エデンの国で! まずい、見つかった!
「なんだあれ? イタチ? オコジョ?」
そこにいたのは、黒くて短い毛に全身を包んだ、大きなイタチのような生き物だった。3匹の群れになっており、せわしなく首を動かしては、あたりの様子をうかがっているようだ。
顔はまさしく、イタチやオコジョのようで、小さな鼻と、口の周りに生えた、細い髭が見える。しかし体は、非常にがっしりとしており、前足には、なにかひれのようなものがついていた。後ろ足は、腿が太く、四足歩行らしく、逆関節になっている。その先にある丸く小さなしっぽは、平たく長く。歩くたびにずるずると引きずっていた。
「あれがヴルガーです」
「……思ったよりでかいな」
小型だと聞いていたが、大型の犬よりもでかそうだ。さすがにライオンほどまではいかないが、昔動物園で見た、ハイエナくらいはありそうな気がする。
正直……かなり……恐い……。
けど、エバの前だし、ついさっきあんな大見得をきったばかりだ。
ここで、情けない姿をさらすわけにはいかないな。
腹の底にずぅんと響く恐怖は、俺の意思に反して、体を強張らせていた。
「あれでもまだまだ小型な部類ですよ。おそらく、大型のヴルガーはあらかた死肉を食い尽くし、その残りをあさりにきたのでしょう」
「なるほどな」
竜社会も上下関係があるんだな。世知辛いもんだ。
「さて、どう行こうか。確か、あいつらは動きが俊敏なんだっけ?」
「そうです。ただ、今は昼間なので、彼らの狩猟時間ではありませんから、多少は鈍いはずです。それとおそらく、エサが見つからず、ずっと探し回っているのでしょう」
「なら、今あいつらは腹も減っているし眠いしで本領が発揮できないってことだな」
「いいえ、それは違います。腹を空かせた獣ほど、必死になって獲物を狩るものです。おそらく、私たちの姿を見つければ、容赦なく襲ってくるでしょう」
「うーん、そうか。ん?」
どうしたものかと考えていると、俺の手元に何かがあることに気がついた。
なにか、土とは違う、丸くて表面がぬるぬるしたなにか。
俺は気になってそれを掴み、顔の前まで持ってきた。持ってきた瞬間自分の行動を後悔した。
俺が眼前に持ってきたものは、暗い双眸で俺を見つめ返してきたのだ。つまり、人の……頭蓋骨。
「うおおおおおおおおお!?」
たまらず俺は叫び声をあげた。
「む、ムサシ!? 静かに!」
「むぐうううううううう!?」
柔らかい胸に顔を圧迫され、俺は息ができずもがいた。
しかし、細くても強靭なエバの腕は決して俺を放そうとはしない。
それどころか、俺が暴れるほどに力を入れてくるのだ。嬉しいけど苦しい!
「キィィーーー!」
「キキィ!」
「キュイイイイイ!」
俺の耳に、甲高い鳴き声が聞こえてきた。
そして、何かが近寄ってくるような足音と、気配。
「くっ!」
エバは勢いよく立ち上がり、肩にかけたボーガンを掴んだ。
右手で振り回すようにして前に突き出すと、ガチンと何かがはまる音がするとともに、先ほどまでコンパクトに折りたたまれていたボーガンは長く一直線に伸びていた。
そしてその勢いのまま、エバが引き金を引き絞ると、耳をつんざくような破裂音が響き渡る。
「ギィィ!」
同時に、黒板を爪でひっかくような、嫌な音が聞こえた。そして、火薬の焦げ臭い臭いが、鼻に入り込んでくる。
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