表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

19/87

エデンの国で! じーさんみてみぬふり!

面白いと思ったら、ブクマ&レビュー&小説下部の『小説家になろう勝手にランキング』を是非ともクリック!

ポイントを貰えるとサンバ野郎は、とても嬉しいです!

※     ※     ※

【サラ】






「顔色が悪いよサラ」


 空から照りつける灼熱の太陽が、私たちを焼きつける。

 幾度か、意識が飛びかけるも私は必死にそれを繋ぎ止めていた。


「私なら、大丈夫です。あなたこそ、運動が苦手だったはずですが、大丈夫ですか?」

「僕なら平気さ。今までさんざんいろんなところを歩き回ったからね。それは君だって知っているだろ?」

「そうですね。あなたが白の蛇の神託を受けたと聞いたときは、口から心臓が飛び出すかと思いましたよ」

「ふふ、君が冗談を言うなんて、珍しいね。いるかい?」


 彼の差し出した水を、私は拒んだ。砂漠で水は貴重なものだ。それに、旅人の身である私たちにとって、次にいつ補給できるかもわからない。


 軽い気持ちで飲んでいいものでは決してないのだ。


「いいえ、それはあなたが飲んでください」

「僕ならさっき飲んだから平気だよ」

「ならば、子供たちにあげてください」

「君は頑固だな」

「それはお互い様でしょう、アブラム」


 私は、砂丘の頂上から空を見た。

 遮るものはなにもなく、ただ私たちの砂を踏む音と、時おり聞こえる翼竜の鳴き声だけが、虚しく聞こえている。

 この旅に意味などあるのだろうか?


 本当に、約束の地はあるのだろうか?


 そもそも、私たちはやっとの思いで辿り着いた砂漠の国を追い出され、再びもとの大地を目指している。いったいどこが目的地で、何を成せばよいのか、私にはわからない。

 ただ刻一刻と消耗する体と心だけが、今の私を形作る全てなのではないだろうか。


 ふとした考えは心に沈みこみ、そのまま浮き上がることはなかった。


 今はただ、前に進むだけ。それだけなのだ。





 ※      ※     ※


【ムサシ】 





「なんかさっき爆発音が聞こえたんじゃが。大丈夫じゃったか?」


 装備を整えたあと、メーロンと合流した。どうやら彼にもさっきの爆発音が聞こえていたらしい。


「ああ、大丈夫大丈夫。エバがアフロになったくらいだ」

「いや、全然状況が読めないんじゃが。まぁ隠れてて正解じゃったかの。ふぉっふぉ」

「隠れてたのかよ! 助けにこいよ!」


 信じられないことを平気でいうなこのじーさん!


「いやだってワシ王じゃし。家臣たちが命がけで救った命じゃぞ? 大事にせんといかんのじゃ」

「その大事な命が勝手に召喚した俺のことはどうでもいいってのか!?」

「そうわ言っとらんじゃろう。まぁこの辺りにいる竜や獣などたかが知れておるしの。それくらい自分でなんとかできんようじゃったら、この先足手まといじゃわい」

「うぐっ。でもよぉー」


 妙に辛辣な言い方に、若干腹を立てるも、言っていることは間違っていないので反論はしないことにした。


「ああ、そうじゃ。今周辺を見回っていたら、ヴルガー共がうろついておった。せっかくじゃから試し切りにそいつらを狩ってくるとええ。そうじゃのう、5頭くらい狩ってくるんじゃ」

「ヴルガーってなんだ?」

「ヴルガーとは、闇の渓谷周辺に生息しているといわれる小型の竜です。主に動物の死肉や小動物を主食としています。翼は退化して、前足と同化していますが、夜間に木の上などの高いところから滑空して、獲物を仕留めます。また、地上での動きは俊敏で、狭い隙間などの暗闇を好みます。また、ヴルガーの表れる場所には必ず死体があるので、『不吉な残飯喰い』と呼ばれることもあるそうです。さらに、過去には……」

「あーストップストップ。もう大丈夫だ。それより、今の俺でもそのヴルガーってやつは倒せそうかな?」

「問題ないと思います。小型の竜は、子供でも狩ることができるくらいですから」


 話を中断させたからか、エバの口調はやや冷たかった。

 だが、子供でも狩れるときいて、少しだけ安心した。それなら俺でもなんとかなりそうだな。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ