黄金の森で! 好機か罠か!
まさかの……投稿ミス……
皆さん申し訳ありませんでした……
「普段はそんなことが起きることはありませんが、強力な力をもった魔導石同士が近づくと、稀に石から液体が出てくることがあるのです。魔力同士の共鳴反応と呼ばれるもので、中には、火がついたり、互いに引き寄せあうこともあるそうですよ。私の場合は、共鳴反応で水が出てくる、ということなのでしょうね」
「ほーん。てことは、この近くにそんな大きな魔導石があるってことだよな? 全然見当たらないけど」
あたりを見回すが、周りにあるのは、熱帯雨林よろしくの木々が立ち並んでいるばかりだ。仮に、魔導石が、この中にあったとしても、見つからないだろう。
「そうですね。それに、私のようにあちらの魔導石も何らかの反応をしているはずなんですが……。互いの魔導石になれてしまえば、この反応も無くなってしまいますし、はやく見つけてしまいたいです」
「そういってもなぁ、回りには木と草しかないぞ?」
「しー! お主ら、少し静かにせい」
メーロンが、何かに気がついたのか、口に人指し指をあてて、前にでた。
「おい、じーさん。あんたは前に出るな。……次は死ぬぞ?」
「死なんわ! とと、声をおさえんかバカモン! あれをみてみぃ」
メーロンは、小さな声で、前方を指さした。俺とエバも、その方向に視線を動かすと、木々の隙間から何かが見えた。その瞬間、俺の体が緊張で固まる。
一瞬見えたそれは、黄色い巨体に、短い毛を風にそよがせながら通り過ぎ、耳を澄ますと枝を踏むかすかな足音が聞こえた。
あれは、メガスラルガ?
「私としたことが、黄金の果実の魔力に消されて、メガスラルガの気配を察知できなかったようです……。申し訳ありません」
「悔やむのならあとにせい。今は、静かに奴を追うんじゃ」
「追わずににげよーぜ。いったいなんで、あんなの追いかけなきゃなんねーんだよ?」
「歩き方が不自然じゃった。もしかしたら、落下のダメージですでに虫の息かもしれん」
「……なるほど。追いかけて止めを刺そうってんだな?」
メーロンはこくりと頷いた。
実際メーロンは以前に、メガスラルガに匹敵する巨体のメガスヴルガを倒している。
さっきは、突然の出来事で俺たちも力を対応しきれなかったし、今回は逆に俺たちが不意打ちを食らわせられるんだ。
あいつを野放しにして、また追いかけられるくらいなら、ここで始末してしまった方がいい。
次に会った時には、今よりもずっと悲惨な状況かもしれない。みすみすチャンスを逃す手はない。
「わかった、行こう」
「ムサシ、本気ですか? 弱っていても、上位の竜には変わりありません。死ぬ確率の方が高いんですよ?」
死。この世界に来て、さんざん感じてきたものだ。はじめはヴルガーと戦った時、次が、ラルガーに囲まれたとき。そして、目の前を通り過ぎていったメガスラルガに追いかけまわされた時だ。
回数を重ねるごとに、俺の中で、何かが変わっていって、今ではそれほど恐怖を感じなくなってきた。これが、俺の感覚が麻痺してきたせいなのか、それとも成長したのかはわからない。
けれど、これだけははっきりとわかる。俺たちは、生きるために奴を狩らなければならないってことだ。
単に、実力を試すでも、食料を手に入れるためでもない。今後、生存する確率をすこしでも上げるために、戦うんだ。