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エデンの国で! 特訓!



「ふと思ったのですが、なぜ私の胸には竜人族の秘宝がとりつけられているのでしょう? 本来なら、竜人族の長が代々守り続けている物ではないのでしょうか?」

「たしかに。おいじーさんどういうこ、と……。なんだその汗」


 メーロンは顔中から汗をだらだらと流し、目をせわしなく動かしていた。


「んーなんじゃったかのう。なんか知らんまにポケットに入っていたような、そんな気がするのぉー。不思議なこともあるもんじゃのぉー」

「……じーさんまさか、盗んだのか?」


 俺の視界の中で、メーロンはびくりと肩を震わせた。


「い、いや。違うぞ、これはのう、竜人の里で出会った女性と仲良くなって、プレゼントされたんじゃ。その時はこれが何なのかまったくわからなかったがのぉ。国に持って帰って調べてもらったら、莫大な魔力を秘めた魔導石であることがわかったんじゃ! つまり、ワシ、わるくないもーん」


「いや、どう考えても悪いだろ、返しに行けよ」

「確かに、女性をたぶらかして盗みを働かせるとは極悪非道の畜生の所業ですね」

「ううう、うるっさいわ! そもそもエバはワシのおかげで動いとるんじゃからもうちっと敬わんか!」

「私はムサシの従者ですので。申し訳ありません」

「クッソ使えん技術者共じゃのー。なんで王様にも権限もたせなかったんじゃあいつら」


 ついさっき最高とか言ってたクセに本当に言うことがころころ変わるなこのじーさん。これは俺の想像でしかないが、このじーさんに権限を持たせると、なにかよからぬことに使うのではないと考えたんじゃないだろうか。そういう意味ではまさに最高の技術者だな。リスクを限りなく回避している。

 そう考ていると、メーロンはおもむろに立ち上がった。


「さて、休息はこのくらいにして、始めるかの」

「なにをするんだ?」

「なにって、お主の特訓じゃよ。ほらさっさと立たんか。そしてエバ、ムサシに防御魔法をかけてやれ。やってください」

「お願いであれば仕方がありませんね」


 そういってエバは、俺の体に自身の手向けた。そして彼女の手から薄い黄色の光が放たれ、俺の体を覆っていく。

 俺の体の表面に、膜を張るようにして光が纏わりついてきた。


「ふむ、準備は万端じゃな」

「ところで、特訓って何をするんだ?」

「んなもん決まっとるじゃろう。ワシの魔法を弱い順にくらい続けるんじゃよ」

「嘘だろ……」

「お主も今日の一件で分かったじゃろう。力無きものは生き残れんと。それともなんじゃ、お主は今後、ワシらにおんぶにだっこで生きていくつもりか?」


 安い挑発だとわかってる。わかっているがしかし、いつまでもそんな立場じゃ俺の立つ瀬がないじゃないか!


「言ってくれるじゃねーか。どんとこいやぁ!」





――――およそ5分後。



「も、もうむりぃ。勘弁してくだしゃい……」

「なんじゃもうへばったのか。なさけないのぉ」

「きゅ~」

「回復します」



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