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エデンの国で! 頭ポンポン!



 あんなもの使ったら、全身がミンチになるわ! というかメーロンは本当にエバに人の生活の手助けをさせるつもりだったのだろうか。あのままだと確実に死人がでるぞ。

 結局その次も、さらにその次も、さらにさらにその次の武器も、俺には扱えそうにないものばかりだった。


「もういい。自分で探す」


 さすがに、ここまでハズレばかり持ってこられると、自分で探したほうが早い気がしてきた。だって、自分を含めた全方位に毒をまき散らす槍とか、持ち手も感電する電気を纏った斧とか、果ては自分の血液をすべて絞り出して撃つ銃とか。……どれもピーキーすぎて使い物にならないんだもん。


「承知しました。……あの!」


 武器庫に降りようとしたら、エバが俺の服の裾を掴み、引きとめた。彼女の顔は、今までと変わらず無表情のままだったが、口調はどこか切迫した緊張感を感じさせている。

 初めて聞く、彼女の不安そうな声に、俺は心配な気持ちと疑問が同時に沸き上がって、なぜ引き留めたのか、その理由を聞く言葉がでなかった。


「私は、役立たずですか?」

「え?」


 エバの言葉に、俺は驚いて目を見開いた。そうか、彼女は人のために作られた兵器なんだ。これまで、彼女の持ってくるものを否定してばかりいたから、自分が役に立っていないと思ったのかもしれない。

 俺は、彼女の白銀の髪に手をのせ、撫でてやった。手には、どこか普通の髪とは違う、少し硬い感触がする。けれど、彼女の艶つややかな髪は、いつまでもいつまでも撫でていたくなるようなそんな気持ちにさせてくる。


「そんなことないさ。俺のために選んでくれてありがとう。ただ、やっぱり自分の命を預けるものだし、自分で責任をもって選ばないといけなと思ったんだ」

「そう、ですか。承知しました」


 目にうつる彼女は、いつもの冷静なエバだった。けれど、俺の手の中で、彼女は気持ちよさそうに目を細めていた。

 武器庫に降りると、中は光る水晶のようなものが等間隔に壁に備え付けられており、意外にも明るかった。

 部屋の中はメーロンの言葉とは裏腹に、以外にも広く、横幅は5メートルはありそうだ、ただ並べられた武器によって、歩くスペースというのはあまり無い。縦に長い長方形で、壁沿いにずらりと、様々な武器が木の枠組みに立てかけられている。木の枠には、その武器の特徴を簡単に掲示してあるようだが、残念ながら俺には読むことができない。そして、部屋の奥には、大きなタンスが鎮座している。恐らくあのなかには、防具が入っているのだろう。


「さて、どれがいいかな。というか文字が読めないから完全に勘で選ぶしかないわけだけど。下手なものを引くと、さっきの爆発みたいに自分をまきこみかねないからなー」


 部屋の奥に向かって、順番に武器を眺めていくと、目を引くものがあった。

 緑色の柄に、小さな穴が4つほどあいた片刃の双剣。よく見ると、刃の峰の部分には何かのカートリッジのようなものがついている。柄に巻き付けられている皮のベルトは、どうやらこのカートリッジを持ち運ぶためのもののようだ。二つのベルトには、6個ずつカートリッジがはいっており、計12個ある。

 手に持ってみると重さはさすがに竹刀よりは重いが、片手で扱えない重さではない。

 恐る恐る、剣の収まっていた木の枠を切ってみるが、爆発も、毒をまき散らしもしない。


「これだ。この剣にしよう!」


 何事も、普通が一番。そう思い、俺はその剣を背負って外に出た。ずしりと背に感じる重さは、なぜだか勇気がわいてくる。



「エバ、俺はこの剣にする。これがどんな剣なのかみてくれないか」

「承知しました」



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