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エデンの国で! 老兵猛者!



「はぁあああああ!」


 熱した油のような音と共に、どさりと、ヴルガーの首が落ちた。

 それほど、切り落とした感触はない。恐らく、刃が届く前に肉が溶けているからだろう。


「こっちも終わったぞー!」

「お疲れ様です。それでは、メーロンのところに戻りましょうか」

「おう!」


 朝から狩りにでて、これで5頭目の獲物だ。これで、メーロンが昨日指示した数は狩れたな。

 意気揚々と拠点に戻った俺は、そこにあったものを見て自分のいたらなさを思い知ることになった。

 拠点には、ヴルガーの死体の山ができていた。その数、ざっと数えただけでも20頭はいる。

 中には、俺とエバが倒したような小型のものではなく、一際大きくて、白いたてがみのヴルガーも混ざっていた。


「おおー、遅かったのぉ」

「じーさん!? なんだこれ!?」

「なんだってヴルガーじゃよ。ああ、1頭はメガスヴルガじゃがな」

「メガスヴルガ? ってその大きい奴か?」


 俺は、ひときわ大きい、白い鬣のヴルガーを指さした。


「その通りですよムサシ。メガスヴルガとは、ヴルガーのボスのような存在です。ヴルガーはある年齢に達すると群れを離れます。そして、一匹で生き残り、強靭な肉体と精神を持った個体は、ほかのヴルガーの群れを乗っ取ろうとするのです。そうしてボスが蔵変わりして新たに群れを牽引していくのです」

「つまりこいつは、前の群れのボスを倒した、強いヴルガーってことなのか?」


 エバはうなずいた。


「しかもこんなに大きいものはめったに見ることができません。メーロン、あなたは一人でこれを?」

「いかにも。まぁなんじゃ。さすがに弱肉強食の世界といっても、ワシの国の国民を好き勝手食い散らかすのは許せなくての。年甲斐もなくキレちまったわい」


 昨日、少し不機嫌だったのはそのせいか……。それにしても。


「じーさん、あんた何者なんだ?」

「前にも言ったじゃろう。ワシはこの国の王にして、国一番の魔法使いじゃよ。ふぉっふぉ」


 メーロンは笑いながら、杖から電撃を飛ばし、焚火に火をつけた。

 よくわからないじーさんだが、実力は本物のようだ。


「ただの胡散臭いじーさんじゃなかったんだな!」

「お主、今の今までそう思っとたのか……。ワシ、けっこうショックなんじゃが」


 そういいながら、メーロンは、すでにさばいてあったヴルガーの肉を焚火で焼き始めた。


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