良くできるのなら、私は神にも逆らおう」

「ふぉっふぉ。その歳にしてずいぶんと大きな夢を持っておるのぉ。さすがはフィリアの娘じゃな」

「母を知っているのか?」


 エルアは、目を丸くしてメーロンを見つめていた。どうやら、フィリアというのは、エルアの母親のことらしい。


「おお、知っておるとも。美しい人じゃった。その美貌もさることながら、内に秘めた心は、まるでザクロ石のように情熱的に輝いておった。彼女もまた、人間と竜人の垣根を越えようとしておったよ」

「そうだったのか……母上も……」


 なにはともあれ、エルアも一緒に戦ってくれるらしいので、ほっとした。

 攻撃に特化した仲間が増えたことは、戦闘においてすごく助かるし、単純にいてくれるだけでも、すごく嬉しい。


「ところで、エルアは、どうして一人で旅をしているのですか? 竜人族の姫君が護衛もつけずに旅をするなど、ただ事ではないような気がするのですが」

「己を鍛えるためだ。先ほども言ったが、私は人間と竜人が互いに手を取り合うことを願っている。そのためには、我が父、ヤレドと決闘をして勝たなければならないのだ」

「そうだったのか……でも、人間はもう……」

「滅びかけているのだろう? それは知っている。それでも、私は父上を越えなければならない。それが、子として産まれた宿命なので、父上もそれを願っている」


  自分の父親を越えること。

 エルアの目標を聞いたとき、俺の胸に針が刺さったような鋭い痛みが走った。


「ムサシ? 顔色が悪いぞ?」

「あ、ああ……やっぱり少し暑いかもしれない」

「む……そうか、では……」


 そういって、エルアが炎に向かって手を振り払うと、振り払った先の炎がぱっと消えて無くなった。


「……おい、消せるならもっと早く消せよ!」

「せっかくつけたのだ、もったいなかろう!」

「もったいないじゃねーよ!? だいたいどういう理屈なんだよ魔法って!?」

「そういえば、ムサシには魔法の詳細を伝えていませんでしたね」

「うむ、どうせムサシには関係のない話と思って詳しくは伝えとらんかったのぅ」

「どうせって……」


 なんだそのテキトーな感じ……。

 そういえば、俺はそもそも魔力自体ないんだったっけ?

 でも、魔法みたいなことはできるんだよな。自分のことなのに、俺は俺の力をなにも知らないな。


ううーん、他の人の作品を読んでいるとどうにも自分の作品を直したくなってきてしまいますね。

人それぞれ、書き方は違うので真似をすれば言いというわけではないとわかっているのですが…。

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