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#76 君が目的だ


 イェスカと民兵と捕らえられた呆れ顔レシェールと、それを心配そうに見つめているシャリヤ。名乗りを上げるだけでは現状は打破できない。自分が動かなければなるまい。


"Ej! Selene harmie co es? Co es tarf virl jeska, niv? Edixu mi akranti co'd kranteerl mal mi qune co."


 翠の呼びかけに対して民兵たちは困惑したようにお互いを見合わせた。何か触れてはいけないようなものに触れたかのように、顔から血の気が引いていっていた。いくら武器を持った民兵部隊とはいえ、民衆の大好きな芸能人に銃を向けたらただでは済まないだろう。声優好きのオタクの群衆の前でライブを中止させて、銃を突きつけ強制連行するようなものだ。暴動が起こらないにしろ反感を受ける。


"Ja, Mi es tarf virl jeska. Edixa mi klie fua co."

"Mili! Pazes niv!"


 後ろから呼び声が聞こえる。追いかけて走り続けて疲れたのか、息を切らしながら腰に手を当てて頭を垂れている。紺の制服に身を包んだ数人が翠の後ろに立ってぜえぜえと荒れる息を落ち着かせようとしていた。疲れながらも、何かを言おうとして指さす先にはイェスカが指されていた。


"Ci es irfel tarf virl. Shrlo pazes niv mal sydox paz."


 紺制服の男の言葉を聞いて、いよいよ民兵たちは額に汗を浮かべて泣きそうな表情になっていた。シャリヤはといえば目の前で起きている状況を飲み込めず、おどろおどろしく感じたのか周りをきょろきょろと見まわしながら立ち尽くしていた。

 民兵の一人が小銃を構えるのを止めて、地面に無造作に投げ捨てた。他の民兵たちもびくびくしながらそれに追従した。民兵が銃を捨てた瞬間、イェスカも不満げな表情を浮かべながら同時にレシェールを解放した。未だに面白くなさそうな表情のレシェールにはこの場にいる誰もが疑問を浮かべていた。


"Lexerlesti...... Elajarnerfen?"

"Ja, ci celezert mi'tj. Iska."


 こんなのに付き合ってられるかとばかり頭を掻きむしってこの騒ぎから歩き去ろうとするレシェールにイェスカ以外は全員、あっけにとられていた。レシェールが去って行くと、紺制服の男の後ろに立っていた男たちが民兵の武器を取り上げて、民兵たちを並ばせて、銃を突きつけ、そのまま何処かに連れて行ってしまった。イェスカはといえば、そんなことも気に留めず、興ざめした表情で翠の方に歩いてくる。シャリヤはいつの間にか自分の後ろに隠れているし、道の真ん中に残されたのは自分とシャリヤとイェスカのみとなってしまった。


"......lecu miss knloan harmie?"


 自分の後ろに隠れていたシャリヤが恐る恐る出てきて、提案してくる。思えば、朝起きてから何も食べていない気がする。それなのによくこれだけ走れたものだと思う。イェスカはその提案を聞いて頷いていたことだし、シャリヤと文字通り語彙力の低い話し合いをしたのちに自分たちの部屋にとりあえず連れて行くことにした。道の途中でレトラの街の人間にイェスカを連れている事がばれたら面倒なことになりそうなので幾つかの回り道をしていた。


"......Irfel jeska, Co lirf balcafirka?"

"Hnn, mi felifel text li'usnirta."

"Ar merc, firlex."


 シャリヤが恐る恐るイェスカに話しかけているのを見るとなんだか不思議な感情になってくる。好きな芸能人と並んで歩いているはずのに、憧れていた存在に近づけて感動で挙動がおかしくなっているというよりは、何か恐ろしい存在、適当な扱いをすれば爆発してしまうような存在を丁寧に扱おうとしているようなそんな感じがした。

 というか、リウスニータってなんだろう。今まで聞いたことがない飲み物だった。


"Furdzvok es?"

"Ja."


 そんなこんなで部屋に戻ってくることが出来た。翠とイェスカは机について、対面して座っていた。シャリヤはといえば何か食べる物を出そうとキッチンの方に向かっていた。

 イェスカの目的も今のところ良く分からない。"Edixa mi klie fua co."とは言っていたが、「八ヶ崎翠のために」とはどういう意味なのだろう。転生者ということを抜きにすれば、リネパーイネ語が流暢に話せない平凡な移民のような者に見えるだけだろう。


(もしかして、転生者ということが他人に理解されている……?)


 いや、その可能性は少ない。シャリヤは別として、他の人間との会話の話題で転生がどうのこうのという話はしたことがない。リネパーイネ語が不自由で教えてもらえたり、裁判で翻訳が付いていたりするのはこの国が多言語・多文化国家であるからで、転生者への対応に慣れているとかそういう意味ではない。極めつけにヒンゲンファールさんの図書館に自分の見覚えがある言語を取り上げていた本は無かった。知られていたとしても、会ってどうするという問題もある。

 そんなことを考えていると、イェスカが自分の方に指を指して何かを問おうとしていた。


"Merc, Co lkurf. Co akranti mi'd kranteerl ja? Co akranti harmie faller harmie?"

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Xace fua co'd la vxorlnajten!
Co's fgirrg'i sulilo at alpileon veles la slaxers. Xace.
Fiteteselesal folx lecu isal nyey(小説家になろう 勝手にランキング)'l tysne!
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