黄金の森で! 黄金の森!
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それでは、本編をお楽しみください!
「本気だ。いこう、エバ。チャンスは今しかない」
「……承知しました。ですが、これだけは約束してください。決して、無謀なことはしないと」
「……わかった」
「よし、話はまとまったのぅ。ええか、作戦はこうじゃ。まず、奴は体を休めるためにどこか落ち着ける場所で眠るはずじゃ。奴が完全に寝入ったところをワシの雷撃魔法で先制する。奴はしばらく感電して動けんはずじゃから、その隙にエバは目を、ムサシは腹を狙って攻撃するんじゃ。ワシの魔力がたまり次第、もう一度奴に雷撃魔法を食らわせる。放つときに合図をするから、ムサシはそれを聞いて距離をとってくれ」
俺とエバは、こくりと頷いた。
なるほど、狩りの時はこうやって攻めるのか。いきなり攻めるのではなく、慎重に相手の隙をついて、確実に自分に有利になるように戦うんだな。
けど、明らかに弱点の首じゃなくて、腹を攻撃する理由はなんだろう?
「なぁ、首じゃなくて腹なのはどうしてなんだ? 首なら、確実だろ?」
「奴の最大の武器は前足じゃ。それに噛みつきもある。首は、その両方を受けやすいじゃろ」
「ああ、そっか」
相手の特性に合わせた戦略も必要、ってことか。
緊張した状況で、あっさりと作戦を練られるってことは、やっぱりメーロンは経験が豊富なだけはある。
ただ、もーすこし無鉄砲なところを治してほしいんだけどな。
「ゆくぞ」
メーロンは、中腰のまま、林の中に入っていった。
俺とエバも、無言でその背中についていく。
木々を押しやり、林の中に足を踏み入れた瞬間、俺の目は釘付けになった。まるで、またしてもほかの世界にトリップしてしまったかのような錯覚に陥ってしまったからだ。
「これは……。ここは、別の世界か? それとも、天国なのか?」
ぼそりとつぶやいた俺の眼前には、鮮やかな緑と黄金が広がり、さんさんと照らす太陽の光を、目が眩むほど反射していたのだ。
先ほどまで視界を遮っていたような、雑草や木はほとんど生えておらず、まるでこの場所が、黄金の果実を育てるためだけにあるような、そんな印象を受けた。
「これが、黄金の果実……」
すぐ脇に立つ黄金の果実の木を見ると、そこには、リンゴのような丸い実がなっていた。実は、半透明で反対側の景色がうっすらとみることができるほど透き通っていた。まるで、琥珀かハチミツを固めた物のような、神秘的な美しさをもっていた。
まだ朝露が残っているのか、実の表面には、数滴の雫がついていて、それが地面に落ちるたびに、あたりに濃厚な甘い香りを放っている。その香りが呼吸をするたびに鼻に入ってきて、俺の胃袋を刺激した。
別に、今は空腹というわけじゃない。けれど、それはあまりにもおいしそうだったのだ。
木の天辺は、俺よりもはるかに背が高いが、身のなっているのは俺よりも少し高いところにあるくらいだ。
まるで何かに操られるように、俺は黄金の果実へと手を伸ばした。




