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エデンの国で! 武器庫探し!



「ああ、すげーよ。ここは、本当に異世界なんだな」


 俺は、あえて焼けた大地については何も言わなかった。それは、メーロンを気遣ったのもあるが、わざわざ、この感動を自分で否定するようなことは言いたくなかった。それくらい、さっき見た景色は、雄大で、美しかったんだ。

 俺は、坂道を滑るようにして降り、メーロンのそばまで駆け寄った。


「ああ、そうじゃ。そして、今でこそ、荒地となっているが、ここも昔は、多くの人々が暮らす美しい街じゃったんじゃよ」

「そうだったのか……」


 後ろから、坂道を滑り降りてくる音が聞こえ、そして俺のすぐ後ろで止まった。


「それで、どこに向かうのですか?」

「おお、そうじゃったな。こっちじゃ」


 そういってメーロンは再び歩き出し、俺とエバはその後ろについていく。あたりの景色を見回していると、火山の山頂付近で何かが光った。


「なんだあれ? 何かの合図?」

「あれはおそらく、白炎竜びゃくえんりゅうソルディエナじゃろうな。あれが白の蛇の言っていた、4匹の竜のうちの1匹じゃ」

白炎竜びゃくえんりゅう? そいつは光るのか?」


「光るのではありません。体についた排熱機関から、体外に熱を放出した際に、白い炎となるのです。また、その炎は、下手な装備を簡単に溶かしてしまうほどの熱量を持ち、何らかの鉱石を含んでいる為か、装甲を貫通するそうですよ。ですが申し訳ないことに、個体数が少なく、あまり情報がありません」

「いや、謝る必要はないよ。……それより、そんなのを退治しなくちゃならないの」


 俺は、荒れた道に足を取られながら、白炎竜びゃくえんりゅうの姿を想像した。全身から、高温の炎を吹き出す竜。近づくことさえできないんじゃないか? 


「なーに、万全の準備と策を練れば、倒せん相手などおらん。奴らが圧倒的暴力を持つのならば、我らは知恵の力で勝利すればよいのじゃ。それにワシは以前、奴と戦って生き延びておる。その経験を活かせば今度は勝つこともできるじゃろう」


 どこまでもポジティブなじーさんだ。だけど、このじーさんが言うと、なぜかそれが本当になる気がする。そんな不思議な魅力を持っているから、人の上に立てるのだろうか。

 そして、しばらく荒地を歩き、メーロンが立ち止まった。


「さて、ついたぞ。ここが我が国の武器庫じゃ。元、じゃがの」


 俺たちの目の前には、他の景色と変わらない、荒れた大地が広がっているだけだった。

 かろうじて、地面から飛び出した、剣や槍のおかげでここには以前まで、多くの武器が眠っていたことがわかる。


「使い物になるのかこれ?」


 地面から飛び出した柄を持持ち上げると、真ん中からぽっきりと折れた剣が出てきた。

 とてもじゃないが、まともな武器があるとは思えない。


「うーむ、エバ、そこの倒れた柱をどけてくれんか」

「私はムサシの命令でしか動くことができません」

「うむむ」


 メーロンが困ったような顔で顎髭を一撫でした。


「エバ、やってくれ」

「承知しました」


 エバは、俺の指示通りメーロンの指定した柱を持ち上げた。前にメーロンを軽々と持ち上げた時から分かっていたが、彼女のパワーは人よりもはるかに強い。


「そのまま、あっちのほうにおいてくれ」

「承知しました」


 彼女は俺が指さした方向へと、柱を持って行った。


「おお、あったあった、どうやら無事のようじゃの」

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