エデンの国で! エバのチョイス!
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メーロンは柱のあったところでしゃがみこみ、何かをしているようだ。気になって彼の肩越しに覗いてみると、そこには鉄製の扉が地面に備え付けられていた。
彼はローブの懐から鍵の束を取り出して、その扉の鍵穴に差し込んだ。手首をひねるとともに、かちゃりと軽い音が聞こえ、メーロンはそのまま、扉の取っ手を持ち上げ、ゆっくりと開いた。
「さて、この下には、我が国の最高の武器と防具がしまってある。重さ、頑丈さ、切れ味、威力。どれをとっても、今の技術の最高品質のものじゃ。この中から好きなものを選ぶといい」
「いいのか? そんなの勝手に使っちゃって?」
「構わんよ、ワシ、王じゃし」
言われてみれば確かにそうだな。このじーさん、この国の最高権力者なんだっけ。
そもそも、滅亡した国で誰も咎めたりはしない、か。
「中は狭い。一人ずついくとええ。ワシはここで周囲を見張っておるでの」
そういって、メーロンは少し小高い丘の上に行ってしまった。
ゆっくりと歩く彼の背中は、なぜか小さく見えた。それはもしかしたら、俺の勝手な思い込みかもしれない。いやきっと願望なんだろう。
人の良さそうなあのじーさんが、国民の死が悲しくないなんて信じたくないんだと思う。
だって、いくら天国に行ったと信じていても、人の死は……辛いもにだから。
っと、今はメーロンのことより、自分のことだな。
「そういわれてもな。何がいいのかとかさっぱりわからんのだが」
「もしよろしければ、私が選びましょうか? 現状、ムサシに最も合っていると思われる装備を見繕いますが」
確かに、素人の俺が選ぶより、エバに任せたほうがいいかもしれないな。
俺の隠された能力とかも調べられるわけだし、俺の能力に最適なものを選んでくれる気がする。
「ああ、じゃあ頼むよ」
「承知しました」
そういって、エバは武器庫へと降りて行った。どれくらい時間がたっただろうか。
待っている間、ぼーっと空を眺めていた。1羽の巨大な鳥が、東の空に飛び去った頃、エバが地上に出てきた。
しかし、その手に持ったものを見て、俺は唖然としてしまったのだった。
「……おい、なんだそのバカでかい剣は? てか剣なのかそれ? 鉄塊?」
「これは、イープソム・ペルデレという特大剣です。一振りで可能な限りほろぼしたいな、という願いが込められているそうですよ。重量は92キログラムです」
「そんなもん持てるかー! 他の持ってこい他の!」
「承知しました」
というか、ここの重さの単位ってキログラムなのか? それとも俺の耳が勝手にそう解釈しているだけのなのか。うーん、わからん。
待つことおよそ3分。再びエバは地上に姿を現した。
「今度は、なんだこれ? ナイフ?」
「カウーザ・サタニと呼ばれる短刀です。切先がふれると爆発して相手を攻撃するそうですよ」
お、なかなかよさそうじゃないか。切ると爆発するなんて、いかにもファンタジーな感じだし、何よりかっこいい。
「重さは?」
「2キログラムです」
「うーん、さすがに竹刀よりは重いか」
「シナイとはなんですか?」
「ああ、いや、こっちの話だ。一回試しに何か切ってみてくれないか?」
「承知しました」
エバは、近くに生えた焦げた木に近寄り。そしてナイフを振りかぶり、下ろした。
ボボボン!
「うおおおおお!?」
突如、先ほどまでエバのいた場所で大爆発が起きて、鼓膜が破れんばかりの爆風が俺を襲った。とっさに顔を腕でかばったものの、腕は若干やけどしてしまったようで、ひりひりと痛む。
いや、そんなことより、剣を持っていたエバは直撃したんじゃないだろうか!?
「エバ! エバ大丈夫か!?」
「ケホケホ。も、問題ありません……」
「エバ……。お前、表現が古いな……」
エバの頭は、ちりちりの爆発頭。つまるところ、アフロになっていたのだ。
「これは防衛機構が作動したのです。重要な機関を保護するために、対衝撃性に優れた形状に変質しました」
「あ、それってそういう理由があるんだ。……ってそんなことより、その武器もダメ! 次!」
「そうですか……承知しました」




