神隠しの砂漠で! 新しい仲間と、新たな見解!
「エルアは、何歳なのですか? ちなみに私は、生後三ヶ月と18日です」
「せ、生後三ヶ月!?」
ああ、エバはそうだろうな。そんな感じはしないけど……。
そもそも機械だから、生物の基準から大きく外れていてもおかしくない。
「私は、今年で18歳だ」
「ああ、ほら、やっぱり俺より……、俺と同い年!?」
「だから、同い年くらいだろうと言ったではないか」
「え、でもよ! 竜人族って長生きなんだろ!?」
たしか、前にエバから聞いた話では、人間よりも遥かに長生きだって言っていた。500年くらい生きるとも。
「長寿ではあるが、私が生まれたのはつい最近だ。そもそも、秘宝が盗まれた後なのだから、それほど昔の話ではない」
「たしかにぉ、ワシが秘宝をプレゼントされたのは、確か二十年ほど前のことじゃし、その後にエルアが産まれたのなら、なんらおかしな話ではない」
そ、そうなのか……。いやでも、同い年だとしても、エルアは少し子供っぽいな。
なんというか、自分を制御できていない感じがする。
「私の年齢など、それほど重要なことではないだろう? それより、お前たちはなんのために旅をしているのだ? たしか、ムサシは自分の世界に帰るためだと言っていたが……」
そういえば、エルアにはまだ詳しい事情を説明していなかったな。
俺はゆっくりと、なるべく丁寧に事情を説明した。
メーロンの王国が、凶暴な竜に襲われたこと。俺が、救世主として召喚されたこと。城の地下に眠っていた、エバを目覚めさせたこと。そして、各地の竜を倒し、黒の蛇を倒すことを伝えた。
うまく伝えきれたのかはわからない。ただ、エルアは、難しい顔をしながらも、真剣に話を聞いてくれた。
「なるほど、ここ数十年で、人間が一所に集まっていたのは、あなたのがいたからだったのか」
エルアは、メーロンを見ながら、静かに言った。
一所?
「いかにも。ワシが、道ら……げふん! 修行のために各地を旅しとったらのぉ、いつの間にか、ワシの故郷にみんな集まってきておったんじゃよ。盗賊も、村を作っておった者達も、みんなな」
すげぇな、これだけ聞くと、まるでメーロンにすごいカリスマがあるように聞こえるけど、たぶん違う。
きっと、なにかしらやらかして、メーロンを追いかけた結果、みんなエデンの国に集まったのだと思う。
確証はないけど、たぶん間違いない。今、道楽の旅とか言いかけてたし。
「なるほど、つまりあなたが、人の王なのだな。確かに、その髭といい、威厳がある」
「ふぉっふぉ、やっぱりわかっちゃう? 滲みでちゃんだよねーカリスマってやつはのぉ」
「言ってろジジイ、あんたから出てんのはカリスマじゃなくて加齢臭だけだ。どうせあれだろ? そこかしこでやらかして、追いかけ回されたあげく、みんな国までついてきちゃったとか、そんなオチなんだろ?」
「バカモン! ……それは7割くらいじゃ。あと、加齢臭ってでとる? ねえ、ワシからでとる?」
割合たけぇじゃねーか!
あと加齢臭気にしすぎだろーが! ジジイが色気づいてんじゃねーよ!
「なかなかの割合なのだな……。国に戻ったとき、暴動が起きなかったのか?」
「それはのぉ、ワシの相棒だった者が、うまいことみんなを丸め込んで事なきを得たんじゃ。あのままじゃったら、一対千人くらいの大規模戦争が勃発するところじゃったわい」
「相棒入れたら二対千じゃないのか?」
「あやつはのぉ、ワシの付き人じゃったし、それに妻にもなったが、気まぐれじゃったからのぉ。その時だったらきっと、自分が危なくなったらワシを裏切ったじゃろうな。まぁ、最後には皆と共に死んでしまったがの」
とんでもない人だな……。でも、その人も、ディエナディーテにやられちゃったんだよな……。
なんだかんだで、最後はメーロンを守ったんだな、その人。
「すまない、無神経な話だったな」
エルアがぺこりと頭を下げた。
「いや、かまわんよ。あやつも、死ぬときは笑って逝った。そして、ワシに、笑わねば魂が枯れると言い残したんじゃ。だから、ワシは平気なんじゃよ」
あの時の言葉は、その人から聞いたのか……。
確かに、メーロンにしてはいい言葉だと思った……。
「ありがとう。それと、もう一つ言いたいことがあるのだが」
「なんだ?」
「お前たち……神に喧嘩を売るつもりなのか?」
昨日の話を見返してみると、読者側には不親切な書き方だったかも…。
もっと簡潔に伝える文章力がほしいですー。




